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第七話 剣聖ちゃんの基礎訓練

前回のあらすじ

剣の訓練をしたら筋肉痛になった。


今回のあらすじ

なので更に酷使することにした。

 剣聖ちゃん、絶賛筋肉痛。やっぱりちょっとやりすぎた。三歳児に剣を振り回す遊びは早かったみたいだ。自重しよう。次は死ぬかもしれん。


 というわけで、誕生日の翌日。筋肉痛が凄まじくて治る気配がない。死にそうでござる。なのに訓練。馬鹿かお前。今度は魔法の訓練をするために同じくあの裏山にきた。今日も今日とて近所の子供たちと遊んでくるって言ったわけだけど、これほんとに気付かれてない?



 さぁて。魔法の訓練って言っても山の中で火の魔法なんてぶっ放すわけにはいかないし、そんなことしちゃあ山火事になっちゃうし。こういう時に便利なのは『風』とか『水』、それから『大地』を操ったりする魔法。ある程度場所を選ばずに、尚且つ被害少なめで何とかなる。 

 火の魔法の訓練はほんと危ない。その昔、オルタスフィアでも国一つ滅ぼしそうになった奴がいたみたい。アニュエ・ストランダーっていう美少女なんだけど。


 まあまあそれはさておき。魔法の訓練といってもやり方は様々で、エーテルの書き換えの効率を向上させる訓練や、マナの消費の無駄を省く訓練、それからエーテルの吸収効率を高めてマナの回復率を向上させる訓練だとか、色々ある。

 事象書き換えの効率向上に関しては後回しでいい。あれは肉体的な能力には依存しない、どちらかというと『感覚』の世界。ぶっちゃけちょっと練習すればすぐに感覚を取り戻せると思う。

 同じ理由で、マナの消費を抑える訓練も後回しだ。やり方は知ってる。


 問題は……エーテルの吸収効率と、吸収したマナの貯蓄上限。


 エーテルとマナの関係はこの間説明したと思う。は? 覚えてない? 帰れ。

 要は大気中に存在している『エーテル』を人間が吸収し、体内に蓄えたものを『マナ』と呼んでいるってだけ。実際のところ両者は同じものなんだ。ちょこっと違うけどね。


 そして、当然だけどマナは使えば使うほどに失われていく。放っておけばまたエーテルを吸収して回復していくんだけど、これが訓練も何もしていない、更には知識もない状態だと結構遅い。あとはその人の肉体自体の素質もある。魔法が使えない人はこの機能に問題があることが多い。


 エーテルの吸収効率を上げ、マナの回復を早めると、それだけ魔法を使える回数も増えるわけだし、使い切ったとしても回復が早くなってくれる。

 更にその貯蓄上限を増やせば、ぶっちゃけ無敵である。沢山使えて回復も早い最強フォームが完成するわけなのだ。


 そんでもって、これらはさっきの二つと違って感覚とかの問題じゃない……肉体的なものに起因する。


 この二つのうち、エーテルの吸収効率というのは、簡単に言えば『身体がエーテルに馴染みやすいか否か』と『吸収しやすい肉体か否か』だ。例えると、タオル。水を吸い込みやすいタオルとそうじゃないタオルあるじゃん。濡らしても表面だけしかびっしょびしょにならないやつ。そんな感じ。

 吸収しやすい肉体かどうかは、さほど個人差はない。人と豚とか、人と鳥とか、生物が変わると差もあったりするんだけど、同じ人間だとそれほど。

 問題は馴染みやすいかどうかだ。これは偏に『幼少期にそういった肉体作りをしているかどうか』の差でしかない。


 まあ、難しいことをうだうだと言ってるようだけど、鍛え方は簡単。小さな頃にひたすら魔法を使い、より多くのエーテルを吸収すること。それしかない。大人になってからだと肉体の変異は微々たるものだから、効率も上がらないんだ。

 あとは、そうだなぁ……瞑想とかも意外と効いた。吸収している最中に意識を集中させているとちょっと良い感じ。でもぶっちゃけそこまで大差ないしやらん。その間に他の訓練した方がよっぽどマシだ。


