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第3話 検証②

週に1~2話は書きたいなぁと思ってます。

「今日は昨日出来なかった事を試そうか」


今日は狩りは休みらしくキロクは家で寝ている。

レントはいつものように剣の訓練をする為に村のはずれに向かっていた。

いつもの場所へ向かうとそこにはすでにシンが弓の訓練をしている。


「おはよう、シン」

「今日は早いな」


「レント、ちょうどいい所に来たな」

「いやーこれ一人でやるの大変だったんだよ」


笑顔でレントを迎える。

シンは動く的をどうすればと考えていた。

最初に紐に的をつけて手動で動かす方法を考えついた。

だが一人では稼働が難しく諦めていた。

次に思い付いたのが振り子のように動かす方法だった。

予め木に括りつけていた的を振り子のように揺らして一旦離れてから弓を射る。

上手くいっていたのだが弓を射る為にはそれなりに離れる必要がある為、一人でやるには大変だった。

そこでレントの登場である。


「この的を動かしてくれ」

「慣れてきたら距離を伸ばしたり的を増やして二つとかにもしたいんだ」

「今はそんなに遠くない距離で一つの的に確実に当てれるようにする」


「ちゃんと後で俺の訓練にも付き合ってくれよ」


「分かってるよ」

「じゃあ先によろしく頼む」

「合図を出したら大きめに揺らしてくれ」


そう言うと遠く離れた所まで移動する。

そんなに遠くないと言っていたがすでに30m離れている。

この距離でも動く的に当てるのは難しい。


シンから合図が送られる。

レントは大きく振りかぶって出来るだけ的が大きく動くように投げた。


集中力を高める。

弓を引き絞り的を見つめる。

大きく息を吐き、吐ききったところで息を止める。

止めたと同時に矢を放った。


ヒュン、トン


矢は的に当たり振り子の運動が矢が当たった勢いで不規則な運動に変化する。


ヒュン、トン


ヒュン、カッ


続けて二本の矢が的に飛んでいくが一本は当たり、もう一本は的を掠め外れる。

一本目の矢が当たった事で的の動きが変化したため続きの矢は外れてしまっていた。


「連続だと上手くはいかないか」

「一本目が当たった後の動きも予測しないといけないな」


「おーい、まだ続けるかー?」


「頼むー」

「矢を抜いたらまた揺らしてくれー」


こうして手持ちの矢が無くなるまで続けた。

流石に弓を引き絞る手も疲れてきて手を挙げるのが辛くなってきていた。

しかし、最後には的に二連続で当てる事が出来るようになっていた。

そして連続で放つ矢の間隔も早くなっていた。


「ん?」

「速射・二か」


この訓練を行った事で新たなスキルを取得出来ていた。


速射・二・・・二連続で素早く矢を放つ


「結構使えそうなスキルだな」

「二って事はまだ三とか四とかあるのか?」

「あったとしてもまだまだ俺には先の事だな」


「もう終わりか?」


「あぁ、もう手を挙げるのが辛いわ」

「的二つはまだまだ先だな」


「おいおい、そんなんじゃ俺の訓練は手伝えないじゃないか」


「はははっ、仕方ないだろ」


「まぁいいよ、今日もこの前のスキルの検証が優先だから」


「じゃあ俺はちょっと休んどくわ」


そう言ってシンは地面に横になる。


「さて始めるかな」

「とりあえずトラーゲン中に剣技が使えるかやってみるか」

「あの木でやってみるか」

「モンスタートラーゲン・ゴブリン」


纏った光を吸収していく。


「一回目はやっぱり身体が軽いな」

「よし、やるか」

「ふぅ、閃刃」


通常木を斬りつける場合剣が入っても斬り抜けない事が多い。

対魔物や対人とは違って表面から中までそれなりに硬いため、武器自体を良い物にするか単純な力を上げなければ切り抜けることが出来ない。

若しくは強力なスキルを使用する事だ。

元々レントが使用する閃刃は表面を薄く斬る程度であった。

今レントが放った閃刃は木の中程まで見事に切り抜けていた。


「おぉ、やっといてなんだけど大分威力が上がってるな」

「ここまでとは思わなかったな」

「とりあえずトラーゲン中でも剣技は使えるか」

「身体もそんなに負担は無さそうだな」


閃刃を放った後も身体への負担は変わらないようだった。

特に何処か傷めたりしているわけでもない。

まだ動けそうであったためスキルが切れるまで素振りをする事にした。

集中して素振りをしていると疲労感が出てきた。

十分も経っていないが身体から光が抜けていく。


「一回目はまだマシだな」

「急に疲れが来るって分かってるのと分からないのとでも随分違うか」

「それよりも前より短かった気がするな」


昨日限界を確かめた時は十分は持続していたが今は八分くらいであった。


「スキルを併用したからか」

「その分体力を削られて持続時間が短くなったのかな」

「そう考えると使うスキルによっても変わってくるか」

「まだまだ試さないといけないな」


シンの方へ目を向けるともうぐっすりと寝ている。


「手伝う気が全然ないじゃないか」


呆れながらスキルの検証に戻る。


「次は任意の中断だな」

「モンスタートラーゲン・ゴブリン」


纏った光を吸収する。


「さて、中断するって言ってもどうしたらいいんだ?」

「中断」

「解除」

「中止」

「終了」

「休止」

「停止」

「途絶」

「止め」

「んー全然違うなー」

「言葉ではないのか?」


スキルが終わる時はいつも身体に吸収した光が身体から霧散するように抜けていた。

先程の言葉ではそのような事は起きなかった。


