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第46話:私がこれから「主人公」!!

報告書。

以下長文につき†まで読み飛ばし推奨。


私がこの戦いに関わるようになったきっかけは学生時代にまで遡ります。

初めて"ソレ"に出会ったのはステラソフィア女学園(現ステラソフィア機甲学園)に入学して最初の実地戦でした。

後にマルクト30年戦争と呼ばれる戦いの最中、エヴロパ連合はマルクト神国(当時の国名)の機甲装騎に対抗するために様々な手段を講じてきました。

現在では非合法な人体実験に加担もしてきました。

その内の一つが「偽神装騎」と呼ばれる存在です。

最初に確認されたのは「ディープワン」と呼ばれる個体。

当時、マルクト装騎に対して他国の装騎は最低四騎必要と言われる程の戦力差でした。

しかしそのディープワンは単騎でマルクト装騎四騎を軽々と屠るほどの力を持っていました。

時折戦場に姿を見せたディープワンですが、結局はどこの国がどのように関与しているのか全くわからないままマルクト30年戦争はあの歴史的な悲劇によって幕を下ろします。


次に関わりがあったのは先の戦いで休学状態となったステラソフィアへの復帰を控えた春休みです。

私の友人が「偽神教」を名乗る組織に誘拐されました。

そう、その組織こそ偽神装騎を生み出し、世に放っていた新興宗教組織でした。

同じく偽神教を追っていたピシャテツ・チェルノフラヴィー・アルジュビェタと合流。

偽神装騎ダゴン、そしてハイドラと呼ばれるディープワンの上位個体との交戦がありました。

何度かの戦いの後ダゴン、ハイドラを撃破。

しかしそれは架空の神の名を冠された偽神クトゥルフと呼ばれる超常的存在を呼び出す為の実験成果でしかなかったのです。

偽神クトゥルフを撃破し偽神教は壊滅。

しかし何故偽神教が偽神クトゥルフのような破壊的存在を召喚したのかは不明。

あくまで破滅的思想のカルト教団の成れの果てと思っていましたが……。


ある日悪魔装騎と呼ばれる装騎の噂を聞きました。

それは単騎でも圧倒的な力を持ち偽神装騎とも似た異形の装騎です。

張り込みの結果、マルクト共和国ハノーファー市にて悪魔装騎ダンタリオンと交戦、撃破しました。

その戦闘の際、マルクト憲兵を率いる天使装騎アモンを名乗る装騎とも交戦。

それをきっかけに私とビェトカは指名手配に。

以降、地下に潜伏しての活動となりました。

その折、フェヘール・ゲルトルードさんとの合流を経て独自組織ŠÁRKA(シャールカ)を結成。

それが今の特殊部隊ŠÁRKAの基礎となっています。

各戦闘や調査の結果、天使装騎と悪魔装騎の裏にスヴェト教団関連の組織があること、またマルクト共和国の一部貴族の関与がわかりました。

スヴェト教は今でも世界的に信仰されるエヴロパの巨大宗教です。

今回の事件に関与したのはスヴェト教成立の理由を知るという通称起源派という一派でした。

その目的は凶悪なる偽神を降臨させ、それを天使装騎と呼ばれる存在の力で打ち倒すことにより人々の信仰を集め、その力によって新世界と呼ばれる楽園を目指すというものでした。

