第二十六話 老人
……翌朝。今日は学園の休息日だから、お姉ちゃんが目を覚ますよりも先に部屋を出ようと、いつもより早起きした。ぱちりと目を開けてベッドから這い上がると、既に起きていたお姉ちゃんが朝食を摂っていた。
「……早いね、お姉ちゃん」
そう言うと、お姉ちゃんはトーストを齧りながら、わたしに小さなメモを差し出した。
「のんびりしてたら先に行っちゃうでしょ? これ、渡しておきたくて」
受け取って字面を確認すると、それはどこかの住所だった。ノーブリスの中だ。行ったこともない場所……この辺りは確か、普通の民家が並ぶ辺りだったはず。
お姉ちゃんの意図が分からずに、思わずその場で固まった。その間も、お姉ちゃんは黙々と手を進めていた。
「……ここに何があるの?」
「行ってみれば分かるよ。今は、それだけ言っておく」
「行けば分かるって……」
……いや。どの道、今日もいつもと同じようなことを繰り返すだけだ。いつもとは違うことをしてみるのも、悪くはない。
ここに何があるのかは知らないけど……また、ジスが待ち構えてたりするんだろうか?
それも、行ってみれば分かるか……。
朝食も摂らずに部屋を出た。町へ繰り出し、そのままメモにある住所を目指して歩く。学園からは近いわけではないけど、決して遠いという距離でもなかった。
民家が立ち並ぶ住宅街。同じような造りの民家が並ぶ中、わたしはメモに記されたその場所へと辿り着いた。
それは……外から見れば、やっぱりただの民家だ。他と何も違わない。何かの施設ってわけでも、お店ってわけでもなく……民家。
「……こんなところに何があるって?」
ジスの実家……とか言わないよね、まさか。そんなことのために呼んだなら、速攻で帰ってやる。
目的であるその民家の扉を、少々強めに叩いた。二度、三度。四度叩いた頃に、ガチャリと、勢いよく扉が開いた。
「聞こえとるわい! 何回も叩くなど阿呆!」
うるせえ。何だこのおっちゃん。
怒鳴りながら出てきたのは、背の小さい長髭のおっちゃん。何かこう、溢れ出る『ドワーフ』感が凄い。この世界にもいるんだっけ、ドワーフ。鍛治種族。
というか……。
「……誰?」
誰だよ、このおっちゃん。見覚えないし……何かの有名人? ジスのお父さんって風にも見えないし……誰?
「それはこっちの台詞じゃ。お前さんこそ誰じゃ、何の用でここに来た?」
「わたしは……ここに行けって言われたから」
「はぁん!? 理由になっとらんぞ!?」
うるせえ。声がでけえ。落ち着け。耳が痛いんだよ、さっきから。
お姉ちゃん……何でこんな、わたしの知らないおっちゃんのところに行けって言ったんだ? もしかして、家間違えた? いや、でも、確かに住所はここになってるし……。
行けば、分かる? 何が?
「……何かを伝えたい?」
「はぁん!?」
ここに来れば何かが分かる。その何かが何かは知らないけど、要はわたしに何かを伝えたいってことだ。
今のこの状況から考えて、ジスの実家説は消えたし、ただ遊びに行けってだけでもなさそうだし、そうなると……。
……まさか?
「……おっちゃん」
「何じゃい!」
「『ラタニア・オッグフィールド』って知ってる?」
ただ、思い付いただけだったけど。
その名前を出した途端に、さっきまで怒鳴り散らしてたおっちゃんが静かになった。さっきまでの荒れ具合が嘘みたいだ。
その様子を見るに、やっぱり……お母さん関連か。
「……はん。何じゃ、武器目当てか。ならアテが外れたの。わしゃもう武器は造らんぞ」
「武器……? ってことは、まさかっ……!」
気付けば、おっちゃんの体を掴んで揺すっていた。話の筋を考えれば、このおっちゃんは……。
このおっちゃんは、お母さんのあの大きな鎌を造った人だ……!
