二十二話
「私に任せて下さい。まだ信用に値する人物かは分かりません。が、彼女は優秀な人材です。私に育てさせては貰えませんか? 姫様のことはお守りしますから」
信じられないわ。
この私が、殆ど知りもしない少女の為に頭を下げるなんて。
「雪絵? 何を言っているか分かっているのか。姫君に何かあった時、お前は責任を取れるのか? 信じられない。守ると言って守れるのかっ!?」
この声は父上? でも、どこにいたんだろうか。
「守れなくても守りますっ! だからここで追い払わないで下さい。姫様は彼女のことを気に入っています。私は悲しませたくなんてないのです。もし彼女が怪しい者だったとしても、姫様を悲しませないようにしたいんです。それに私……、彼女のことを信じてみたいんです」
いつもだったら、父上に逆らったりなんてしない。
どうしたんだろう、私。こんな少女の為に、頭を下げて父上に反抗までして。
「絶対に守れるんだな? 美咲のこと」
え、大将。凛のことを、私のことを信じてくれるのね。
「はい、必ず守って見せます」
必ず、何からも私が美咲を守る。美咲のことを悲しませはしない、美咲のことを苦しませはしない。……絶対に。
「僕も姫や先生のことを守ります。何からもお守りすることを約束します」
私達は立ち上がると、大将の部屋を後にした。




