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第30話:ヒマを持て余した「完結編」!?

星暦213年。

人類は宇宙からの脅威におびやかされていた。

インヴェイジョンズと呼ばれる宇宙生命体。

その力は圧倒的で、各国の軍隊の抵抗も無意味であった。

しかし、安心して欲しい。

なぜならこの星には彼女たちがいるのだから!

アズル特装隊ムスチテルカ!


第一話:インヴェイジョンズ襲来

「急に呼び出しなんてクソババア」

オレの名前はシュヴィトジット・ヴラベツ。

装騎レースの試合後にスズメばあさんから連絡があり、どういう訳かこんな断崖絶壁を歩かされている。

絶壁を抜けるもそこは荒野。

岩山がそびえ立ち、なんというか――何もねぇ!

「マジでクソババアかよ!」

急な呼び出しにこんな酷道。

ついた先には何もない。

一体どういうことだ。

不意にけたたましい音が鳴り響く。

これは――警報か!?

「何もねーとこなのに、一丁前に警報機があるのか!」

なんて言ってる場合じゃない。

この警報が鳴ったということは――アレが出てくるということだ。

激しい衝撃がオレの身体を襲う。

何かが空から落ちてきた。

いや、それが何かは知っている。

「インヴェイジョンズ!」

姿を見せたのは人間のような上半身に虫のような下半身。

シェストノヒと呼ばれるインヴェイジョンズだ!

オレはソイツと――目があったような気がした。

「うお、ヤベっ!!」

コッチに向かってくる!

っても、こんな何もないところでどこに逃げりゃいいんだ!?

歩幅の差は歴然。

こんなんすぐに追いつかれ――

「ベチュカ! 乗りな!」

聞き馴染みのある声が聞こえた。

「ババア!」

砂埃を巻き上げ巨大なトレーラーが近づいてくる。

その操縦席にはオレを呼びつけたクソババア――スズメおばあちゃんの姿。

オレはババアに引き上げられ、トレーラーへと乗り込む。

「遅かったね。ベチュカ」

「ったりめーだろ! あんな道なき道、まともに進めるか!」

「迎えを寄越した筈だけど――」

「迎え? そんなの――」

不意にトレーラーがドリフト。

その勢いで身体がドアに押しつけられる。

「あのバカ。迎えに行かずにどこほっつき歩いてるだか!」

ババアは手際良くその誰かに通信を送った。

「ベチュカ、ぶっつけ本番だけど戦ってもらうよ」

「戦う? まさか、インヴェイジョンズとか!?」

「もちろんさ。このトレーラーにはインヴェイジョンズと戦う為の剣が積まれている」

「けど――」

「何、アンタならできるさ」

何がなんだかわからない。

けど――そう言われたなら、

「やるっきゃねーか」

オレは操縦席の背後にある扉から、トレーラーの荷台へと移動する。

そこにあったのは――

「何だ、コレ」

流線形でなめらかなボディをした平べったい何か。

ホバー機動の陸上艇を小型化したようなものか?

『これは対イヴェンジョンズウエポン・マークワン。その名もレッドヴィジョン!』

「レッド、ヴィジョン……」

『さっさと乗りな!』

「わかってるって!」

オレはレッドヴィジョンに乗り込む。

《搭乗者名を登録してください》

「シュヴィトジット・ヴラベツ」

《認証。これよりレッドヴィジョンはアナタの手であり脚です》

身体を奇妙な感覚が走り抜けた。

「これは――」

身体とレッドヴィジョンが一つになるような感覚。

はじめて乗ったのにはじめてではない感覚。

自然と身体がコイツの動かし方を理解した。

「シュヴィトジット・ヴラベツ――レッドヴィジョン、出るぜ!」

トレーラーの荷台が開け放たれ、レッドヴィジョンが外へと飛び出す。

目の前にはシェストノヒ。

だが、怯むことは無い!

