二十四話
「はい。僕は先生に信じて貰えるようになります。絶対に、なってみせます」
でもどうして、私の弟子になんてなるのかしら。
師匠はもっと探すべきだわ。本気で頭良くなりたいのなら、私みたいな子供を選ぶ意味が分からない。
私よりも頭良い人はいる筈。私よりも信じてくれる人はいる筈。私よりも教えるのが上手な人だって、いくらでもいる筈なのに。
「ねえねえゆきたん、どうしてあんなに怒ってたの? やになっちゃうよね」
さすがは美咲、疑うと言う選択肢がないのでしょう。
だから、父上が怒る意味が分からない。
素直なのは悪くないと思うわ。でも、これはさすがに危ないかしら。何でも信じちゃうんだもの。
私が守ってあげないと。美咲が信じる分、私は疑わないといけないんだわ。絶対に、美咲を傷付けたりしないように……。
「貴女は心配しなくていいのですよ。私に任せて下さい」
そう、美咲は何も心配しなくていいのよ。
何も考えなくていい。ただ、美咲は楽しんでくれればいいの。笑顔でいてくれれば、それだけでいいのよ。
その分私が頑張るわ。それでいいの、だから美咲はずっと笑顔でいて。
「うん、任せるっ! ゆきたん、お願いね☆」
素直に頷いて、可愛らしく美咲は私を見てくれる。
可愛い、なんて可愛いんだろう。これが美咲の最大の仕事よね。
ずっと可愛くていて、私のことを癒してくれる。私だけじゃなく、近くにいる皆を癒してくれる。




