四話
どう? 私、正義の味方っぽいわよね。
そう思ってくれてる人がいると、私とっても嬉しいわ。民からの信頼、これ凄く大事! それくらい誰でも分かる筈よ。
「そうよねぇ。でもさぁ、今まで一生懸命訓練してきたんだもん。それでさぁ、今日遂に実践できるのよ? 楽しみじゃん」
まあ、その気持ちは私だって同じかしら。
いつか父上のように天才軍師と呼ばれたい。私はそう思って、幼いころから勉強を頑張って来た。
だからこの瞬間が、凄く楽しみなのは同じなんだ。
これが必ず勝てるような戦いと知っていても、兵達は皆父上からの命を受けていてもしもの時だって敗北は有り得ないと知っていても。それでも、楽しみなんだ。
「そうですね。それじゃ、そろそろ動きますかね。待っていてばかりでは、貴女は退屈でしょう? 仕方がありませんよ」
でも私だってバカじゃない。現行犯逮捕、初めから言ってた通りこれは絶対に実行するわ。
「ばれたくはありません。それと、ちょっとスリルを味わいたくなってきました。ふふふっ、兵達を少し困らせちゃいましょう」
全部私達に任せてくれる、大将はそう言ったわ。だったら、別に怒られたりしない筈よね。
「何何? ゆきたんそれは、作戦じゃなくて悪戯が思いついたって感じだね」