「行くぜ、レッドレイ!!」

オレの言葉に反応するように、レッドヴィジョンの目のようなヘッドライトから強烈なレーザー光線が放たれる。

その一撃でシェストノヒが怯んだ。

そしてそのまま――

「レッドエース・デュランダル!」

全身を剣とする突撃攻撃の一撃でシェストノヒを撃破した。

「どうだ!」

「へぇー。すごいジャン。アンタが噂の新入りってワケね」


第二話:ジシュカ特装隊

「ネーシャ、どこに行ってたんだい」

「道に迷っちゃったダケだって」

「コイツは?」

「コソヴェツ=ショウパールチーオヴァー・アネシュカ。アンタを迎えに行かせてた特装隊の一人さ」

「特装隊って……」

「ここはインヴェイジョンズからこの星を守る最後の砦! 対インヴェイジョンズ基地ジシュカだよ!」

不意に鳴り響く地鳴り。

地面が割れ、その中から巨大な基地が姿を見せた。

「ベチュカ、アンタには特装隊のメンバーとしてインヴェイジョンズと戦ってもらう!」

突然の出来事に何がなんだかわからないが、まぁ、いいだろう。

やれってーならやってやるぜ!

「ってか特装隊ってコレだけ?」

スタッフが忙しく走り回ってるのこそ見えるが、それ以外だとオレとババアとアネシュカくらいしかいない。

「特装隊――つまり戦闘スタッフはアンタ達を入れて五人! けど、残りの三人は今は別支部への出向中さ」

「ったく、メンドーだから基地に残ってたのに結局新人のお守りを任されるなんて」

「ああ? テメーなんかに守ってもらわなくたっていーぜ。お前も見ただろ? オレがインヴェイジョンズを撃退したところを」

「ま、シェストノヒは一番雑魚だからね。特装騎に乗ればあんくらい幼稚園児だって倒せるわ」

「んだとぉ!?」

「ふんっ」

どうやらオレはコイツとソリが合わなさそうだ。

「でもね、アンタ達は今から一緒に戦う仲間なんだよ」

「けどよ」

「ってったって」

「まぁいいさ。これからビシバシしごくから。覚悟しておくんだよ!」

それからオレとアネシュカの特訓の日々が始まる。

「もー、こんなことならどっか出向しとけばよかったァ!」

そんなある日、鳴り響く警報。

インヴェイジョンズか!

「特装隊、出撃だよ!」

「おう!」

「り!」

敵は――

「メドゥーザね」

「ふん、あんなの――一気に轢き飛ばしてやる! レッドヴィジョン!」

オレはレッドヴィジョンで一気に駆ける。

「レッドレイ!」

オレの放った光線は――ふわりと宙を舞うメドゥーザには当たらない。

「ていうかコイツ、浮くのかよ! 降りてきやがれ!!」

レッドレイを何度も放つが、ふわりふわりと宙を漂い当たらない。

せめて下まで降りてきてくれればまだやりようはあるんだが。

「メドゥーザは戦闘力は低いけど浮遊能力は厄介。地上でのスピード勝負が得意なレッドヴィジョンではいささか戦い辛いだろうね」

「ったくしょーがないわね。ネーシャ、グリーンボックス、発進!」

ボックスの名の通り、巨大な箱のようなものを背負ったアネシュカの小型陸上艇。

「ソイツであのクラゲが倒せるのか!?」

「ま、今に見てなさいって。ドラコヴィイツェミサイル、発射!!」

グリーンボックスの箱から現れたのは無数のミサイル!

それが一気に宙を駆け、メドゥーザを焼き払った。

「どーよ!」


第三話:超絶美少女登場

「へぇー、あなたが新入りのベっちゃんですかー!」

「お前は?」

「わたしは超絶☆美☆少女☆ユウ・ナでーす! ナっちゃんと呼んでくださいね」

これまたすごい美人が現れた。

艶やかな黒髪は滑らかで、笑顔がさんさんと輝いている。

(オレはそんなこと思わねーぞ!)

