侍女エリンさん
登場人物名前
リチャード→アレックス
変更しました。
ややこしいことして申し訳ありません。
(今回は登場しません)
少しの時間だったけど、初めてキラキラファイブ以外の人とまともに話せた収穫は大きかった。
まずキラキラファイブは聖女の夫候補ということ。
そして私が行動制限されていたのは結婚相手を選ばせるためということ。
話す相手や頼る相手がファイブ達しかいなければ、精神的によっかかって当然だからね。
最後に、一人相手を決めれば多分他の人とも会って話せるようになるっぽいということ。
男がいなくなり、いつもの部屋に世話係の女性と二人きり。
彼女の顔色を伺う。
多分二十代半ばの、茶色の髪をきっちりまとめておでこ全開の仕事出来そうなスタイル。
「あの、勝手に部屋から出てごめんなさい」
女性は少し微笑んでくれた。
「周りに誰もいないので、少しお話してもらえませんか」
少し迷ったような表情をした彼女は結局、小さく頷いた。
「お名前を伺ってもいいですか?私は佳奈といいます」
「エリンと申します」
「エリンさん」
「聖女様にお仕えできて光栄でございます」
「いつもありがとうございます。髪型もメイクもきれいにしてもらって嬉しいです」
「有難いお言葉です」
身支度の合間に少しずつ聞いたところ、エリンさんは聖女の侍女代表みたいな役割らしい。
侍女は複数人いて、交代で仕事をしているという。他にもっと雑多な仕事をしてくれているメイドさんがいるとのこと。
侍女は直接私の身支度や付人みたいなことをしてくれるけれど、メイドさん達は部屋の掃除や洗濯をしてくれおり、会う機会がないらしい。
たくさんの方々にお世話をかけているんだな。
いつもありがとうございます。
聖女についてやキラキラファイブ、さっきの男の人について等も聞きたかったけど、さすが守秘義務がしっかりしてて何も情報は得られなかった。
その間にみるみる仕上げられた私の今日の私は、グレー地にくすみピンクの小花柄のワンピース、控えめだけど盛れてるピンクメイク、編込みの複雑な可愛いヘアスタイルと素晴らしい出来だった。
「髪型可愛いです!すごい!どこから見ても可愛い!」
前から見ても横から見ても可愛い。
コテやアイロンも無いのに、櫛とリボンとピンと香油だけでこんなになる?
私が喜ぶととエリンさんは思わずといった風にクスッと声を出して笑ってくれた。
エリンさんがこんなに笑うのを見るのは初めてだ。
エリンさんと少し仲良くなれて嬉しい。
これから世間話とかできるようになるといいな。
あわよくば色々な情報も得たいところだけど。
ところで、キラキラファイブが大層チヤホヤしてくれるなぁと思ってたけど、もしかして彼らは聖女と結婚したいってことなのか?
聖女召喚後すぐからファイブに囲まれ続けているし、きっと聖女と結婚することで何らかの利益があるんだな。
皆貴族だから、多分親とかに聖女落としてこいよ!って言われてるんだろうなぁ。
これで聖女が若い女の子だったら相思相愛でウィン・ウィンになったかもしれないけど、相手が私だからなぁ。
全員めっちゃイケメンだし礼儀正しいし、大分年上の私にも嫌な顔や素振り一つ見せずに優しくしてくれるし。
聖女召喚が六十年に一度って予めわかっている訳だから、もしかしたら幼少期から聖女の騎士を目指しなさいって教育されてたかもね。辛いなぁ。
そして彼らは旅にも同行するっぽいから長い付き合いになりそう。
結婚はともかく、もう少し彼らと友好的な関係を作るのはいいかもしれない。
出発も明日に迫ってるし。
今日はちょっと頑張って、お話聞いてみよう。
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