「教えてっ! ここ最近、お母さんに関することで、何かおかしなこととか無かった!? 妙な人が来たりとか、変な噂を聞いたとか!」
「何じゃ何じゃ何じゃ、揺するな! 老体を労われ! そもそも、お母さんじゃと!? お前さん、一体何をっ……」
そこまで言って、気が付いたみたいだ。わたしが、誰をお母さんと言ったのか。
希少生物でも前にしたかのような目つきで、わたしのことを、じっくり、頭のてっぺんから爪先まで観察していくおっちゃん。
控えめに言って……わたしとお姉ちゃん、お母さん似だから。言われて見てみれば、確かにそうだと分かるはず。
「その栗色の髪……体格……お前さん、まさか……」
「うん。わたしはアニュエ・バース。ラタニア・オッグフィールドの娘」
名乗ると、おっちゃんは何故か頭を抱えて、扉を大きく開け放った。
「……中に入れ。立ち話も何じゃろ」
言われるままに、家の中へ入っていったおっちゃんについていった。
家の中は、広いようで狭いようで……一人で使うには広く見えるけど、二人以上で使うには狭く見える。そんな感じ。おっちゃんが一人暮らしなのかどうかは知らないけど。
リビングで待てと言われたので待っているとすぐに、湯気の立つカップを二つ持ったおっちゃんが戻ってきた。中身は黒い液体……コーヒーっぽい。多分。匂い的にそう。
それを一口含んで……にっが。無糖か。ミルクも入れないんだ、このおっちゃん。ちょっとこれ飲み干すのはキツイ。
「何じゃ、子供舌だの」
「バース家は全員甘党なの。遺伝だし」
いや知らんけど。お母さんもお父さんもお姉ちゃんも、みんな甘いもの大好きだからそうだと思う。
おっちゃんはわたしの向かいに座り、わたしと同じように、苦いコーヒーを飲んだ。よく飲めるよなぁ、と思いながら、眺めて……ここには別に、コーヒーを飲みにきたわけでも、おっちゃんの観察に来たわけでもないので、本題に入ることにした。
「おっちゃん……さっきも名乗ったけど、わたしの名前はアニュエ・バース。ラタニア・オッグフィールド……結婚して名前は変わったけど、その娘」
「おぅさ。確かに、若い頃のオッグフィールドにそっくりじゃ」
感慨深そうにおっちゃんが言った。若い頃……って、お母さんとはそれなりに付き合いが長いってことかな? それも、後で聞けばいいか。
「わしはゴルゴス。昔は武器職人じゃったが……今は見ての通り、ただのジジイじゃ」
「一人で暮らしてるの?」
「先立たれてしまっての。こんな広い家に一人じゃよ」
先立たれた……ってことは、奥さんがいたのか。二人で使うなら丁度良いくらいの大きさの家……そういうことか。
「お前さん、何があった? さっきの様子からして、ただことじゃないってことは分かるんだがの」
「……おっちゃんはさ、ヴェガ村のこと、知ってる?」
「うむ、噂程度にはの。何者かの襲撃で、一夜にして壊滅した果ての村……」
そして、ハッとなる。わたしの顔を見て、目をパチクリと動かし、あわあわと呻いている。
「……ヴェガ村で暮らしておったのか」
「うん。四人家族で、お姉ちゃん以外はみんな」
そう言うと、おっちゃんは頭を抱えた。事態の深刻さを理解したのか……或いは、『最悪の事態』を想像したのか。
最悪の事態っていうのは、もちろん、おっちゃんも親交のあるお母さんが死んだっていうこと。ただし、わたしが来た時に発した言葉のこともあって、色々と察したみたいにも見えた。
「……オッグフィールドのことを聞きにきたということは、何か、特別な事情があるのだな?」
わたしは、静かに頷いた。
「村を襲撃したのは……お母さんかもしれない」
「何じゃとっ!?」
勢いよく机を叩いたせいで、まだコーヒーの入ったカップが揺れた。中身の液体が少し溢れ、飛び散る。
おっちゃんの息が荒い。目は、獣を前にした時のように見開いていて、側から見れば襲いかかる直前のようにも見える。
