表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴女が信じてくれるなら  作者: ひなた
全て失って
45/106

第四話

「いつまでもここにはいられないわ。いずれ見つかってしまうものね」

 急に表情を真面目なものに変え、美咲は意見を求めるように言う。

 私を信頼してくれている。

 そのことは勿論嬉しいわ。それでもまず、美咲の考えを聞くのが先ね。

 確かに今は時間がない。

 でも、だからって全て私が決める訳にはいかない。それだと美咲も成長出来ない、しさ。

「これからどこへ向かいましょうか」

 こんなところにいたら、見つからなくても飢え死にしてしまうわ。

 それを考えたら、どこかの街に行くのがいいかしら。

 とりあえず、そこまでは美咲も考えたらしい。

「街に潜みながら、武器とかを収集するなんてどうかな。宿や料理店もあるでしょ」

 潜むと言っても、美咲の顔くらい知られているわよ。そして我が国が滅んだこと、もう広まっているでしょう。

 そうすると、近くの街はまず不可能。

 だって逃げた姫を匿っているなんて、ばれたらどうなるのよ。自分がリスクを犯すほど、私たちを大事に想ってはくれないでしょう。

 つまり、近くの街では追い出される。悪ければ、香山の野郎に売られるかもしれないわ。

 しかし遠くの街なんて、辿り着くだけでも困難だわ。

 その間、何にも襲われないと言う保証はない。無闇に動けば、捕まってしまうかも。

 それに食料だって持たない。徒歩では、きっと急ごうにも体力や足が辛い。

「それならば、近くの街へ僕と明殿が向かうのはどうですか。お二人とは違い、顔を知られておりませぬがゆえ」

 私と美咲を順に見て、凛はそんな提案をしてくる。

 そうね。凛や明の顔までは知らないでしょう。美咲はともかく、私だって知っている人は少ないくらいでしょうね。

 しかし私が行ってしまう訳にはいかない。

 美咲の傍で、私は美咲を守らなければいけないから。

 凛がいるならば、知力は問題なし。彼女は計算が得意だから、得する買い物が出来る筈。

 明がいるならば、武力も問題なし。彼は力があるから、襲われても大丈夫。荷物を運ぶにも楽じゃない。

「いいわ。気を付けて行って来なさい」

 きっと美咲は断ろうとしていた。

 しかし私の表情を一瞬見て、首を縦に振った。

 二人で街へ行くことを許可したのだ。

「行って来ます」

 そう言って、凛はぺこりと頭を下げる。そして彼女は去って行ってしまう。

 それに続いて、明も去って行ってしまった。

「二人とも、ちゃんと帰って来てくれるわよね」

 去った二人が見えなくなると、寂しげに美咲は呟く。実に悲しそうな表情で、美咲は呟いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