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討伐記録

「お願いします!」

「ありがとう」

私はリアムから紙の束を受け取った。


最初の祠を攻略した翌日。

アレックスとギルバートに騎士団の資料を頼んだ。

魔物の出現報告と被害記録、討伐記録だ。

聖女からの強い要請ということで私とファイブ全員の署名付きで申請書を提出し、外部持ち出し不可の資料を一部書き写す許可を取ってきてもらった。

アレックスとギルバート二人で何とか騎士団の役職者を説得してくれた。

何なら私が直接行こうかと思ったけどそれは止められた。ちぇ。

大量にあるので騎士団の事務室で二人が書き写し、貯まったらリアムが馬で騎士団本部からいつもの邸宅の会議室に持ってきてくれている。


騎士団にある資料は騎士団が討伐した魔物と、騎士団への報告義務のあるミドルクラス以上の魔物についてとのこと。ひとまず一年分の資料を確認したい。

報告義務のない魔物は資料に上がらないけど、魔物について整備された記録はこれしかないらしいので仕方ない。


資料から必要な数字を書き写し、見やすいメモに整理するやり方は昨日の祭祀さんが教えてくれた。

祭祀さん、サイモンさんは元文官とあって書類の様式や数字に強くてめっちゃ助かる。

昨日ちょっと仲良くなったので巻き込んでしまった。ありがとう。助かります。


ニコラスとパーシヴァルは大きい地図に出現情報と被害件数をひたすら書き込んでくれている。

私は領地や都市の名前がわからないので戦力外のため、見ているだけで申し訳ない。

せめてエリンさんにお願いして、飲み物や食べ物を用意してもらった。

アレックスとギルバートにはお弁当。

資料全体の数がわからないけど、討伐記録の日付がもう九月になってるから、多分午後のおやつの時間頃には終わるんじゃないだろうか。

みんなが戻ってきたら出せるように、おやつや軽食の準備もお願いしておく。頭使ったらお腹すくもんね。


昼の二時過ぎにアレックスとギルバートが資料を写し終わって帰ってきた。頭の普段使わない部分を使って疲れたと言ってぐったりしている。

ニコラス、パーシヴァルと先に合流していたリアムの三人が最後のメモを地図に写して、三時前には魔物被害マップが完成した。


「やったー!みんなおつかれさま!」

私達の初めての共同作業の出来は素晴らしかった。

地図を壁に貼って、みんなで眺める。

「こうして見ると黒の森周辺は圧倒的ですね」

ニコラスが言った。

確かに黒の森の近くはみっしり魔物情報が書き込まれている。書ききれずに欄外にまで。

「後は都市から離れた街道で被害が多いですね」

とパーシヴァル。

「ここに、何となく線が見えませんか?」

アレックスが地図の北東から南西までを指でなぞった。

確かに、斜めの線で被害が集中しているところがあった。

「これが陽脈の歪んでシワの寄ってるとこって感じですかね」

祭祀のサイモンさんに聞いてみると、確証はないが多分そうとのこと。

陽脈なんて目に見えないから、確認はできないもんね。


「このライン上の、被害の多いところに近い祠から回っちゃダメなのかな」

「貴族委員会の決めた順番と全く異なりますから、意見を上げても却下されるでしょう」

とニコラス。まぁそうだよね。

「この地図見せてさ、数字で納得させられないかな」

「黒の森近辺を後回しにする様な委員会が、今更動くとは考えにくいです」

とアレックス。そっか。

「決定を無視して勝手に祈り巡りの旅を始めちゃうのは無理?」

「聖女様の安全を守るため、騎士団も帯同することになっています。我々だけでは…」

「勝手なことしたら俺らはクビ、聖女様は厳重に警護の上、鉄格子付きの馬車でお出かけになるんじゃないか」

と、パーシヴァルとギルバート。監禁生活は困るな。

「貴族委員会のメンバー全員の弱みを握って言うこと聞かせるとか」

「高位貴族や王族の覚えめでたいやり手ばかりですから、現実的では無いかと存じます」

ついにサイモンさんからも止められてしまった。うーん。


「まあ、休憩しながら考えよう」

ちょうどエリンさんがお茶の用意をしてくれていた。糖分いれて考えよう。

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よろしくお願い致します。

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