新世界とは人々の意識を統合した上位存在――所謂神へ進化させるというよくあるもの。

しかし前述の通り私たちが偽神クトゥルフを打ち倒したことでスヴェト教起源派の目論見は失敗。

そこで七十二体の天使装騎を救世主役と破壊者役に振り分け信仰を集めるという手を決行。

所謂マッチポンプですね。

最終的に預言者と呼ばれる女性ティべリアス・ペトラにより新世界の片鱗たる救世装騎ヒムヌスが降臨。

けれどそれは完全なものではなかった。


偽神装騎や天使、悪魔装騎、そして救世装騎といったそれぞれの信徒装騎は元々同じ存在から造られたといいます。

それが異界神ルドライエフ。

本来は異世界の存在であるルドライエフ神の力がどういう訳か私たちの住むこの世界に漂着。

それを利用したのが各信徒装騎だというのです。

にわかには信じられない話ですが、古き神話には虚空の穴から異世界と繋がる話も存在します。

そう考えるとありえない話でもないのかもしれません。

スヴェト教起源派はその強力な力の利用方法を考えていました。

力は強大でしたがそのまま扱うには悪意や敵意が強過ぎたのです。

偽神装騎と呼ばれる存在が敵意に満ちた存在なのはそれが理由です。

そこでスヴェト教起源派はルドライエフの邪悪を分離することを考えました。

つまり、邪悪な部分は邪悪な部分で純粋な部分は純粋な部分でよりわけるということです。

そして邪悪な部分を偽神装騎として打ち倒されるべき存在として、純粋な部分を天使装騎や救世装騎として利用したのです。

それが上手くいけば確かにルドライエフの力は新世界を築けるだけの力となっていたはず。

ですがルドライエフの悪意は凶悪過ぎました。

その結果、預言者ペトラは怒りに飲み込まれ救世装騎ヒムヌスは異界堕神ルドライエフと堕ちました。


スヴェト教起源派の新世界計画は失敗しましたが、一部生き残った起源派の祭司達やその協力者達は新世界の再現に力を尽くします。

ステラソフィア卒業式ジャック事件による堕神トルンガの降臨。

ドヴォイツェ世界大会における世界装騎ゲネシスの顕現。

神国時代のマルクト信奉者との合流にテロ事件に見せかけた内戦。

その内、ゲネシス事件にて関係者の一人の言葉が私には引っかかっていました。

「空が墜ちる日からの救済」

事件の首謀者オスターヴォッヘ・フォン・ドロテーアの言葉です。

その言葉を元にスヴェト教の施設からデータを収集したところ同じような文言がいくつもでてきました。

そしてそれが新世界を創造する本当の理由だと。

空が墜ちる日、その時のために人は人でいてはいけないのだと。


同じように「空が墜ちる日」に備えている組織がもう一つありました。

それが渡航者インヴェイダーズ

最初の接触は中立国エーテルリヒト王国の輸送船が襲撃されたのが最初でした。

虫のような姿をした小型飛行兵器。

その正体は全く不明。

度重なる交戦と調査の結果、海のはるか向こうから来ているということがわかりました。

そして海の向こうを目指すため、騎攻艦ギーティスを建造。

後にいうインヴェイダーズ戦争です。

戦いの結果、和平が結ばれたことはご存知の通り。

のちの交流により「空からの脅威」という存在に触れることができました。

そしてもう一つ、インヴェイダーズの大長老であるオールドワイズマンが戦闘で見せた未知の力。

それが私にはルドライエフと同じようなものに感じられました。

そしてその力は「空の向こうから来しもの」つまりは「侵攻者」をルーツとしたものだということがインヴェイダーズの神話や北極圏の調査から判明。


私はこう考えている。

「侵攻者」とはルドライエフに連なる異界からの侵略者なのではないかと。


それはそれとして、なぜ急に今までの出来事を振り返るようなことをし始めたのか疑問に思った方もいるかもしれません。

それはですね……今日で機甲女学園ステラソフィアからスタートしたステラソフィアシリーズが六周年になるからです!

この節目の日ともなれば私が主役に返り咲くというのもアリなんじゃないでしょうか!?

いやいや、別にそれだけの理由で主役の座を奪おうなんて思ってないですよ。

それにはちゃーんとした理由があるんです。

なぜなら……



「いやー、これはもう私がムスチテルキ隊として戦うしかないみたいですねー。いやー、仕方ない」

「やけに嬉しそうですね……」

ゲッコーくんがどこかげんなりした表情で呟く。

いやいや、若い人に任せるのは大事。

「ですが、こんな状態になってしまっては仕方がないじゃないですか」

私は視線を足元へ向ける。

それを追うようにゲッコーくんも私の足元を見た。

「なんのお話しをしてますの?」

幼い少女のよく通る声が聞こえる。

透き通る金髪は私とお揃い。

お姫様のような喋り方だから違和感はあるけれど、その顔立ちは間違いなく――

「コレ、ベチュカなの?」

「ベチュカなんですよ」

私の孫娘ヴラベチュカだった。

「わー、かわいいー!!」

アネシュカちゃんが声を上げる。

「お耳が痛くなってしまいますわ」

「あ、ゴメンゴメン。ところでさぁ、ネーシャお姉ちゃんって呼んでみてよ」

「?」

ベチュカが首を傾げる。

その姿にアネシュカちゃんの表情がさらに緩んだ。

「サエズリ司令、ですよね。その、これは一体……」

アーデルハイトちゃんが困惑の表情を浮かべる。

「いやー、なんかアレですね。若返っちゃったみたいですね。私たち」

そう"私たち"。

「そんな事が……けれど目の前で起きてる……どういう事だ。私には理解できない……」

アーデルハイトちゃんがこれほど頭を抱えるのは初めて見たかもしれない。

結構貴重ですね。

「まさかこんな作用が起きるなんて驚きですわね」

「ハイ、お姉様……」

先の戦闘でベチュカは旧乙女型の行った自爆に巻き込まれました。

その救出の為、私も爆発の光の中に突入。

無事助け出すことはできたのですが……装騎から降りると驚きの事実が判明したのです。

そう! 私と! ベチュカが! 若返っていたのです!!

