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31/43

出自

「ブレントさん、ありがとうございました」


何と今回のパーティーでは、嫌な目で見られたり触られそうになったりセクハラを言われることが無かった。

一回もなかった。

領主様がきちっとしたいい人ということもあるけれど、一番はブレント第一騎士団長が私達のすぐ後ろで睨みをきかせてくれていたからだ。

こないだのパーティーは入場は一緒にしたけれど、いつの間にかブレントさんは居なかった。

今回はずっと側に居てくれた。

愚痴ったから守ってくれたのかな。


ブレントさんは第一騎士団長だし結構偉いようで、領主含め全ての人に大層丁寧に扱われていた。

そんな人の目の前でセクハラなんて出来るわけないもんね。

威を借る形だけど、すごく気持ちが楽だった。

とても助かった。

すごく嬉しかった。

帰りがけの馬車に乗る前にブレントさんを見つけてお礼を言った。

ブレントさんは笑って返してくれた。


はー、ときめく。

いやときめいてる場合じゃない。


煩悩を振り払って馬車に乗った。

馬車はいつも、侍女と護衛のファイブ一人と一緒に乗る。

馬車に乗るファイブは交替で、他のファイブは馬車の周りを馬に乗って警護してくれる。

帰りはギルバートと一緒だった。


「ねぇ、さっきのパーティーでブレントさん大分皆に丁寧にされてたけど、そんなに偉いの」

ギルバートはびっくりした顔をした。

「知らなかったのか、第一騎士団長は先王の弟君で、王族だよ」

「王族?」

「先々代の王に晩年出来たご子息だよ」


難しい話を質問しながら噛み砕くと、要するにブレントさんは今の国王のお爺さんの子。

一個前の国王の弟。ただし、年齢は親子ほど離れている。

現国王の、年齢のほとんど変わらない叔父。

先々代の王が王位を長男に譲った後に生まれたらしい。すごい話だな。

だからブレントさんは浮いた存在の王族になってしまった。


先王の時代、国王のやり方を気に入らない貴族達がまだ幼児だったブレントさんを担ぎ上げようとして大変だったらしい。

ブレントさんは離宮で人から離れて育てられ、成人するとすぐに一兵卒として騎士団へ入団、専ら魔物と戦う第三騎士団の特別部隊に入隊し、長らく前線で活躍。

三十代半ばで対魔物戦闘の一線を退き、第一騎士団へ配属が変わって後に団長となったと。


中々大変な来歴だ。

王族なんだ。王族ってすごいな。王様王妃様は一度だけ見たことあるけど。


「でもギルバート達、割とブレントさんに気安くない?」

「聖女様の騎士に決まってから第一騎士団長に滅茶苦茶扱かれたんだよ。だから上官として普通に接してる」

そうだったんだ。

聖女の騎士として選ばれてから一年間、集中的に様々な訓練や勉強をしたという。

中でも一番キツかったのがブレントさんの戦闘訓練だったらしい。

その結果、無事守ってもらってるわけで有り難い話。

そんな話をして屋敷についた。





翌日はギルバートとニコラスの青紫組が出勤、アレックス、パーシヴァル、リアムの信号機組がお休みだった。

サポートメンバーのブレント第一騎士団長も部屋の隅に控えている。

祠への手紙は一昨日の休養日に全て出し終えているから、至急にやることは無い。

私は以前から気になっていたことをニコラスに切り出した。

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