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「はー疲れた!」


控室でベールを取り、エリンさんに衣装を脱がせてもらってやっと一息ついた。

久しぶりにセクハラという感覚を味わった。

普段会う人達は限られているし、皆いい人ばかりだったから忘れていた。


結構気持ち悪いし落ち込んでるけど、これは私で良かったかもしれない。

聖女がもっと若い女の子だったらもっとショックを受けたかもしれないし、私より露骨な事をされていたかもしれない。

この位の落ち込みで済む、今の年齢の私で良かったんじゃないか。

でも過去の女の子たちもあんなおじさんに囲まれてたとしたら可哀想だけど。彼女達の騎士が辣腕だったことを祈るしかない。


パーティーだってのにご飯も食べられなかったのでお腹ペコペコだ。

エリンさんや騎士団の面々は使用人用の食堂でご飯を食べたという。

羨ましい。おじさん接待耐久パーティーよりも皆とご飯食べたかった。



「失礼、聖女様のお支度はお済みでしょうか」

廊下からブレント第一騎士団長の声。

入ってもらってくださいとエリンさんにお願いする。

「お疲れ様でした。よろしければこちらをどうぞ」

いつもの騎士団制服に戻ったブレントさんは、そう言ってバスケットをくれた。いい匂い。

中にはパンとスープ、焼菓子が入っていた。


「嬉しいー!ありがとうございます!」

早速テーブルに広げる。スープはまだ温かい。

一口飲むと身体に染み渡るようだった。

「はー、おいしい。ありがとうございます、めちゃくちゃお腹空いてたので助かりました」

あっ、ファイブも飲まず食わずだったけど大丈夫かな。


「アレックス達もお腹空いてると思うんですけど」

「聖女の騎士達には第一騎士団に混じって食堂へ行くよう伝えました。貴方様はこの部屋から出ていただく訳にはいきませんので、こちらをお持ちしました」

さすが騎士団長、気が利く。


ブレントさんに貰ったご飯を食べて、エリンさんが淹れてくれた温かいお茶を飲むと、身体がソファーに沈み込んだ。

「はぁー」

思わずため息が出る。

「どうかされましたか」

壁際に立っていたブレントさんが聞いてくれた。

「おじさん達にジロジロ見られてしんどかったです。言い返すこともできないし」

ブレントさんはちょっと険しい目付きになって誰に無礼を働かれたのか聞いてきたけど、初対面のおじさんの名前も特徴も覚えているはずがない。

「アレックス達が守ってくれたので直接触られるようなことはなかったんですが、ちょっと気持ち悪いことも言われて」

「許されないことです。聖女様のお耳汚し大変申し訳ありませんでした」

ファイブが頑張ってくれたことは言い添えておく。

階級はわからないけど、年上のおじさん相手に若いファイブが注意することも難しいと思う。

変なこと言う人との会話は全て速やかに終わらせてくれただけでも有難かった。

ブレントさんに聞いてもらえて、愚痴を吐き出せて少しスッキリした。


ブレントさんが部屋を出た後、エリンさんも慰めてくれ、人前に出る時の聖女衣装を身体のラインの出にくいデザインのものにすることを提案してくれた。

衣装は聖女の好みに合わせられるよう、何パターンも用意があるらしい。是非にとお願いした。

周りに恵まれている。



その後、馬車でまた二時間かけて帰宅した。

明日は休養日で、明後日また祠。

日帰りだと移動時間が長いので、一日置きに休憩させてもらう日程だ。

余裕だと思っていたけれどキツイな。

地下室でビリビリやるのも体感時間は短いけれど立ちっぱなしだし、その後身支度してすぐパーティーで休む間もない。


次回から、隙間時間に食べられる小さいパンを焼いてもらって持っていこうかな。

おやつに甘い物も欲しい。

そういえば、私が地下にいる間の待ち時間、ファイブと祭祀さんも暇だよね。

待機中の軽食セットと簡易テーブル、椅子も用意してもらおう。

飲食禁止って言われるかな?聞いてみよ。

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