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召喚されて三日。

祈り巡りの旅までの期間は身体に合わせた聖女装束の作成や諸々準備の為らしく、割と暇に毎日キラキラファイブとお茶などしている。わかったことがいくつか。

まず、私の前に召喚された聖女さんはもう亡くなっているということ。

聖女召喚は六十年ごとに行うらしく、それなら会えるかと思ったけど間に合わなかった様子。

せめて私と同じ地球から来た人なのか確認したくて色々聞いたけど、キラキラファイブは当然彼女がこっちきてからの功績しか知らず何も情報を得られなかった。

次に地図。

国全体の地図に主な街道とお祈りする祠がある場所が載っているものを用意してもらった。

どこから回るのかはまだ教えてもらえないらしい。

慣例から行くと現在いる首都から始まり、人口の多い主要都市を先に巡るぽい。

陽脈の歪みがあると魔物が増えて人や家畜を襲うらしく、現在も被害が少しずつ出ている状況だという。

だから人の多いとこからいくのかな。

って私が行ったところでどうなるのか未知な訳だけど。聖女パワーみたいなのが無かったらどうしよう。


そうそう、最初にたくさんいたおじさん達は、全国の祠の祭祀みたいな人達なんだって。百ある祠全ての祭祀を集め、魔法陣を用意して百日かけて祈りを捧げると聖女が召喚できるらしい。大変じゃん。

おじさん沢山いるって思ったけど百人いたんだ。

それで百日祈った結果が転んだせいで間違って来ちゃった私なんだから大変だ。

大掛かりな行事のため、準備に三年かけるものらしい。うわー。ごめんとしか言えない。ごめんとも言えない。

私だってやりかけの仕事残して召喚されちゃったんだからね!親だっているんだからね!まぁ出来た妹が実家の近くで結婚して子供もいるから心配してないけど。私個人は恋人もいないし仕事にも特に未練ないからいいけど。

案外異世界ライフ楽しんでるけど。


ところでキラキラファイブ以外の人と接点がない。

私のお世話してくれる女性が何人もいるけど、話しかけても反応くれないんだよね。冷たい訳ではないけど、世間話すら応えてはいけないという感じ。ありがとうって言っても目礼で返されるだけ。

必然的に話す相手はキラキラファイブのみ、だから何を聞くにも資料を用意してもらうにも説明を受けるにも全てキラキラファイブからなんだよね。

正直、ファイブ達をどれだけ信用していいかわからない。だから色んな人から話を聞いて整合性確認したいし、立場が違うと言うこと違うみたいなのも聞いときたいんだけど。明らかに情報統制されてるというか。

その上行動範囲も決められてるっぽいんだよね。

自室とお茶会ルーム、晩餐ルーム、中庭、小会議室、あと廊下。それだけ。人とすれ違うこともない。

移動中は前にも後ろにも横にもキラキラファイブ、もしくは世話役の女性がくっついているので一人でウロウロすることもできない。あれ?怖くね?

地図だってこっちからお願いして用意してもらったんだけど、それも渡していいか確認取ってからぽかった。

キラキラファイブは誰かの指示の下動いてる。怖いー。誰ー。多分王様?とか?なのか?

召喚されてからというもの、とにかくされるがまま流されているから困る。生活に関しては手厚く保証されてるしご飯美味しいし、毎日イケメン五人に張り付かれて、若い女の子ならさらっと流されてくれるかもしれないけどこちとら社会人十年やってんすわ。高校生くらいの男の子にチヤホヤされてもどう考えても接待なのよ。

とにかく話ができるキラキラファイブ以外の人と接触したい。


という訳で朝、係の女性に起こされる前にこそっと部屋を出てきた。

普段は多分全部二階フロアで完結する生活だから、階段で下に降りたい。

この建物は誰かの屋敷なのか公共施設なのかわかんないけど、すごく大きくてきれいな邸宅っぽい。行動範囲に許されている先の廊下に初めて出た。そそくさと速歩きで階段探索。廊下を曲がってまた曲がって、あった!

誰の気配もなし。いける!

心臓がめちゃくちゃドキドキする。知らない石造りの階段を降りると二階とそう変わらない廊下だった。

誰か、話ができそうな人を見つけたい。できれば優しそうな女性がいい。そーっとそーっと足音を立てないように廊下を進み、角を曲がったところで

「うわっ」

人とぶつかった。

背が高い。男の人だ。キラキラファイブじゃない。とりあえず接触成功。第一村人発見!

「おい、誰だ」

ガシッと手首を掴まれた。痛い。

「どこから入った」

ヒィッ、ここの人じゃないってバレてる!ここで聖女って言ったらすぐ部屋に戻されるやつだよね?

「おおおおはようございますっ!」

「来い」

ヒェッ、やばいやつ?でも聖女って言えば最終何とかなるか?

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