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ダンジョン探索

 錬金術スキルで鉄とかを生み出せれば良いんだが、強度の高い物質の生成は無理だった。

 錬金術スキルによって獲得した硝酸、硫酸をまずは使う。硝酸と硫酸で1:3くらいだったよな? まずは混ぜよう。

 混ぜるのには、空中で魔法を使えば出来る。

 結界を鍋に出来れば良いんだが、あいにく結界は熱を通さない。鍋には不向きなんだ。

 そんなことを考えながら、硝酸と硫酸を混ぜたものに、水系統魔法で冷やしたグリセリンをぶっ込む。グリセリンを加えてからは、慎重に扱う。

 ニトログリセリンが完成すると、ダンジョンの壁付近に浮かせながら、衝撃を与える準備をした。

「サラ。離れろ」

「あ、おう!」

 二人で離れると、ニトログリセリンに向かって衝撃波を放つ。途端、爆発が起こる。初期のダイナマイト工作は成功だ。ダンジョンの壁は一部がぶっ壊れた。

「よし。鉄とオリハルコンを抽出しよう」

 手に熱を込めて、壁の破片を溶かす。磁力を応用して鉄、オリハルコンを取り出して冷やし、(かたまり)にする。

 ダンジョンの壁から得た塊を溶かして冷やし、再結晶を繰り返して、不純物を抜き去る。純度を上げて、こんなもんかとため息をもらす。オリハルコンは後で使えるから残しておいて、鉄を手に取った。

 純度の高い鉄を溶かし、鍋の形に成形をする。これで鍋が出来た。やっと採油が可能な状態になった。

「ブタの油と言えばラード。オークの脂身をいただこう」

 解体したオークの脂身を切り出して、鍋に入れる。目分量で適当に、下級水魔法を発動して水を注ぐ。中級炎魔法(中火)で鍋を熱し、十数分。そぼろやアクが出てきたから、丁寧に取り除く。()してから、魔法で宙に浮かせ、氷魔法でキンキンに冷やす。白く固まれば、ラードの完成だ!

「サラ。油が出来た」

「本当だ!」

「鍋もある。卵はさっき(にわとり)型の魔物から拝借した。オークのヒレで揚げ物を作れるだろ?」

 サラは目を輝かせ、ヒレを揚げていった。良い香りがしてきた。腹が鳴るのを抑え、ラードを作る過程で出てきたそぼろを食うために試行錯誤した。その内に、サラはヒレカツを調理し終えていた。

 俺はサラに許可を取ってから、ヒレカツにそぼろを振りかけた。それを食べてみると、悪くはない味になった。

「可も不可も無い味だ」

「私的にはうまく出来た気がしたんだが......」

「仕方ない。調理器具がそろっていない状況下だ。そうして見れば、上出来ってもんだ」

 ヒレカツを食っていると、体が白飯を欲する。ただ、ダンジョン内じゃ白飯はない。地上に出るまでの辛抱だ。

 晩飯を終えると、就寝の準備を始めた。寝込みを魔物に襲われたらたまらないから、倒した亜種のオークのコアに俺の魔力を流し込んだ。コアには魔力を溜める性質があるらしく、魔力を溜めたコアを核に結界魔法を展開すると、コアに溜まった魔力が尽きない限り結界は持続する。これで安全に、寝ることが出来た。


 目覚めると、何時間経過したかはわからんが、結界がまだ維持されている。すごいな。

 コウモリ系の魔物を生け捕りにするため、急ぎ魔物を呼ぶ魔法を展開。詠唱をした。サラはまだ寝ているが、維持された結界で守られているから安全だ。気兼ねなくいこう。

 集まってきた魔物の眉間に、炎魔法を打ち込んでいく。道を一つにしたから、一方向に魔法を放つだけで考えることはなにもない。こうしていると、ついにコウモリ系の魔物が来たから生け捕って、魔物を呼ぶ魔法を解除。魔物擬態で聴覚などの器官を真似し、コウモリの真骨頂とも言うべき能力を発動。

 超音波を発し、超音波が跳ね返ってきた時間から周囲の状況を計算。地図を作成する。何とか、このダンジョンの俺達がいる階層の地図が完成した。

 ダンジョンには階層がある。地上にある入り口が第一階層。下に降りるほど数字が増えていく。ここは何階層かわからんが、階層の端に階段がある。その階段で階層を行き来出来るわけだ。

 結界を退かして、サラを起こす。

「サラ。地図が出来た」

 その言葉に、サラは飛び上がった。「本当!?」

「ああ、嘘じゃない。この地図を使えば地上に最短で到着する」

「じゃあ、すぐに出発しよう!」

「そうしようか」

 準備をしてから、早速地図通りに進んだ。するとすぐに、サラはお腹が減ったと言った。

「そういえば、起きてから何も食べてないな」

「うん」

「なら、この生け捕りにしたコウモリを──」

「無理! それは無理!」

「え? コウモリは哺乳類だよ。哺乳類なのに、空を飛ぶんだ。鳥類じゃないんだ」

「哺乳類でもコウモリは無理!」

「そーかー」

 では、もう一段階コウモリの本領発揮だ。コウモリは超音波を発した後、周囲の状況を確認すると同時に動いているものを察知する。そして、ドップラー効果を利用してその生き物が近づいているのか遠ざかっているのか調べる。

 ドップラー効果は、簡単に言えば近づいているのか遠ざかっているのかわかる効果だ。遠ざかっていれば跳ね返って聞こえる波長は短くなり、近づいていれば跳ね返って聞こえる波長は長くなる。こうして、対象がどう動いているのか把握出来る。この能力で、魔物を仕留めよう。

 この能力を入手したことを聞いたサラは、空間把握系能力よりすごいね、と言っていた。コウモリがすごいだけなのだが......。

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