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二つ目の祠

「あー」


気持ち悪くて目を閉じて下を向く。

エリンさんが水をくれて、背中をさすってくれた。

ガタガタ揺れる馬車の中、二つ目の祠への道中だ。


昨日は一日皆で手紙の作成、確認を行い、何とか夕ご飯までに全通書き終えた。

アレックスとギルバートは魔法の申請行って、帰ってきてから手紙を手伝ってくれ、最終的にはアレックス、ニコラス、パーシヴァルと侍女三人が手紙を記入し、ギルバートと私が内容確認、リアムが聖女ステンシルを押してシーリングスタンプで封をする、といった流れ作業になった。

事務作業を皆で協力して行ったことで、侍女さん含め仲間意識が芽生えて結束力が高まった気がする。


今日は旅の前に済ましておく近場の祠だ。

片道二時間程の場所らしい。

祠の中での聖女の作業に何時間かかるかわからないので、時間に余裕を持って予定を組んでもらった。

だから出発時刻が早かったので、今日は早起きで疲れてしまった。

寝不足+疲労+揺れる馬車で気持ち悪くなりながらヨロヨロたどり着いた祠は、王城の物よりいくらか小さい建物だった。


「お越しをお待ちしておりました」

この祠の祭祀さんが迎えてくれる。

聖女の馬車や馬に乗っている騎士団は道中ザワザワ見られていたっぽいけど、窓の外に気を配る余力もなかった。

祠の側には関係者しか近寄れないようで、遠いところにこちらを見る人だかりがいた。

一応、見物客に向かって一礼しておく。歓声が上がった。何もしてないのにキャーキャー言われて、聖女って難儀なものだね。

でももっとキャーキャー言われているのはファイブだった。

名前を呼ぶ黄色い声が聞こえる。

アイドル的な人気?すごいな君たち。そりゃかっこいいもんね。

てもファイブはアイドルではないので、目線を送るとか手を振るとかいったファンサは一切行わないようだった。


侍女と騎士団の人達は建物の前で待っていてもらって、祭祀さんとファイブと私だけで中へ。

いよいよ二回目の聖女の祈りだ。


「気合い入れをします」

ファイブを集め、片手を出してもらう。

ニコラスとパーシヴァルはやったことあるけど、他のメンバーは初めて。

「私がかんばっていきまっ、って言うから、しょーい!って言ってね」

手を重ねて、一人一人の目を見る。

「二回目の聖女の祈りです。前回は三時間。今回はどれだけかかるか分かりませんが信じて待っていてください。行ってきます」

ぐっと息を吸って大声を出す。

「頑張っていきまっ、」

「「「「「「しょーい!」」」」」」

皆わからないなりに合わせて声を出してくれた。


「よっしゃ!じゃあ行ってきます。絶対ドア閉めないでね。後声聞こえても気にしないで」

言いおいて、祭祀さんの開けてくれた扉からまた地下へ。

前回より少し小さい部屋だった。

数々のアミュレットがあるのは同じ。

両手を合わせて心の中で今までの聖女たちにご挨拶して、私の御札を棚に奉納した。


正面の壁にはやっぱり鏡。

またビリビリ来るんだろうから、脚を広げて踏ん張れるように立つ。

グッと手を入れた。

身体中に振動が広がる。

前もやった事だから少し余裕があって、考え事したり声に出さずに歌を歌ったりして過ごした。

ノリノリでアイドルソングを歌っていると、しばらくして振動が弱くなってズズッと腕が抜けた。

任務完了。

部屋に一礼して階段を登る。


「おまたせー」

ファイブは扉の近くで立って待ってくれていた。

「お疲れ様でした」

アレックスが手を貸してくれる。

「何時間だった?」

「二時間程です」

「短かったね」

何でだろう。体感はそんなに差がなかったけど。

「ニコラス、地図にどの祠が何時間だったか記録していってくれる?陽脈の乱れに関係するとか、かかる時間に規則性があるかもしれないから」

「かしこまりました」


この後は領主様主催の宴にご招待されているらしい。

祭祀さんとはここでお別れとのことで、用意しておいた世界平和の御札をお渡しして握手して別れた。

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