表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴女が信じてくれるなら  作者: ひなた
諦めと恐怖
79/106

第八話

 そう、翔の”せい”なのよね。

 私は別に、翔の”おかげ”だなんて決して思っていないわ。

 だってそれは、私を否定してしまうことになってしまうもの。

 誇りの高い私は、自分で自分を否定するような真似、絶対にしないのよ。

 それはたとえ、どんな状況であったとしてもね。

 むしろ苦境であればあるほど、私だけは私を褒めてあげないと思うから。

「そうですかね。こうも考えられますよ? 何かの罠を成功させる為、わざとボクに捕まった。なんてね」

 わざと捕まるだなんて、何を言っているのかしら。

 この私がそんなことをするとでも?

 その作戦自体は考える可能性もあるけれど、あそこには父上だっていたのよ。まさか、そんな勝手な行動をする訳がないじゃない。

 父上の名前に傷を付けるような真似だけは、したくないもの……。

 作戦を実行するにしても、相談くらいはする筈だわ。

 あの状況じゃ相談をすることも出来なかった。だけど私は、凛に時間を稼いで貰ってでも、父上に一旦は相談するでしょう。

 そして忍び込むにしても、私は一人で行きはしないでしょうね。

 不安にならないように、美咲と一緒に行きましょうか。それとも彼女が姫という立場にあることを考え、単なる護衛として明を連れて行くか。

 何にしても、たった一人で来たりはしないと思うの。

 自信はあるわ。賢いだけじゃなくて、私はそれなりに力もあると思っているわ。

 だけどあの怪物どもに比べたら、それなりに過ぎない力では、戦おうとも思えないわね。

 まあ、私の性格が分かっていたら、一人で潜入なんてありえないと思えるでしょうけれど、翔にはそこまでの情報がないのでしょう。

 彼の情報網は凄まじいわ。

 知らないことなんて、何一つとしてないのではないかと思わせる。

 だけれど、どんなに情報があったところで、初対面の私の性格なんて知らないに決まっている。

 私ならどうするか。それは、情報では推測出来ないことよ。

「そんなことはしませんよ。軍師役の少女が、自ら、たった一人で罠を仕掛けるでしょうか? そのような危険を買う行為は致しません」

 翔が私を疑ってくれているのなら、それを利用するというのも手よね。

 とりあえずは、皆を逃がすことに成功した。

 しかし皆は私を助ける為に、ここに戻って来る筈だわ。

 それは私の独り善がりではなく、確信を持って言い切れる絶対的なことよ。

 そのときまで耐えれば良いだけね。

 私がいなくても、父上がいる。父上と大将がいる。

 もう軍があるようなものだわ。

 私を捕らえる為だけに、他の全員を逃がしてしまうなんて、翔にも残念なところはあるのね。

 確かに私は優秀だけれど、少し買い被り過ぎじゃあないかしら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