「スズメさんは推定三十代ほど。ヴラベツは五歳くらい?」

「就学前の喋り方なのでギリギリ四歳くらいですかねー」

「ベチュカって昔はこんな喋り方だったのー!?」

「わー、かわいいですねー!」

「うるさい。驚いてる。ヴラベツ」

そう。

今でこそああいう喋り方のベチュカだけれど、子どもの頃は本当にかわいかった。

まるで小さな公女(リトルプリンセス)とでも言えるような女の子で私たちもそうなるように教育してきたんだけれど。

「サエズリの血ですかねぇ……」

娘のチャイカもかなりおてんばな子だったのを思い出す。

私自身もそういう思い出もあるし……。

血は争えないんですね。

「ベチュカは戦えないし、私も三十年は若返った以上、私が戦うしかないじゃないですか」

「ですねー! お婆さま、いえお姉さまが一緒に戦ってくれれば百人力だったりします!」

「ふふん。三百三十倍は力になれますよ」

「昔を思い出す……」

ゲッコーくんはそう呟きながら頭を抑えているけれど私はやります!

やると決めたらやってやります!

「それだけじゃ済みませんよ」

「何がですか」

「ツェラちゃん、このエイジング効果はどれくらい持つんですか?」

「わからない。けれどスズメさんやヴラベツの身体から特殊な反応がある。それが消えれば効果は消えるはず」

「ですわね。理屈はわかりませんがその反応は確かですわ。それが少しずつ蒸発するように薄れてきていることも」

旧乙女型が時空間転移装置の暴走で引き起こした爆発。

それがアズルと作用したのか内部の反応によるものなのか、それは分からないけれどその結果が今の若返り。

私たちの身体はその時に浴びた妙な結合霊子の作用で肉体が若返ってしまっているという。

その霊子の反応が消えれば、身体は元に戻るはず――というのがツェラちゃんやアデレードちゃん達の出した見解でした。

「記憶とかは引き継ぐんですよね」

「スズメさんは今までを覚えてるならその筈」

「んじゃさー、ベチュカがあんなんなのは?」

「多分身体に引っ張られている。それに脳の大きさも違う。新しい記憶は朧げかも。でも逆に元に戻れば今体験したことは覚えてる――はず」

人の脳は十代前で大人と変わらない程度には成長するともいいます。

記憶を残してるか残してないはその境界ボーダーに関係があるのかもしらない。

そういうことです。

そして成長度合いの問題。

「私は三十代頃の肉体になってますけどベチュカは四歳。三十年以上若返った私と十年ちょっとしか若返らなかったベチュカの違いは?」

「それは成長期を経たかどうかと推測。その時期は短期間で身体は大きく成長する。そこを巻き戻らせるにはエネルギーが多く必要だったのかも」

「確かに成長期が終わればあとは老けていくだけですしね。かなしい……」

なんて人生の無情さに想いを寄せてる場合ではない。

つまりはだ。

「ってことは、ここでベチュカをしっかり鍛え上げれば元に戻った時に更に力をつける事ができるんじゃないですか?」

「そうかも。スズメさん、もしかして……」

「ベチュカのパワーアップイベントです! さぁ、ビシバシしごいてやりますから覚悟してくださいよ!」

「こ、こんな幼い子をですか!?」

「ゲッコーくん、人は時には鬼にならないといけないこともあるんです。それに身体が若返るとほら、孫って実感薄くなってきましたしねー」

身体を思いっきりのばし準備運動をする。

「さ、行きますよベチュカ! 特訓です!」

「もしかしてさー、スズメさんってけっこー人でな――」

「アネシュカ、口を慎もうか……」


挿絵(By みてみん)

「ステラソフィアシリーズ6周年!」

2014年2月10日から連載開始した小説「機甲女学園ステラソフィア」(2014~2018/3/31)からスタートするステラソフィア・トリロギエも続編である「ステラソフィア・ドヴォイツェ」(2018/4/1~2019/3/31)、今作「ステラソフィア・インハリテッド」で完結!

どう考えても重要なエピソードが間抜けたりするような気がしますが、気にするな、作中で語られてること以外は特に考えてない!

完結というようにステラソフィアシリーズは今作で終了(3/31を予定)です。

全作読んでる人も読んでない人もたまたまこの話だけ読んだ人もありがとうございます!

ではステラソフィア・インハリテッド――もうちょっとだけ付き合ってね!

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