「それはっ……何かの間違いじゃろ」
「確証は無いの。でも、見たままで言えば、そうだった」
「見たままで……『煉獄の花姫』の装備だったということか?」
「そう。赤いフードに、大きな真紅の鎌……間違いないよ」
見間違えるはずもない。あの時、村にいたあの赤いフードと、学園で見た絵に描かれたお母さん。その二つの姿は完全に同じものだった。だから、装備という意味で言えば、この二つは同じもののはず。
……ただし。
「……顔は見たのか?」
静かに、首を横に振る。
あの時……わたしもザックも、あの赤いフードの顔を一切見ていないのだ。体格からして恐らく性別は女なんだろうけど、肝心の顔が分からない。だからこうして、悩んでいるわけだ。
不自然に靄がかかった……いや、というより、影が降りたような……認識を阻害させるような何かを感じたような気がする。もしかすると、装備特有の効果なのかもしれない。
「……でも、確実にお母さんだと言える死体も、村には無かった。みんな、顔も体型も分からないくらい焼け焦げてて……」
村にあった焼死体は、その殆どが元が誰であったか分からないくらいに焼け崩れていた。家の中にあった死体も、実際のところ、本当にお母さんのものだったのかは分からない。
戻って確認しようかとも思ったけど……戻って掘り返したところで、結局分からないのだから意味がない。
そこまで話して、おっちゃんはコーヒーを飲み、大きく息を吐いた。
「……確かに、オッグフィールドの使う装備……名を『レッドフード』と『レッドローゼズ』と言うのじゃがな。あれは、わしと、わしの妻が造ったものじゃ」
「それって、複製は可能なの?」
「見た目だけならばな。だが、どちらも貴重な素材が使われていての。性能まで、となると難しいじゃろ」
「その、性能って……?」
見た目の複製は可能。ならば、見た目だけを似せた装備を身に纏った誰かの犯行という可能性もある。本物特有の能力があるなら、それは、確実にお母さんのものだという証拠。
「レッドフードは、『火蜥蜴』と『常闇蝙蝠』という生物の素材を使っておる。高い火の耐性と、自動修復機能、それから、高い『隠蔽性能』を兼ね備えておってな」
「隠蔽性能?」
火の耐性と自動修復機能は分かる。でも、隠蔽性能というのは?
「正体を隠す、という目的でな。顔が、見えなかったのじゃろ?」
「……!」
……そういうことか。
あの時、あれだけの戦いにも関わらず顔が見えなかったのは……やっぱり、装備特有の能力。その隠蔽性能とやらで、顔が見えなかったのか。
「それって、戦いの最中でも顔が見えなかったりする?」
「うむ。そういう目的で造っておるからな」
だとしたら……だとしたら、あのフードは本物だったっていう可能性が高い。自動修復機能はともかく、あれだけの巨大な炎の近くにいて燃えずに、尚且つ顔が見えない隠蔽性能……見た目だけ似せた偽物だとは考えにくい。
「武器の方は?」
「レッドローゼズは、ミスリルで造った武器本体に火の精霊石を組み込んだ、炎の『エレメリアルドライバ』じゃ。炎の魔法を強化し、高い切れ味を誇っておる」
「……?」
精霊石……と、エレメリアルドライバ……? 何だ、それ。聞いたことないけど。
「何じゃ、知らんのか」
「うん。ミスリルは分かるけど」
ミスリルは魔法使い御用達の鉱石で、魔法との相性が良い。熱を伝えやすい金属ってあるじゃん? あれのマナバージョンだと考えればいい。
かなり高価なもので、それで鎌全体を造っているとなると……頑丈さ、切れ味、魔法効率、全てにおいてトップクラスの武器が出来上がるだろう。
問題は、そのエレメリアルドライバとやらが何なのかだ。
「精霊石は分かるじゃろ? 長い年月をかけて精霊が宿った宝石のことじゃ」
「ああ……何となく分かるかも」
