神殿に初詣!
翌日、オレは父親に連れられて生まれて初めて家の敷地から外に出た。
飛竜の鞍は二人用で、母さんは留守番だ。
父親の乗る飛竜は、名前をウララと呼ばれていて、大きさは3メートルくらい? 青緑色の鱗と、力強い翼を持ってぐんぐん空を飛んでいく。
そう。オレはいま空を飛んでいるのだ!
色付きの雲みたいな層の中を、風を浴びながらウララは進む。
大小様々な浮島があちこちにあり、建物があったり森だけだったり、岩だけだったりと、不思議な景色を眺めるだけで楽しい。
「とーしゃ! あれなに?」
「ん? ああ、花鳥かな?」
全身に花が咲いた変な鳥がいたり。
「とーしゃ! あれは?」
「あれは……三足バル」
脚が三本ある茶色いカバ?みたいな動物とか。
「ひりゅーがいっぱい!」
「……ちょっと迂回しようか。しっかりつかまって」
オレが指さした中くらいの浮島を見て、父親が慌てて高度をさげたり。
「あれは野良飛竜の巣だな。あとで報告しないと……」
「クークー!」
途中で様々な浮島や、むらがる不思議な生き物たちを眺めながら、やがて大きめの浮島が進行方向に見えてきた。
四角い柱つきの建物が無造作にくっついたような、白い石造りの建物と、周りに木造の建物やら森やらもあり、まばらに人がいる。
正面入口とおぼしき柱の側に、白い鎧みたいな兵士?が槍を持って立っていた。
「着いたよ、ルシア。ここが神殿だ」
「ふわぁー」
どこか神聖な雰囲気が漂う場所だった。
木造の建物にウララを預け、父親に抱き抱えられ、兵士の所に向かう。
父親は丁寧に頭をさげた。
「治癒技師ジリア・ライヌです。子供のことで導師さまに相談がございます。どなたかいらっしゃいますか?」
「ジリア・ライヌ殿ですな。しばしお待ちを」
兵士さんはごつい外見のわりに、穏やかな声だった。建物内部の小部屋に詰めていた他の兵士さんに、すぐに指示を出してくれる。
入口からのぞける高い天井や太い柱、見た事もない服装をキョロキョロ見回していると、フッと微笑まれた。
落ち着きのないオレの頭を、父親が撫でる。
「ルシア、いい子だから大人しくな」
「はあい」