(え、酷くないですか!? こんなに美少女なのに……)

(ったく好き勝手書きやがって!!)

「確かにわたしは美人ですけど――惚れちゃ、ダメですよ」

(よくもまぁこんなの恥ずかしげもなく書けるな!!??)

(いやいや、読者にどれだけわたしが美少女なのかを伝える為には――)

(で、このナっちゃんを褒め称える文章どこまで続くの?)

(ざっと文庫一冊分にはなりますねー)

(…………)

(あー! 無言で読み飛ばさないでくださーい!!)

「これがわたしの特装騎! ピンクデストロイヤーです!」

超強烈な霊子砲を多数搭載したインヴェイジョンズを殺す為のレーザーショー。

それがピンクデストロイヤー!

インヴェイジョンズ・ドラクはピンクデストロイヤーの強烈な閃光の中に沈んだ。

(なんかお前のだけスペックおかしくね!?)

(バランスを取って合体した時は脚になるので許してください)

(ネタバレ喰らったんだけど!!)

(テヘペロ)


第三十四話:ゆるふわ愛されガール

※第三話から第三十三話まではユウ・ナのかわいさへの描写でつぶれました

「フルク・グルル。よろしく」

口数が少なくどこまミステリアスな感じだが、かわいい少女。

彼女も特装隊らしい。

もっともかわいさでいえばナっちゃんには劣るが。

(劣らない)

(いちいち言わなくていいでーす)

インヴェイジョンズ襲来!

「オブルか」

「グルルにまかせて……」

グルルの特装騎はイエローアンブレラ。

無数の傘型の子機を射出。

それに発射したビームを当てると反射される。

変幻自在な攻撃が得意な特装騎だ!


第三十五話:帰ってきた隊長

「バルクホルン・アーデルハイト。私がこのチームのリーダーだ」

マジメさがにじみ出ているクールなリーダー。

(リーダーだけど青なのか……)

(まだ色は出てきてないじゃないですか!)

インヴェイジョンズ出現!

「私がお手本を見せてやろう。行くぞ、ブルーストライカー!」

(やっぱり青じゃねーか!)

(……まぁ、そうなるじゃないですかー)


第四十話:特装騎神ムスチテルカ!

「このインヴェイジョンズ……強いッ」

「仕方あるまい。アレを使うしかないか」

「アーデルハイト、アレって!?」

「特装合体だ!」

「どこか聞いたことあるような語感ですねー」

(フィクション内でもいらんこと言うな!)

(いらんことですかー?)

「だが――特装合体は……」

「危険。成功率、1%」

「はぁ、ナニそれ!? そんなんできるワケないじゃん」

「だが、これに賭けるしかないんだ」

緊張が全員に走る。

「やるしか、ねーだろ!」

そんな中、オレは声を張り上げた。

そうだ。

やるしかない!

「オレ達のコンビネーションを信じろ! 今までずっといっしょに戦ってきたんだからな!」

「ったく。わかったわよ。やったロージャン!」

『特装合体!!』

レッドヴィジョンが身体に、ピンクデストロイヤー(笑)が右足に、イエローアンブレラが左足に、背中にグリーンボックスが合体し、ブルーストライカーが頭に。

この五体合体した特装騎こそ――特装騎神ムスチテルカ!!


第四十三話:新たなリーダー

「じゃあな、ヴラベツ――特装隊を、頼んだぞ」

「アーデルハイトォ!!」

ブルーストライカーはインヴェイジョンズを倒す為、星となった。

特装隊のリーダーを任されたオレは苦悩することになる。

それだけじゃない。

「そうか、ブルーストライカーがいないと特装騎神ムスチテルカになれないのか!」

インヴェイジョンズ・ベヘモトというあまりにも巨大な「侵攻者」。

ソイツを倒す為には合体しないと!