【オルタスフィア】にも似たようなものがある。『レアストーン』と呼ばれるものだ。何百年、何千年とかけて大気中にあるエーテルを浴び続けた鉱石や宝石が、ごく稀に特殊な性質を持つようになってしまったもの。火のレアストーンなら炎の魔法を強化してくれるし、風のレアストーンなら風の魔法を強化してくれる。
要は、それの【ネヴェルカナン】バージョンってことだろう。それは分かった。
……ってことは、エレメリアルドライバっていうのは、向こうで言うところの『レアメント』のことか。レアストーンを核とした国宝級の装備……魔法の強化や特殊な能力を持った武具たち。こっちではそう呼ぶんだ。
「ごめん、やっぱり知ってるかも」
「うむ? 妙なことを言うもんじゃな……」
こっちでの呼称は今初めて知ったし。わたしもレアメントは持ってたから、馴染み深いっちゃ馴染み深い。
というか……そんな凄いもの持ってたのか、お母さん。向こうじゃ国宝級だったものだよ、一応。レアストーン自体が物凄く貴重なものだったから。
「どうじゃ、鎌に赤いひし形の宝石は付いておらんかったか?」
「……そこまでは。でも、あれだけ全力で打ち込んでヒビ一つ入らなかったってことは、かなりの業物だったってことだろうし……」
自分で言うのも何だけど、わたしの攻撃は、イノシシの頭部を一撃で粉砕するほどの威力がある。それを受けてヒビ一つ入らない剣っていうのは……アランみたいに巨大で防御に特化した武器か、それとも、かなりの業物か。
こっちも、本物だっていう可能性はある。そうなってくると、やっぱり、あの二つの装備はお母さんの……『煉獄の花姫』のもので間違いないってことに……。
「……強力な武具というのはな、扱う者にも素質が求められる。素人が振るうことはまず不可能じゃよ」
「じゃあ、あれは……お母さんで間違いないってこと……?」
「可能性は、低くはないの」
武器を造った張本人が言うんだ。あの赤いフードは、お母さんか、それとも、お母さんと同程度以上の実力を持った偽物……そんな都合の良い奴が、現れるだろうか?
考えてもみてほしい。そもそも、あのフードと鎌は『どこに』保管されていたのか。
あの家で暮らしていて、目立つところに置いていたなら、わたしたちが気付くはずだ。かと言って、事件があった日から遡ってみても、お母さんが長く家を空けたことは無い。保管されていたのは村から近い場所か、村の内部。或いは、家に隠し部屋か何かがあったと考えるべきだ。
そんな場所を……お母さんが言いふらして回るとも考えられない。お母さんだけが、若しくは、お母さんとお父さんだけが知っていたとするのが妥当だろう。
お母さんの正体を知っていて、あの武具の隠し場所を知っていて、お母さんと同程度以上の実力があり、村を滅ぼす理由があった人間……そんな都合の良い奴、いるかな。
考えられるとすれば、お母さんの武具『そのもの』が目的であった場合。前世では国宝級ともされるレベルの武器たちだ。それを目当てにする奴がいたとしてもおかしくはない。
そして、武具を手に入れた後、脅威であったお母さんを殺すために村を焼いた……『可能性』としては、考えられる。
そのことを話すと、おっちゃんは考え込むように髭をなぞった。
「確かに、考えられんこともない。あれにはそれだけの価値がある」
「やっぱり、そうだよね?」
「じゃが、そうなると、村を滅ぼしてお前さんたちを殺さなかった理由は何じゃ? さっきの話を聞く限り、殺す機会はあったように思うがの」
「それは…」
……そうだな。ザックを吹き飛ばした後、ザックの救援に走ったわたしを後ろから殺すこともできただろうに。それをしなかった理由が分からない。
もし犯人がお母さんなら……躊躇って逃げたとか、そういう理由が浮かんでしまう。
殺さなければ、後で復讐される可能性もある。そのリスクを冒してまで、奴は何故だか逃げた。その理由が分からない。