 それから貯蓄上限の増大。これは主に肉体の成長が鍵となる。子供の頃から成長するにつれ増えていき、大体十五歳になってから後は増えなくなる。自然に増えていくからあんまり鍛えない人も多い。

 ただ、これにも鍛え方がある。さっきと同じで魔法を使いまくること。というより……『エーテルをより多く吸収すること』だ。マナを消費できれば魔法じゃなくてもいい。そんな方法ないけど。あっでも『マナマジック』とかいう訳の分からん技使う奴いたっけ。



……とまあ、長々と説明したわけだけど。それはあくまで【オルタスフィア】での話であって、【ネヴェルカナン】ではどうか分からない。

 でも、ちょろっと使った感じ、この世界の精霊とかいう存在はまんまエーテルだし……多分同じでいいと思う。


 後はここからどれだけエーテルを吸収出来るかにかかってる。もっと早くから訓練していても良かったんだけど、一ヶ月二ヶ月早かったから大きな差が出るってもんでもない。数年単位で遅かったら結構変わるけど。かと言って、二歳くらいで家の中でガンガン使うわけにもいかんし。いやちょっとずつは使ってたけど。お母さん、ぶっちゃけ怪しんでたよ。



 やー、まあ、うだうだ言ってても仕方ないか。今日からは主に魔法メイン、マナが切れたら回復するまでの間に剣の訓練と基礎体力作り。これでいこう。


 そうと決まれば……早速の早速。そこら辺の木に水やりでもするか。誰にも害のないめっちゃ効率的なやり方。水やり。



——事象書き換え、水球生成


——複製、アーンド、破裂



 左手の合わせた人差し指と中指でエーテルの書き換えを行うと、一つ、わたしの頭くらいの水の球が空中に発生した。それを更に四つ複製し、五つに増殖させたそれを適当な木の幹辺りで破裂させる。

 THE・水やり。これが剣聖ちゃん流『水やり訓練』ですよ。こうやって水を作って撒くだけ。簡単でしょ?


 と言っても、流石にこの動作一回でマナ切れを起こすほど、バースの肉体は弱くはないみたい。わたしの魔法効率が結構高めなこともあるけど。三歳児でも後何回かは使えそう。四回くらいかな? 大体平均的な三歳児と同じくらいだと思う。わたしの技量を抜きにすれば。


 そうと決まればじゃんじゃん撒いてけ撒いてけ。ここはわたしの陣地じゃー! 奪いたきゃ邪神でも連れてくるんだな。や、流石に今のわたしだと負けるか。やっぱ今の無し。




   * * *




 それから数分後、絶賛マナ切れ。子供だから無くなるのも早いし、そんでもって回復も早い。この調子だと一日数回はこの作業出来そう。最強の子供が誕生してしまう。


 あ、因みにマナが切れたからといって身体に不調をきたしたりだとかはない。別にマナ自体、人間が生きるのには必要のないものだからだ。なのでこの状態で剣術の訓練や基礎体力作りを始めてもなんら問題はない。


 さて、昨日の続き。筋肉痛はちょっとやばいしこれ以上やると死ぬかもしれないけど死なない程度に頑張る。

 剣技の方は剣聖ちゃん時代のものも使えることが分かったし、後はそこまで追いつくことが課題。なので当面の目標は『体力と筋力をつけること』だ。


 なので! ひたすら筋トレである! 筋肉痛の状態で筋トレをしても悪影響が無いのかは知らないので各自自己責任で行うように!


 わたしはしても大丈夫だと思ってる派なので気にしない。前世もそれで最強ちゃんの剣聖ちゃんになれたので多分問題ない。多分。


 はい、それじゃあ早速。



 腹筋!


 腕立て伏せ!


 背筋!


 また腕立て伏せ!


 また腹筋!


 またまた腕立て伏せ!


 ここまで酷使してまさかのランニング!


 追い討ちをかけるように木登り!


 ここで変化を加えて瞑想……


 落ち着いたらまたまたまた腕立て伏せ!





……こんなことをしてたらすっかり死んだのである。回復したマナの使い道はもっぱら濡れた服を洗って乾かす洗濯機能だ。



 はぁー……今日は終わりにするか。

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