だが、アーデルハイトがいない今――

「行くよ、ゴールドシュナイダー」

「誰だ!?」

「間に合ったかい! ツェラ!」

「ツェラ!?」

ゴールドシュナイダーと呼ばれた新たな特装騎。

それにのるツェラという名の新たな特装隊。

「ヴラベツ! 特装合体さ!」

「いきなりか! だけど――みんな!」

オレの号令にナっちゃん、アネシュカ、グルルが頷く。

「けど、新入りに合わせられるの!?」

「任せて」

その言葉を信じるしかない。

『特装合体! 特装騎神ズラトムスチテルカ!』

アーデルハイトが欠けた特装隊の力を引き上げる為、ババアが開発していた特装騎。

そして、それが合体した特装騎神ズラトムスチテルカ!

その力は――強力!

「本当はアーデルハイトに乗ってもらうはずだったんだけど。そう言ってはいられないね!」

「ババア、無理すんなよ!」

「ふん、ババアだからって舐めるんじゃないよ!」

『ズラトエクスカリブル!!』

強いぞズラトムスチテルカ!

負けるなズラトムスチテルカ!


第五十二話:悪の要塞襲来

「あれがインヴェイジョンズのボス――マトカ!」

「まるで要塞ですねー」

「みんな、特装合体だ!」

『特装騎神ズラトムスチテルカ!』

けれど敵は強い。

そんな中――強烈な攻撃が走る。

「誰だ!?」

その攻撃はマトカ型を狙っていた。

ということは――味方か!?

「待たせたな!」

その声は――



最終話:特装隊大勝利!

「アーデルハイト!!」

「その特装騎は?」

「これは特装騎神ムスチテルカV! 特装隊の新たな力だ!」

「アーデルハイト! よし、力を合わせて戦うぞ!」

「ああ。頼むぞリーダー」

「リーダーはアーデルハイトだろ?」

「ふっ、任せるって言っただろ。それに今のお前は私よりもリーダーに相応しいと思うよ」

「アーデルハイト……よし、行くぞ!」

『おう!!』

強烈なアズルが二騎の特装騎神を包み込む。

これがオレ達の全力全開!

『ダブルコスモゴニエ――!!!!』

特装隊の活躍によってこの星の平和は守られた!

ありがとう特装隊!

フォーエバー特装隊!



…………

「なんだコレ?」

「ちょっとわたしの人生にテコ入れしてみようと思って」

「大丈夫か? 疲れてないか? ドゥと遊ぶ?」

「なんでそこで亀と遊ぶ選択肢がでるんですかぁー?」

「人生にテコ入れっていうかなんかも全く別の世界になってたし……」

「確かに、筆が乗り過ぎました!」

「あと微妙に事実と希望を混ぜ込んでくるのつらいからやめろ」

「えー、後で他のみんなにも読ませてあげようと思ってたんですけど」

「それは単純にやめろ。お前のためにもやめろ」

「えー」

「っていうか急に呼び出されたと思ったら、お前の考えた意味不明なストーリーを見せつけられただけ? 他になんかねーの?」

「ないです」

「…………」

「有意義な時間だったりしたんじゃないですか?」

「なんでそう言えるのかなコイツは」

なんか知らんけどつかれた。

「……もう寝るわ」

「なんでなんですかぁー!」


挿絵(By みてみん)

ステラペディア

「ムスチテルキ(Mstitelky」

女性の復讐者を意味するムスチテルカ(Mstitelka)の複数形。

作中では「復讐姫」や「復讐姫達」とも表記される。

ちなみに男性形はムスチテル(Mstitel)で複数形はムスチテリ(Mstiteli)

名前の由来はどう考えてもアベンジャーズです。

作中でもヴラベツが「最近見た映画が頭に残ってて……」とか言ってるし。

また過去作にもムスチテルキ隊というチームが登場してたりはする。

ヴラベツのおばあちゃんとアネシュカとこのおばあちゃん社長のチーム名がソレ。

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