二話
「どうしたら勝てるかな? ゆきたん、作戦があるんだよね」
キラキラとした眼差しで見つめてくるのだが、私は作戦なんてこれっぽちも考えていない。
だってそもそも、負ける筈のない戦いだから。だって負けるかもしれない戦、最愛の娘に任せたりするか? 少なくとも彼女の父親で総大将である梶原颯太は、そんな男ではない。
「仲間を増やしましょうか」
相手はただの盗賊グループ。しかし倒したならば、その盗賊の被害に遭った人々から感謝されるだろう。むしろ、感謝してくれないとか有り得ない。
「それってつまり、特に作戦って言う作戦はないってことよね」
ばれちゃった? でも美咲だって、負ける筈のない戦いだってことは分かってる筈。
確かに天然だとは思うけれど、彼女はバカではないから。
「はい、そうです。負けたりはしないと思うので、村の人々の信用を得るような戦いをわざとしてみせましょう」
私はいい人になるつもりはないが、いい人ぶるつもりはある。
民の信用ってのは重要なのであって、いい印象を与えようとするのは悪いことだとは思わない。それに美咲はただでさえ若くて可愛くておっぱいも大きくて、おっさんより人気が出るのは当然なわけだしさ。




