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第2話 検証

とりあえず今書けている2話分投稿します。

「いってらっしゃい」


いつもと同じようにキロクを見送り、森に出る準備をする。傷薬は昨日使ったがまだ残っていたためそのまま持っていく事にした。剣も昨日のうちに手入れは済ませていたため綺麗な状態になっていた。


「よし、行くか」


昨日の森へ出た柵の場所へと向かう。

そこには既にシンが来ており、腕を組み待っていた。


「やっと来たか」


シンの姿をみると小型弓と矢筒、短剣を持ってきていた。

シンの父親は弓使いであり、狩りでは有能であった。

そんなに父に幼い頃から弓を教わっており、シンの弓の腕も大人に匹敵するほどまで上達している。


「無茶はしない事だけは約束してくれよ」


「分かってる」

「でもレントの方が心配だよ」

「お前は昔から集中したら周りが見えなくなる事があるしな」


「そうかな」

「そんな事ないと思うけど」


昨日と同じように柵を外し森へと向かって行く。

魔物の気配はなくしばらく奥へと進んでいく。


「今日は出会わないな」

「昨日はこの辺りでゴブリンに遭遇したんだけど」


「まぁそんなもんじゃないのか」

「狩りと一緒だろ」

「父さんも狩りに出ても良い収穫の時もあればそうじゃない時もあるっていつも言ってるしな」

「もう少し進んでみようぜ」


「そうだな」

「出来ればまたゴブリンが出てきてくれたらいいんだけどな」


そう言いながら更に奥へと進んでいく。


「ゴフゴフッ、ゴフォァ」


「ゴブリンだな」

「せっかく見つけたけど2体か」

「いけるか?」


声をおとしながらレントに話しかける。


「もうちょっと様子を見よう」

「出来れば一体の方がいい」


慎重に越したことはない。

昨日は上手くいったが今日はどうなるか分からない。

木の影から様子を伺う。

ゴブリンは基本的には単独行動をしている者が多い。

上位の個体になると統率し数体から数十体で行動する事もある。

稀に弱い個体同士で共に行動している事もある。


「ん?」


右側にいたゴブリンが方向を変えて離れていく。

どうやら一緒に行動していたわけではないようだ。


「よし行こう」


「俺が牽制する」

「足を狙うから追撃頼む」


「分かった」

「合図出したら頼む」


昨日と同じように後ろに回り込みゆっくりと近づいていく。

10m程度の距離に近づいた時にシンへ合図する。


ヒュン


風きり音がするとゴブリンの足には矢が突き刺さっていた。


「ゴギヤァ」


矢が刺さってから遅れてゴブリンの悲鳴が聞こえてきた。

直後レントがゴブリンの脇から駆け抜ける。


「ゴフッ」


シンの矢のおかげか閃刃を1回放っただけでゴブリンは倒れた。


「ふぅ」


「やったな」

「これくらいなら簡単にいけそうだな」


「油断は禁物」

「まだ2人での最初の戦闘だからな」

「次からも気を付けながら戦わないと」


「はいはい」

「でもまぁ二体出て来たらどうするか戦い方も考えとかないとな」

「さっきみたいな事もあるだろうし」


「そうだな」

「さっきのはスキル?」


「あぁ、狙い撃ちのことか」

「絶対当たるって訳じゃないんだけど命中率が上がるんだ」

「今の俺じゃ見えてる所しか無理だけどな」

「もっと凄い人は見えない部分にも矢を当てれるらしいぜ」

「レントのさっきのやつもスキルか?」


「あぁ、閃刃って言ってな」

「剣速を上げて斬りつけれるんだ」


「だから急に動きが速くなってたのか」

「2人ともスキル1個ずつか」


「いや、実は1個じゃないんだ」

「ちょっと俺もよく分からないんだけど昨日新しいスキルが使えるようになったんだ」


「分からない?」

「レントは剣士だし剣のスキルじゃないのか?」


「それがモンスタートラーゲンって言ってな」

「名前からしても剣技じゃなさそうなんだよ」


「モンスターってきたら普通テイムだよな」

「とりあえず使ってみたらいいんじゃないか」

「今なら周りに魔物もいなそうだしやってみようぜ」


「そうだな」

「元々今日は試してみようと思ってたんだ」

「よし、いくぞ」

「モンスタートラーゲン」


スキル名を声に出すと頭の中にゴブリンの名前が浮かんできた。


名前も言わないといけないのか?

