事務仕事
「すごい、会社みたい」
会議室では皆が机に向かって黙々と手紙や書類を書いていた。
机の上には紙の山、たまに質問をやり取りするだけで黙々と作業している。
立ち上がって質問したり新しい紙を取ったり、ちょっとごちゃついてるかも。
一人ずつ何しているか見ていくと、手紙を書いている人と申請書類を書いている人が入り混じっている。
申し訳ないけどキリのいい所で一旦手を止めてもらって、座る場所を作業内容別にした。
大きい机が二つあったので、一つは手紙班、一つは申請書班として座り直してもらった。
手紙の島はパーシヴァルと、カーラさんはじめ三人の侍女。
申請書の島はアレックス、ギルバート、リアム、騎士団の人二人。
手元が暗くならないよう、卓上ライトを配置する。
これから書く紙と記入済のものを入れる箱を用意して、筆記用具の予備も島ごとに置いた。
ニコラスは全体の統括をしているようだったので島には入れず、全ての机が見える位置に一人用の机を用意する。
配置を変えるとほんとに会社じゃん。
ニコラスが課長でパーシヴァルとアレックスが係長かな。
景色が馴染みありすぎて落ち着く。召喚されて以来、初めての感覚。
特に仕事が大好きって訳ではなかったけど、何年も働いてたからこういう雰囲気落ち着く。
締切やばくて皆で頑張る空気も好き。
二つの島に厨房チーフから貰ったお菓子を分けて置いた。
ニコラスに確認して、私は書き終えた手紙を読んでサイン代わりのステンシルをする作業に入る。
宛先を見て、当初予定だった旅程と変更後の順番をチェック。その祠にどういった内容を送るか確認して読み始める。
さすがニコラス。簡潔な文字数できっちり真心を込めた雰囲気を醸し出してる。上手。すごく優しくて思慮深い聖女からの手紙って感じがする。
読み終えて、文末にステンシル。
スタンプはやく出来上がらないかな。
封筒の宛名と手紙が一致しているかチェックして、封筒に入れる。
最後はシーリングスタンプをするらしい。お洒落だな。
「終わったー!」
三通ほど読み終えたところで、隣の島から歓声が聞こえた。
申請書類を書き終えたようだ。良かった。
「お疲れ様ー!」
混ざってハイタッチしに行った。アレックス、ギルバート、リアム、ちょっと遠慮がちだったけど騎士さんにも。
これで明日の朝一、出しに行けるね。
会議室に人数分の夕ご飯を用意してもらっていたから、騎士さん達にはご飯を食べてから騎士団の仕事に戻ってもらった。
業務外なのにありがとうございます。
手紙の島も、ひとまず区切りにして皆でご飯をとった。
具沢山のサンドイッチとスープ、フォークだけで食べられるおかず。どれも美味しかった。
ご飯の後は、もう終業時刻だから解散。
明日の朝一番にアレックスとギルバートで出来上がった書類を提出しに行ってくれることになった。
不備等あればその場で突っ返されるそうだから、確認し終わるまで待機しとくって。枚数すごいし、午前中いっぱいかかりそうだな。
その間こちらはニコラス、パーシヴァルと侍女三人で手紙を書いて、私が内容確認、聖女ステンシルはリアムがやってくれることになった。
「明日もよろしくお願いします」
皆にお疲れ様、また明日といって別れた。
忙しいけどやること決まってて見通し立ってるこの感じ、嫌いじゃない。