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地下迷宮

「それより」サラは結界を解除した。「何でロックドラゴンは寝ていないんだ?」

 さっき俺が触れないでおこうと決めたのに、こんなに早く触れられることになるとは。

「それ考えなきゃ駄目か?」

「駄目だろ。法則が狂ってきてんだよ」

「しゃーない! 俺が世界の法則を軌道修正してやろうか」

 軌道修正と言っても、なぜロックドラゴンが起きていたのか考えなくてはいけないか。なら、死骸を調べるのが一番だ。

「サラ。下級収納魔法から、ロックドラゴンの死骸を取り出してくれ」

「節操がないな。今出すから待っていろ」

 サラが下級収納魔法から出したロックドラゴンの死骸を調べる。別に異常な部分はない。

「異常があるとしたら、コアじゃないか? 魔物に魔法を掛ける際は、コアにするのが一般的だぞ」

「コアか」

 俺が破壊して地面に転がっていたロックドラゴンのコアを、拾い上げて確認する。

 魔法陣が刻み込まれている。

「この魔法陣は何だ?」

「見せてみろ......マジか!」

「何なんだ? この魔法陣は?」

「【外皮強固】という、私ですら使いこなせない上級魔法の魔法陣だ。イーガ山脈のロックドラゴンは他のロックドラゴンと比べて表皮が硬いと言われていたが、魔術師か誰かがロックドラゴンに外皮強固を掛けていたとは」

「この外皮強固とやらが、ロックドラゴンが寝ていなかった原因なのか?」

「違うと思う。外皮強固をしても、起きているとかそういうのに影響はないだろ」

 だとしたら、何でロックドラゴンは起きていた? 考えられることはほとんどないだろう。ヒントも少ない。それとも本当に、絶対的な法則が狂い始めているとでも言うのか!? それは考えたくないが、もしそうだとしたらゴーレムキングを倒す前に国王に報告に行かないと行けない。

 それではゴーレムキングのコアが手に入らない。首都に戻るという選択肢はない。

「ここでロックドラゴンを解剖しよう。何かわかるかもしれない」

「タツヤはロックドラゴンの構造を知っているのか?」

「知らないが、やるしかない。解剖しか手はないんだ。やれることはやっておくべきではないか?」

「わかった。手伝おう」

 解剖を試みたが、ロックドラゴンの体内に異常は見受けられない。困り果てると、ある可能性があることに気付いた。

「ロックドラゴンが起きたのは、法則が狂ったわけじゃねぇぞ」

「何だ?」

 俺は自分の考えをサラに話した。

「そういうことか!」

「だろ? ゴーレムキングを倒した後で、国王に改善することを提案しよう」

「硬貨廃止の次は町の改善案か。これなら未来永劫(えいごう)、オルタファイズ帝国の英雄になっちまうぞ」

「そうだな。死ぬまでにこの世界を住みやすい世界へと改善させたい。俺が元住んでいた世界の生活水準までは向上させたい」

「そんな世界が見てみたいな」

「よし、じゃあロックドラゴンを下級収納魔法に戻したらゴーレムキングがいる場所に向かおう」

「ゴーレムキングのコアは破壊するなよ」

「わぁってるよ」

 ロックドラゴンが起きていた原因については、後述する。まずはゴーレムキングを倒すために、イーガ山脈を越える。するとどうだろう。強力な魔物の気配を感じる。

「これがゴーレムキングの気配か」

「タツヤから見ると、ゴーレムキングは強いのか?」

「こいつは強い。ゴーレムとまともに戦ったら、勝てたとしても俺はかなりのダメージを受ける」

「オルタファイズの英雄でも、か?」

「そうだ。LVも高いし、魔力量はあっちが上手」

「勝ち目はないのか!?」

「いや、そうでもない。魔力量がどんなにあっても、結局は魔物。知性があっても統制を取るには時間が掛かる。その間にたたき込む!」

 サラにある程度の作戦を説明し、そろそろゴーレムが群れる場所に到着しようとした時だった。魔人の気配が近くにあることに気付く。

「また会ったな、英雄」

 目の前には、魔王ガルドの配下と名乗っていたアルシュナルドがいた。

「アルシュナルド!」

「律儀に名前を覚えていたのか。そう、俺は魔人アルシュナルド」

「なぜここにいる!」

「簡単な話しだよ。俺は魔人の中でも弱い。弱いが、知性はずば抜けているんだ。つまり、強者の下に属している。以前は魔王ガルドに属していたが、今はゴーレムキングの配下だ」

「だから、魔王ガルドのことを呼び捨てにしていたのか」

「大正解!」

 アルシュナルドの目的は何だ? わざわざここまで出迎えるメリットは?

「ゴーレムキングから命令だ。貴様らを潰す!」

「チッ! 戦闘だ、サラ!」

「安心しろ。俺はお前らを地下迷宮(ダンジョン)に入れるだけだ」

 アルシュナルドが魔法陣を構築して詠唱を(とな)えた。すると、俺達の足元の地面がなくなり、下に自然落下した。


 目覚めると、地下のダンジョンにいるらしいことがわかった。おそらく、アルシュナルドが俺達をこのダンジョンに俺達を落としたのだろう。抜け出さないと、ゴーレムキングがオルタファイズ帝国の首都に進軍してしまう。

「サラ、どうやらダンジョンの中だ。急いで抜け出すぞ」

「は? 無理だろ。ダンジョンってのはな、魔物がうじゃうじゃいるんだ」

 魔物が溢れかえっているのが、ダンジョン。それは何となくわかる。が、地上に向かう穴を作ればいい。

「全力で上に向かって魔法を放とう」

「無駄だ」

「何で?」

「ダンジョンの壁や床、天井は魔力障壁(しょうへき)(おお)われている。魔法でぶっ壊すのは不可能だ」

 ──嘘だろ?

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