プレゼン
結論から言うと、うまく行きました。
治癒院の特別診察室でまずはパーシヴァルのお父さんと治癒協会会長さんに会った。
聖女ですと挨拶して、先制攻撃に御札を渡すとひれ伏さんばかりに喜ばれ、何でも協力すると言われてしまった。
早っ。
でもちゃんと納得して協力頂きたかったのでそこからパーシヴァルとニコラスと私で資料を見せて説明。
地図も資料もよく整理されている、データのまとめ方も申し分ないと講評を頂いた。やったー!
それから、会長さんが全国の治癒院の、魔物が原因の怪我や後遺症の数について取りまとめると申し出てくれた。
一年分なら纏められるとのことで、貴族委員会でその数字も合わせて説得材料にしてもらえるという。
ありがとうございます。
最後に二人に握手して終わった。
次はニコラスのお父さん。
流石に今度はチョロくないだろうと思いました。
ニコラスが割と根回し上手で本心読ませないタイプだし、そのお父さんなら尚更一筋縄ではいかなさそうと思っていました。
そう、ご本人に会うまでは。
まさか部屋に入るなり跪いて「何なりとお申し付け下さい」って来るとは思わなくない?
まぁニコラスから多少事前説明はあっただろうけど、聖女様のお心のままに、って。
聖女信仰が激しくて少し怖かった。
こちらも資料見せて説明したら、委員会で旅の順番を変えることを約束してくれた。
裏工作ならお任せって感じだし、ありがたや。
治癒協会会長さんとも打ち合わせして、協力して進めてくれるらしい。
これでブレント第一騎士団長が話をしてくれる騎士団総長さんも合わせたら三名が動いてくれることになる。
騎士団総長さんて動いてくれるよね?
ニコラスのお父さんが部屋を出てから、後ろに立っていたブレント第一騎士団長を振り返る。
「騎士団の総長さんへのお話は大丈夫ですか?」
「話はしてあります。邸に戻りましたら、今日の資料を持って説明に伺う予定です」
「私からはお話しなくていいですか?」
「民衆の安全にも関わる話です。納得頂けるかと思います」
総長さんてしっかりした人なんだ。よかった。
ブレントさんがちょっとだけ迷うような顔をした。
「どうしましたか」
「厚かましいお願いで恐縮ですが、騎士団総長にも聖女様のアミュレットを頂戴できませんでしょうか。大変お喜びになると思います」
オッケーオッケーそれならすぐできる。
「大丈夫です。部屋に紙の用意がありますから、戻ってすぐにお作りします」
何かあの御札、結構有難がられてる。紙に好き勝手書いたものを申し訳ない。
聖女直筆がプレミアなんだろうか。
御守りみたいにちゃんとしたやつじゃないけど、まぁ聖女そのものが神聖視されてるから、聖女手製なら価値を感じちゃうんだろうな。ラッキー。
しかも御札なら裁縫や工作の必要なく、切った紙さえあれば増産可能。私の手の疲れない限り。
中々コスパの良いアミュレットを選択したじゃん私。
その後、屋敷へ戻ってカーラさんと交代。
何事もなく、入れ替わり作戦は大成功を収めた。
すぐにブレントさんへ、騎士団総長さんへのアミュレットをお渡ししなければいけない。
なんて書こうかな。
ゆうもうかかん、って書きたいけどいまいち漢字に自信がない。もし誤字を渡してしまったらダメすぎる。
一騎当千もいいけど、ギルバートに使っちゃったしなぁ。
あ、ここであえての「騎士団総長」って書くのはどうだろう。
大変なお仕事だろうけど、頑張ってください的な意味を込めて。
それでいっか。
御札に大きく「騎士団総長」と書いて、直線的な模様で装飾した。色はブレントさんに聞いた総長さんの騎士服の色。
おー、かっこいい感じ。
ついでにブレントさんにも渡しとこう。この件に関わった人でブレントさんだけ渡してなかった。ごめん、忘れてたわけではないんだけど。
「第一騎士団長」と書いたものをブレントさん用に用意した。
ゆうもうかかん→勇猛果敢
自分が調べずに書けるかと考えたら自信がありませんでした。