七話
そう、これが狙いよ。えっへん、考えたでしょ? でも私は出来るだけ、顔には出さないように頑張る。
「皆、そんなことしないで下さい。分かりました、分かりましたから」
これでいいの。一回皆にお願いさせて、これでいいのよ。
「わぁい。ゆきたんに許して貰えた、皆のおかげだよ。ありがと~ぉ」
……っ! 何よこれ、滅茶苦茶可愛いじゃないの。しかしどんなにメロメロになってたって、軍師たる私は顔に出したりするわけにはいかない。
「いえいえ、姫様ありがとうございます。本当に姫様は、とっても素敵なお方ですね。これだったら、この地は何年後も安泰ですな。はっはっは」
愉快そうに笑う村人たち。確かに私だって、笑顔の人々を見るのは嫌いじゃあない。
「私たちはそろそろ戻ります。あんまりここにいると、抜け出したのがばれてしまいますから」
微笑んで私は美咲の手を取り、崇めてくれる村人たちの元を後にした。
「怒ってしまってすいません。私は本気で怒っていたわけではなく、実は村人たちに庇わせる為だったのです。しかし、上手くいってしまったので驚きましたよ」
本当に簡単に、こんなに簡単にできるなんて思っていなかったの。いやぁ、あそこにいたのが素直な村人でよかったわ。