「それ以上はやめておけ。確証も無い状態で考えたところで、余計に混乱するだけじゃ」
立ち上がったおっちゃんにポンと肩を叩かれる。いつの間にかコーヒーを飲み干したのか、おかわりを注ぎに立ったみたいだ。
おっちゃんの言う通りか……まだ分からないことばかりなのに、あいつの正体ばかり探ってても分からないものは分からない。今はそれより、あいつの行方を突き止めるのが先かもしれない。
正体は、次に会った時に暴いてやればいい。それが本当に、『お母さん』だとしても。
「ねえ、ここ最近、変わったことはなかった?」
「うむ? 変わったことか?」
「そ。変な人が来たとか、お母さんのことを嗅ぎ回ってるやつがいたとか」
あまり期待はしていないけど、そいつの狙いが武器だったのだとしたら、こちらにも何かしらの形で接触してきている可能性はある。妙な奴が現れていたとしたら、そいつを追えば見つかるかも。何にせよ、手掛かりが欲しいわけだ。
暫く思い出すように考える様子を見せて、おっちゃんは手をポンと叩いた。
「……あいや、そういえば……」
「何かあったの?」
「妙なもんが来たの。仮面を被っておって顔は分からんかったし、声もこもっておって男か女かもよう分からんやつじゃったが……訳の分からんことを言っておった」
思わずおっちゃんに飛びついていた。注がれている途中のコーヒーカップが大きく揺れた。
「どんなこと!?」
「落ち着け! 溢れたら危ないじゃろうが!」
……おっと。それもそうか。わたしとしたことが。あの一件があって以降、お母さんのこととなると我を忘れてしまいがちだ。
迎えにきてくれたジスにも酷いことを言ったし……いや、あれは仕方ないことかもしれないけど……悪かったとは思ってる。
おっちゃんは乱れた服を直し、注ぎ終わったコーヒーカップを机に置いてから言った。
「『予言の少女を助け、影を追え』……じゃったな、確か」
「予言の少女……影?」
それはまた……妙なこと言う男だな。
「安直に考えれば、予言の少女というのがお前さんで、影というのが犯人のことなのじゃろうが……」
「物凄く簡単に考えればね」
「うむ。今回のことと関係があるのかも分からん」
わたしも分からん。そもそも……少女はともかく、『予言』ってなんだ? その少女が本当にわたしのことなのだとして、『わたしが予言をする』のか、『予言に出てきた少女がわたし』なのか……。
ただでさえ分からないことばかりなのに、余計に分からないことを増やしてくれる。その妙な仮面とやらは一体誰なんだ?
「それって、いつ頃の話? 仮面って、具体的にはどんな仮面?」
「一月ほど前じゃな。白一色で額に裂けた口が描かれとる不気味な仮面じゃから、よく覚えとるよ」
「一月前……」
襲撃と同時期か、それより少し前。一つ言えるのは、まだここに情報が届く前だってこと。その話が本当で、当てはまるのがわたしなら……『予言に出てきた少女がわたし』だってことになる。
予言……予言って何だ? 魔法? 占い? イカサマ?
……ああっ、もうっ! 何なんだ一体!
「そいつ、それ以外には何か言ってた?」
「いや、何も言っとらんな。わしも、宗教の勧誘かと思ってすぐに追い返したからの」
「そっか……まあ、全く無関係って感じにも思えないし、覚えておくよ、そいつのこと」
「そうしとくれ。すまんな」
関係無関係問わず、そんなに怪しい奴だ。覚えておいて損はない。何かの手掛かりになるかもしれないしね。
しかし……これ以上ここで聞ける話は無さそうだな。妙なこともそれだけだったみたいだし。
「何か、お母さんのことが分かるものとか、ない? 図書館にある本じゃ、同じようなことしか書いてないからさ」
「オッグフィールドのな……そうじゃな、何でもいいと言うのなら、見せられるものもある。こっちじゃ」
おっちゃんは奥の部屋に消えた。これで何か進展があるといいけど……。