そう思いつつ頭に浮かんできた魔物の名前を口に出す。


「ゴブリン」


身体全体がうっすらと光に包まれる。

光に包まれたのは一時的で光はレントに吸収されるように消えていった。


「んー」

「何だったんだろう」


「今光ってたよな?」

「なんか身体でいつもと違う事はないか?」


「何にもない気がするけどな」


ふと足下を見ると片手に収まりそうな石が落ちているのを見つける。

普段ならそんな物に興味を示す事は全くないが何故か拾いたくなっていた。

腰を屈めて手を伸ばす。

石を拾い上げると違和感を感じた。


なんか軽い気がするな。


投げるには少し重そうな石だったが軽く持てたような気がしたので何気なく木に向かって投げてみる。


ヒュッ、ゴン


「え!?」


思っているより速くそして思っているより正確に木に投石されたのだ。


「レントってそんなに投石上手かったっけ?」


「いや、むしろ下手な方なんだけどな・・・」


そう言いながら考え込む。

投石なんてやっても下手くそだったし上手く投石するなんてゴブリン・・・・・・


「あ、そういう事か」


「なんだよ」

「どういう事なんだ?」


「ほら、ゴブリンって投石が得意じゃないか」

「モンスタートラーゲン・ゴブリンを使った事でゴブリンの得意スキルが使えたんじゃないかな」

「石も軽く感じたし力もゴブリンの力が上乗せされてる気がする」


と話していた所で急激に疲労感が出てきた。

それと同時に身体から光が霧散する。


「ぐっ」


「大丈夫か!?」


「大丈夫」

「このスキルは使った後に結構反動があるみたいだ」

「まだ実践で有効に使える程じゃないけど上手く使えればなかなか使い勝手がいいかもな」


「もう一体くらいいけそうか?」


「あぁ、大丈夫だと思う」

「昨日よりはもっと経験を積まないと」


「そうと決まれば探しに行くか」

「さっき離れていったゴブリンを追ってみようか」

「そんなに遠くまでは離れてないだろう」


そう言ってシンは方向を変えていったゴブリンの後を追っていく。


レント凄いスキル持ってたな。

俺にはそんな物ない。

まずこの弓をもっと使いこなせるようにならないと。


シンは進みながら考えていた。

弓の熟練度はそれなりで自信もあった。

それぞれ剣士と弓使いで違ったものだが同じように成長しているだろうと思っていた。

スキルも同じように1つずつだと。

しかし、発現は不明だがレントからもう1つのスキルを見せられた。

凄いスキルだった。

まだ使いこなせてはいないが有用なスキルであるとこは分かる。

一緒に行くと言い出したが足でまといにならないか。

もっと経験を積んで自分も成長しないと・・・。


「お・・・ン」

「おい、シン」


ハッとして名前呼ばれている事に気付く。


「おぅ、なんだ?」


「なんだ?じゃないよ」

「何回も呼んでるのに」


「ごめん、ごめん」

「ちょっと考え事してたんだよ」


「人の事言えないじゃないかよ」


「ホントだな」


笑いながらもこの会話が深く残っていた。


そうだな。

俺が周りを見れなくなってどうする。

今は森の中だ。

考えるのはあとだな。


「このペースだとそろそろ追いつきそうだけど・・・」


レントはそう言って周囲を見渡す。


「おっあれじゃないか」


シンの方を見るとすでに見つけていたようで弓を放てそうな位置を探していた。


「レント、次は頭を狙ってみる」

「運が良ければ一撃だけどダメだったら頼むぞ」


「了解」

「また近づいたら合図送るからな」


一体目のゴブリンと同じように後方から近づく。

距離を詰めた所でシンへ合図を送る。


シンは合図を受け取って大きく深呼吸する。

今回はスキルは使わないと決めていた。

スキルは使用する事で練度は上がっていくが新しいスキルは取得しにくい。

レントのスキルを見た事で自分にも新しいスキルが取得出来ないかと考えたのだ。

スキルを使わない分自分の力量が試される。

