二十話
「そうだな。天才だし、あんな奴らに負ける訳無いよな。心配の必要などなかったか」
なるほど、そうゆうことね。
美咲の自信はどこから来るのか、その答えが出たわ。ここから来ているのよ。
親がこれじゃ、娘もああなって当然ね。
「後片付けも命じてあります。大将はご心配なさらずに」
大将の心配は消し去らないとだわ。
心配事は、あまり体に良くないらしいものね。
それに、少しでも抜けがあれば軍師失格だわ。大将の軍師ではないけれど、そんなの関係ないわね。
「おお、さすがだね。じゃあ、そこはいい。では、もう一つ気になることがある」
気になること、何かしらね。
表情を見る限りは、喜びではないらしいわ。でも悲しみにも見えないわね。
驚き、疑問。よく分からないけれど、その辺かしら。
「その少女は誰だ」
大将の視線の先には、静かに凛が正座していた。
今日出会って、そのまま連れて来たんだものね。そりゃまあ、大将が知っている筈ないわ。
今思うと不思議ね。どうして私、会って間もない人をこんな所に……。
無警戒にも程があるわ。
美咲を守らなきゃいけないのに。こんな素性も知れない怪しい少女。どうして信じてしまったのかしらね。
怪しい。そう感じはした筈なのに。
私の美咲に近付けたくないわ。




