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お隣さん

作者: 西山久美子

ふぅ、今日も暑い…

夏の日差しが肌を焼く

焦げそうな気がしてきた


今は夏の盛り

仕方ないといえば仕方ないが、毎日の暑さにうんざりする

噴き出す汗にも、道から立ち上る熱気にも…


家に帰り、クーラーを付けると水音がしてきた

「お、久々に雨が降ってくれたか」

窓を開けると爽やかな水滴を含んだ風が吹く

ああ、なんて涼やかなんだろう…

水滴がキラキラ光る


あれ?

ああ、雨じゃなくて、隣がホースで水を撒いているのか

上に向けて吹き出した水

子供と女性の笑い声

子供が水遊びに興じているんだろう、平和な光景が目に浮かぶ


2階から見下ろす先には古い家に塀、小さな庭らしきところには紫陽花の花

子供たちの笑い声…


……2階?

ここは1階で隣はビルの筈

なんだこの光景は…


気が付いた時には窓を閉めていた

恐る恐るくもり窓の向こうをうかがう

視線を上げると、いつもの壁が透けて見える

そっと窓を開け、向こうを見てもいつもの壁…


疲れてるのかも知れない

幻覚を見たんだろう

そう自分に言い聞かせる


窓の向こうから急に子供たちの声がした

大きな笑い声

ガラッと窓の開く音

ちりん、と風鈴がなる


大声を上げながら大慌てでドアに走る

バタン!!

ドアを開けて転ぶように走る走る走る…


…熱い、熱い、きっと夏だからだ

暑いんだ

そう、今は夏の盛り

蜃気楼が道から立ち上りそうな暑さだ


フッと気が付くと、帰宅途中の道だった

暑さのあまり白昼夢を見たらしい

はぁ、とため息をつくと、歩き出す

日射病かも知れない

早く帰ってクーラーを付けよう




ねぇ、今…

頭を振って考えを振り払う

また、変な声が…

きっと気のせい


中古の一軒家

隣は昔火事があって空き地のまま

それを知ったのは買った後、もう後の祭り

「お母さん…」

息子がおびえた目で見上げる

手で持ったホースからは水が出続けていた…



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― 新着の感想 ―
[一言]  後味悪さといい意味で意味わからなさがホンモノ系で怖い。
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