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召喚

出勤途中、忘れ物を思い出した。天気予報は晴れのち雨。折りたたみ傘がない。玄関に出したままだった。急いで取りに戻ろうと勢いよく方向転換して、制服を着た女の子にぶつかった。

「ごめんなさい、大丈夫?」


よろけて顔をあげると、相手はどこにもいなかった。


「あれ?」

見回すとどこここ。地面がアスファルトじゃなくて白い大理石。カツンとヒールが鳴った。

辺りを見ると、建物の中。白い服を着たおじさんが大量にいる。

なにこれ怖。

後ろを確認すると祭壇のようになっている。おじさん達から距離を取って後ずさった。

ザワッ、おじさん達がざわめく。するとおじさん達の後ろから男が歩いてきた。

「ようこそ聖女よ、歓迎しよう」

男は近くで見ると大分若く、大層きらきらしていた。

高校生くらい?子供じゃん。後ろに同年代の男の子達を引き連れている。ぱっと見たところ全員若く美しい。服も仕立と布が上等なものだって私にもわかる。

簡素な白い服のおじさん達との落差すごいな。年齢とビジュアルの。

男の子達に案内されて、私はおじさんで一杯の部屋を出た。おじさん達からめっちゃ視線感じて気まずかった。



結論から言うと、聖女召喚されました。

こちとら三十路過ぎの会社員な訳ですがそれが聖女でいいのか。

男の子達は貴族令息らしく、それぞれ自己紹介されたけど名前が長くて覚えられなかった。

よく考えたら通勤カバンに手帳あるんだからメモすればよかった。

とりあえず全部で五人。一番最初に来た子がアレックスっていうのは覚えた。一番偉いっぽかった。

それぞれ公爵とか伯爵とか言われたけど、いまいち上下関係がわからないんだよな。世界史取ってなかったし。社長とか専務とか部長って言ってくれたらわかるんだけど。

しょうがないので男の子五人まとめてキラキラファイブと名付けた。

そんなこんなでお話の後お風呂、着替え、ごはんが済んでベッドの上。やっと一人になれてホッとした。

お風呂では係の人達に洗われ保湿剤塗ったくられ、スーツを取り上げられて下着から全部用意されたものを着せられて、その後はまたキラキラファイブとお話、ご飯も一緒。

ファイブ達はいちいちエスコートをしてくれて何かとこちらを気にかけたり話しかけたり代わる代わるされるので、全く気持ちが休まらなかった。

何故若人たちにこんなにチヤホヤされるのか。多分キラキラファイブが聖女の接待役なんだろうな。私が十代だったら多分ときめいてたもん。

って。

って!

もしかして聖女って私がぶつかっちゃった女の子だったんじゃないの?!

制服だったから高校生か中学生だもん!

絶対そうじゃん!

キラキラファイブも多分十代の聖女をチヤホヤ接待する為に結成されてるよね!

はい解散!


結論が出たところでどうしようもない。

スマホはつかないし(充電あったはずなのに何度ボタン押しても反応無し)帰る術もないらしい。キラキラファイブ曰くだから嘘つかれてる可能性はあるけど。


聖女ってのは、この国の陽脈?の歪みを治す役目らしい。

色々説明されたけどあんまりわからなかった。

多分ざっくり言うと地盤プレートが少しずつずれてて負荷がかかったところで地震が起こるように、目に見えない脈?の歪み?がこの国は集まるらしい。どうやらこの国特有の症状ぽい。それを祈りで治すんだって。

無理かもなー。聖女じゃないっぽいもんなー。

祈りは国内百ヶ所(!)にある祠を巡って行うらしく、出発は五日後とのこと。それまでにできるだけ情報収集しないとな。

まずできることは身体を休めることだね。

私は柔らかい布団の上で目を閉じた。


登場人物名前

リチャード→アレックス

に変更しました。

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[一言] まさかの取ってくる相手は座標指定?
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