「どうしたらいいんだろう?」


スキルが終わる時の身体から光が霧散するような状態を考えていると光が身体から霧散し抜けていった。


「おぉ、もしかして光が抜けるイメージで中断出来るのか」

「特別な事は特にしてないしスキルが終わる時の事を考えてただけだしな」

「あれ!?」

「そういえばいつもの終わる時に感じる疲れがない」


スキル終了時に感じていた疲労感が感じられない。

昨日二回目の使用時には膝をつく程だったのに今は疲労もなく普通に立っている。


「スキルを使用した時間で体力が削られるのか」

「今回は途中中断したから体力が残っているってことかな?」

「そうだとするとこれからの戦闘では有用になりそうだ」

「あとは他の魔物もスキルで使えるかだけど・・・」


「ふぁぁあ、もう終わったか?」


「もう終わったか?じゃないよ」

「全然手伝ってくれないじゃないか」

「まぁ手伝って貰う所はなかったけど・・・」


「まぁそう言うな」

「今からなら休んで身体も楽になったし手伝えるぜ」


「とりあえず今出来る検証は終わったんだ」

「あとは他の魔物でもスキルを使えるかなんだ」

「スキルを使えるようになった時はゴブリンを倒した時にうっすら光ってるような石を落としてな」

「それを戦利品として拾って皮袋にしまおうとした時に光が強くなってスキルを覚えたんだ」


「その石って魔石じゃないか?」


「魔石?」


「父さんが言ってたけど魔物は数体から数十体の確率で魔石を落とすらしい」

「街に行けば換金出来るみたいだし結構稼げるみたいだぜ」


「そうか、じゃあ他の魔物を倒して魔石を手に入れないと分からないな」

「とりあえず検証は一旦終わりだな」

「剣の訓練を続けようか」

「シン、相手になってくれよ」


「馬鹿言え」

「今のお前とやったら瞬殺だわ」


「んーじゃあ躱したり打ち落としたりする訓練の為に石を投げてくれよ」


「それくらいなら任せてくれ」

「じゃあ石を集めるか」

「レントはそっちを頼む」


「了解」


それぞれ訓練に使う石を集めに行く。


「ふぅ、この位でいいか」

「シンが集めてくる分もあるし多いくらいか」


集めた石を持って元の場所に戻るとすでにシンは戻ってきていた。


「おーい、レント遅いじゃないか」


「俺はお前みたいに休んでないから疲れてんだよって・・・」

「えっ?!」


「ちょうど良いのが沢山あったんだよ」


レントが持ってきた石は小石と呼べる物だったがシンが持ってきたのは握り拳大の大きさの石だった。

数もレントの倍持ってきていたのだ。


「いや、一つ一つデカいし数も多いだろ」


「いいじゃないか」

「その方が訓練になるだろ」


「そう言われたらそうなんだけど」

「まぁとりあえず始めるか」

「とりあえずこの位から投げてくれ」


レントの訓練を始めた。


・・・30分後


「だぁぁぁ、はぁ、はぁ」

「もう終わりだなっ」


最後の石を木剣で打ち落とし地面へ大の字となる。

シンの石を投げるペースが早く呼吸を整える間も与えてくれなかったのだ。

それによる疲れからか数回は身体に被弾していた。


「だめだ、もう動けない」


「俺も腕が疲れたわ」

「今日はもう弓は引けないな」


シンもレントのように大の字になる。


「とりあえず寝るか」


「お前はさっきまで寝てただろ」


「また疲れたからいいんだよ」


二人ともそのまま眠りについた。


「・・・ト」

「・・ント」

「これ、レント」


「ん、ふぁぁ」

「じぃちゃん、どうしたの?」


「どうしたのじゃないわぃ」

「なかなか帰って来んで様子を見に来たんじゃよ」

「そしたらシンと二人で寝ておるからのぉ」


「えーっと、外が暗くなってきてるしもしかして夕刻?」


「そうじゃよ」

「じゃから心配になって見に来たんじゃ」

「その様子じゃキツい訓練でもしとったんじゃろ」

「それとな、これシン起きなさい」


「・・・んにぁ」

「なんだ、レントのじぃさんじゃないか」

「どうしたんだよ」


「お前の父さんとも話して来てのぉ、明日からレントとシンを狩りに連れて行く事にしたんじゃ」

「お主達はもう森へは入っておるじゃろ」


「「え!?」」


レントとシンは驚き、一瞬の硬直の後互いの顔を見合わせる。

二人ともまさかバレているとは思っていなかった。


「そ、そんな事ないよ」

「なぁレント」


「そ、そうだよ」

「訓練してたから森になんて行ってないよ」


「嘘はつかんで良いわ」

「傷の痕を見れば分かるわぃ」

「この数日はいつもよりも疲れておったしな」


「黙っててごめんなさい」


すぐに観念しキロクに謝るレント。


「よいよい」

「ゴブリン程度ならレントでも大丈夫じゃろう」

「ただこのままにしておいたらもっと森の奥に入って行くじゃろうと思ってな」

「そうなる前に狩りに連れて行こうと言う話になったんじゃ」


「じゃあ俺達狩りに連れて行ってくれるのか?」


「あぁ」

「じゃがちゃんと言う事は聞くんじゃぞ」

「お主らは二人になると無茶をするからのぉ」


「ありがとう」


先程とは違い嬉しそうに互いを見る。


「もう遅いし帰らんとのぉ」


「明日に備えてしっかり寝ないと」


「シンは今日は寝てばっかりじゃないか」

「まぁでも今日は早く寝ないとな」

「明日は頑張ろうな」


「おぅ」

「また明日」


そうしてそれぞれの家で明日の準備をし眠りにつくのであった。

もし面白いと思って頂けたらブックマークや評価をお願いします┏○ペコッ


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