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私と彼  作者: oyoko
6/6

私と彼と思い出と

「なに飲む」


「レモンサワー」


約束の時間通りに集まって、お互いの職場の中間地点で飲む。

22時を回っていたが、土曜の夜の居酒屋は、混んでいる。お互いの近況を話して、あっという間に2時間が経過した。


「そろそろ、お開きにしようか、送ってくよ。」


会計は割り勘にしようといったが、男ですから、と伝票をさらわれてしまった。


「目上の人か彼氏にしか奢ってもらわないことにしているんですー」


「でた」


彼はくすくす笑う。


「彼氏いるんだ」


「一応」


「うまくいってるんだ」


「いちおう。この前プロポーズしてもらいましたー」


そんなことじゃないかと思った、と彼は苦笑した。

夜道を駅まであるきながら久しぶりに並んで歩く。

少し酔っているのか、踊るようにとは言わないけれど、少し左右に揺れながら歩く。

待ち合わせ場所でこちらに歩いてくる真っ直ぐな足取りに、ああ、社会人なんだなお互いに、と思ったが、こういう様子をみると急にあの頃に戻ったような気持ちになる。


「終電微妙だな、タクシー拾って、そのまま俺も乗ってくわ」


そう言って、スマートにタクシーを止める。


「慣れているのね、タクシー」


「だいたい、いつも午前さまだからね。タクシー使ってでも、早く帰って寝たい」


「大変だね、弁護士さまは」


「そちらも、大変でしょう。働いて、作品つくって。寝る暇もないんじゃない」


「睡眠だけは、しっかりとっております」


「睡眠欲だけは人一倍だもんね」


「その節は、ご迷惑を」


ははあ、と、土下座の真似をすると、彼はくすりと笑った


「別に。寝顔見ているのも楽しかったし」


「みてたの。」


びっくりした。


「ちょっとだけ」


「うわあ」


「ゼミ合宿の宴会でも寝てたよね」


「うわあ」


また、びっくりした。


「覚えてるの」


「隣にいたから。毛布がわりに、座布団かけといた」


「え、あれ、○○くんだったんだ。はるかかと思っていた。」


「佐藤氏は酔っ払って、後輩に絡んでた」


「ああ…」


「結局、そのまま俺もその場でしばらく寝ちゃったけど」


「うそ」


「3時くらいまでは起きてたから。数時間だけど、ゼミの奴らも何人かその辺に転がっていたし。」


「あちゃあ」


「いびきかいてたよ」


「嘘だ」


「うん、嘘。でも、○○さんに服つかまれて部屋に戻れなかったのは本当」


「ええ、それって」


「隣に内野がいたから、あいつは気付いてたかも」


「なんてこと…ごめん」


「なんとなく放っておけない気分になった」


「申し訳ない」


「昔の話だし。いいんじゃない、べつに。いつも隙がなくて真面目なのとギャップがあって、面白かった」


面白かった、か。

うん、私はこんなにタイミングで知らされて、恥ずかしい思いをすることになるとは思わなかったよ。

とほほ。





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