三話
「それって、村の人達を騙すってこと? 違うよね……」
村の人達を騙す……か。美咲は親切過ぎて困る。ふん、そんなんじゃないわよ。
「村人を助けるのです。それ以上でもそれ以下でもありません。いいですね? 助けるんですから」
村人を助ける。それはつまり、村人が被害に遭うまでは動かないということ。だってさ、そっちの方が良くない? 私はそう思うんだけど。
それにそもそも、盗賊だとしても何もしてない人を攻撃するのはどうかと思うんだ。現行犯逮捕なら、私達は確実にヒロインになれる。
「そうよね、助けるの……。そんじゃ、頑張ろっか。用意とかはある? なかったら、さっさと乗り込んでぶっ倒しちゃおうよ」
あんま宜しくないよね、それ。乗り込んでぶっ倒すって、完全に悪役は私達よ。
「落ち着いて下さい。まず最初からずれていらっしゃいますが、私達は乗り込んだりしませんよ? 村人を助けるのです」
村人を助ける。まるで洗脳をするかのように、私は何度も繰り返す。
だってその方が、自分いい人的な感じに思えるでしょ? 自己満足や自惚れることを求める人へ。
「乗り込まないの? えぇ、つまんない~。盗賊たちの勝利の宴に、私はカッコよく登場してやりたいのよ」
いやいや、つまんない~じゃなくってさ。遊びじゃないのよ? ちょっと油断し過ぎじゃないかしら。
「それではいけません。あくまでも私達は、困る村人の為にやるのです」