鋭い目付きでゴブリンの頭部目掛けて矢を放った。


「ゴギャァ」


ゴブリンに命中したが頭部ではなく左の肩に矢は刺さっていた。

左手に棍棒を持っていたため、矢が当たった事で棍棒を落とした。

すぐさまレントがゴブリンに斬り掛かる。

先程と同様に閃刃を使用していたが倒しきれず、振り返り追撃を加える。

すでに棍棒を落としていたゴブリンは防ぐ事も出来ずにレント追撃を受けたのであった。


「ふぅ、やっぱりさっきの戦闘で体力が落ちてたのかな?」


「レントすまん」

「頭に当てられなかった」


「いや十分だから」

「その距離で当たるだけで凄いんだからな」

「体力も落ちてきてそうどし今日はこの辺で引き上げよう」


「そうだな」

「帰ってからは動く的に当てる訓練を追加するよ」

「止まってるのとはやっぱり違うな」


「俺はこのスキルを使いこなせるようにする」

「体力も上げないとな」


それぞれ反省点や目標を話しながら村へ戻って行った。


家に帰ったレントはキロクが帰ってくるまでスキルの訓練をする事にした。


「これから試さないといけない事はたくさんあるな」


レントはスキルについてもっと把握しないといけないと考えていた。


・一回でどの程度スキルが持続するのか

・一日のスキル使用限界回数

・限界に至ったらどうなるか

・任意でスキルを中断可能か

・他のスキルと併用可能か

・ゴブリン以外の魔物でも可能なのか


簡単に思い付くだけでも六つは検証が必要だと思っていた。

知られていないスキルであるため確認しないといけないことはまだまだある。


とりあえず思い付いたらその時に確認していこう。


すぐに検証出来そうなものからやってみることにした。

まずは持続時間だ。

これは今の段階の確認も必要だが訓練によって持続時間が長くなっていくのかも検証していかないといけない。


「よし、やるか」

「モンスタートラーゲン・ゴブリン」


最初の時のように全身がうっすらと光に包まれた。

光がレントに吸収されていく。


「じっとしてても意味ないし素振りでもするか」


ビュンッ、ビュンッ


「やっぱり力が上がってるな」

「いつもより剣速が速くなってる気がする」


素振りの違いは分かったため家の周りを走ってみる。

特にいつもと変わらない。


「素早くなったりはしてないか」

「まぁゴブリン自体そんなに動きが速い訳じゃないしな」

「それ以外も特に変わりないか」


そうこうしている内に十分ほど経ち疲労感を感じた。

身体から光が霧散する。

光が抜けていくのと同時に膝をつく。


「はぁ、はぁ」

「森で使った時よりしんどいな」

「限界を調べるためだしもう一回使わないと」


呼吸を整えてから再度スキルを使用する。


「モンスタートラーゲン・ゴブリン」


先程と同じように光を吸収する。


「身体の疲労が関係してるのか」

「さっきよりも身体が重たい気がするな」


剣の素振りをしてみる。


ヒュン、ヒュン


「力もあまり上がってないか」


そうしていると疲労感に襲われる。

立っていられなくなり大の字に横になる。


「はぁ、はぁ、ダメだ」

「二回までしか使えないな」


三回目の持続時間は二回目の四分の一程度であった。

使用したら立っていられないほどの疲労を感じ倒れ込んでしまう。


「スキルの訓練でどうなるかだな」


・スキル持続時間十分

・一日二回まで

・限界に至るとスキルが中断されて立っていられなくなるほどの疲労感に襲われる


とりあえず今日分かったのはこの程度か。


「また明日も色々試してみるか」


キロクが帰って来てからは疲れのためかすぐに眠りについたのだった。



もし面白い、続きが気になると思って頂ければブックマーク・評価して応援頂ければと思います。

頑張って続けていきたいと思いますのでよろしくお願いします┏○ペコッ

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