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1話 人は炎上すると灰になるらしい

 一方ミケダマ根古はほんの僅かに開いた時間を使い放送ではなく裏で細かな調整をする。


「うーん、やっぱりオレのカメラ、こういう時ちょっとチャチかったかなあって」


 ミケダマ根古が見ている画面ではふたりのLive2D絵が同時に動いていた。

 ミケダマ根古はバージョンが初期ので星乃シソはバージョン更新された贅沢なバージョンだ。

 ミケダマ根古は揺れたり表情が見えるぐらいだが星乃シソのは首からグルグル動き全身がそれとなく自然に動くし6枚の翼は細かく連動して動く。


 問題は星乃シソのLive2Dがどうしてもガタガタしていることだ。

 オフコラボゆえに片方は立ち絵でミケダマ根古が立ち絵にするつもりだったのだが……

 どうやら難しいらしい。


 星乃シソはとにかく開いた時間を使って周囲を埋めていた。

 窓とカーテンを閉めて。

 次元超技を使い音を閉じ込め。

 ミケダマ根古が唸っている間に次々場を整える。


「ごめん、ノシ先輩の身体を動かすには難しいみたいだ」


「まあそういう設備投資は後でやったほうが良いですから。いきなりやっても、自分が必要なものがわからないですし……自分は立ち絵で良いので、根古さんが動いてください」


「そういうものなのかあ、ノシ先輩がそういうならいいか!」


「ゲーム画面キャプチャはできました?」


「今……やれた! もう準備万端だよ」


 ゲーム機が起動されゲームモニタにゲームが映し出される。

 PCを通しPCモニタへも出力されOBSが取り込んで映像が入る。

 放送画面はそれらが編集された映像が流れることとなる。


 今は放送されていないため何もサムネイル以外映っていない。

 それもあと10秒で解ける。

 ただまだ余裕はある。


 開けても蓋絵と呼ばれるオープニング用の画面が被さるように映せており曲もキャプチャした音とは別に入っている。

 ミケダマ根古がいくらズボラでも1月あれば学ぶことはたくさんあった。

 これらをすれば視聴者を数分追加で待たせても待ってくれる……という思考だが。


「放送始まった」


「音と映像はどうですか?」


「まだ蓋してるけれど、映像は裏でちゃんと流れているはず」


 分割式コントローラーの片方を星乃シソが持ちもう片方をミケダマ根古が受け取る。

 これはゲームの方をコントロールするコントローラー。

 ミケダマ根古が今あちこちいじっているマウスはPCのコントローラー。


 コメント欄は既に、


「はじまた」

「ねここいねこ」

「だまこいだま」

「はじまるー」

「ねここいねこ」

「おじゃまします」

「時間通りに始まって草」


と盛り上がっている。

 時間通りではないのは裏のふたりしか知り得ない。


 後少ししたらここに配信が始まる。

 ミケダマ根古はがらにもなく緊張し始め星乃シソはハラハラしだした。

 何か……やらかしそうな気がすると。


 星乃シソは既に配信はかなりの数やっており今更配信コラボ程度では緊張しない。

 ミケダマ根古はその経験が浅いので仕方ないが……

 何かミケダマ根古に聞くことを忘れている気がしていた。


 やがて時間がたって蓋絵が外される。

 放送画面上では動くミケダマ根古の絵やカラフルなゲーム画面それに立ち絵の星乃シソがいた。

 画面上の星乃シソは6枚の翼をたたえミケダマ根古は猫の獣人だ。


「ほーーい! 始まったよハンマショゾオスミケキャットゾクブイチュバノクミケダマネコとー!」


 ミケダマ根古の挨拶がなんだか詠唱みたいになっているなと笑いをこらえつつ星乃シソも話す。


「はい、6枚の翼がチャームポイント、同じくハンマー所属神系Vtuberの星乃シソです。今日はここに遊びにきましたよろしくー!」


 星乃シソもお決まりのセリフを読み上げる。

 もはやここに重要な要素はほとんど含まれていない。

 定型文が見た目の話なのはまさしく見た目から定型文が作られたからだ。


「んじゃ今回はコラボ企画ということで、前の時はね、対決ゲームでボロクソに負けたんだけどね、うんあれはまあ、時の運という感じで……」


「……あ」


 ここで星乃シソは何をチェックし忘れたかを気づいた。

 コメント欄をちらりと見て気づいてしまった。


「ミュート」

「本日のミュート」

「ミュート芸たすからない」

「ミュートだ」

「鼓膜ないなったかもしれん」


 マイク音声取り込みチェックをしていなかった。

 むざんに机に置かれたマイクは何の音も拾っていなかったのだ。


「オレだって本当はもっとやれるってところをね、今日は見せていこうかと!」


「ミュート! ミュートになってる!」


「へ? やっばっ」


 星乃シソはもはや内側にたまっていた感情に気づくラインを大きくこえていた。

 ……怖すぎて目を離したくない!







 ミュートを謝り挨拶をしなおしてゲームを開始していく。

 数分プレイしたところで星乃シソはそういえばと思い出す。


「そういえばまだみなさんには伝えていませんでしたね、ツイートした内容」


「ああ、そういえば! よっと、ノシ先輩そっち貼って」


「はーい、それでなんですけれど、まあお察しの通り私動いていないじゃないですか」


 コメント欄もそのことにはとっくに気づいていて少し前から指摘されている。

 ミュート騒ぎで話す順番が吹っ飛んでいた。


「まあそう大したことじゃない、よなあノシ先輩?」


「うん、これは初期から私のことを知ってくれている信徒さんくらいしか、まあ知らないとは思うんですけれど、私オフコラボしたことないんですよ」


「……え?」


 ミケダマ根古の顔が大きく驚愕するが気づかずに星乃シソは続ける。


「そこでついに! オフコラボ解禁第一弾として、新人のミケダマ根古くんと今日はオフコラボです!」


「初なのノシ先輩!?」


「言ってなかったっけ」


 星乃シソとしては連絡時の話でちゃんと書いたつもりである。

 一方ミケダマ根古にちゃんと全文読めというのは酷な話であった。

 つまり知らない。


 そしてコメント欄は……


「ノシがオフ!?」

「ノシオフありとか歴史動くやつやん」

「ネコ……お前、いいやつだったよ」


「炎 根古 炎」

「ネコ戦う前から負けたやん」

「協力の概念知らない奴らが組むな」


「驚きの話が本当に驚きだった希有な例」

「間違いなく言うテンション間違えている」


と大荒れだった。

 しかも荒れ方は驚きという方向に固まっている。

 だいたいはこのあとミケダマ根古が死ぬかのようなコメントなのも特徴だった。


 当然星乃シソは予想外だしミケダマ根古は背後から殴られた形だった。

 そして。


「あー!」


「やり直しだー!」


 ……ゲームがおろそかになるのである。


「え、このあと、オレ消されるの? 消し炭になるまで燃やされるの?」


「いやいや、オフコラボ程度で何も起こらないよ、なかなか私の島から出るのが難しいだけでさ」


 公式住所はバーチャルシソ島である。

 もちろんそんな島は現実にない。


「こ、怖いなあ……」


「とまあ、私は今後もすこしずつオフコラボを、していきたいと思うのでみなさんよろしくおねがいします!」


 コメント欄がもはやジェットコースターの下りみたいに急加速していく。

 これがトレンド入りするのは後から判明することだった……

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