二十三話
「先生、ありがとうございます。僕の為に、ああ言って下さって。本当に嬉しかったです」
そうは言ってくれるけど、やっぱり無表情は揺るがなかった。可愛らしい顔立ちしてるから、勿体無いわ。
「当然ですよ。私の弟子ですから、いざというときには戦って下さい。頑張って下さいね」
頑張らないのなら、その瞬間切り捨てるわ。でも気に入ったから、頑張ってるうちは私の傍に置いておいてあげるの。
そう、美咲ではなく私の傍に置いておくの。確かに美咲に仕えるとは言ったものの、私の弟子になったのだから。
それに、美咲の近くに置くにはやっぱり不安だわ。
そこまで信じる気にはなれない、残念だけどね。信じたいとは、思うんだけどね。
「はい、勿論です。先生の為に、姫の為に戦います。どんなことだって、僕は出来ると思います。だって、二人のことを信頼しているから」
信頼してる、かぁ。そんなこと言われても、私は信頼出来ていない。
しようと思っても、信じ過ぎてしまう訳にはいかない。そう思うと、この役職が好きになれないかも。
「お願いします。頑張って、頑張って下さいね? 私が信じること、出来るくらいに……」
相当な活躍を見せてくれないと、私は信じられないわ。
でも、活躍し過ぎてもダメ。活躍が不自然でもダメ。逆に疑ってしまうわ。ああ、私ってどうしてこんなにめんどくさいのかしら。




