十四話
確かに美咲は天才だわ。
有能、この私が唯一認める存在だもの。
「本当にあれだけしかいないと思っているのですか? 本当に、姫は素直な方なのですね」
彼女もそこそこ才能はあるかもしれない。
でもまあ、有能だと私が認めるにはまだ足りないわ。もっと活躍してくれないと、まだ分からないわよね。
しかしまあ、これはバカにしているのかしら。全くバカにする様子ではないのだけど、言っていることはバカにしているとしか思えない。
素直。そう言えば聞こえはいいけど、正直バカって言っているだけよね。
「先生ももっと子供らしくしてみてはどうですか? 先生が子供をしてくれれば、その真似をして僕も子供になれるかもしれません」
どうゆうことよ。私の弟子になって、私に教わりたいのがそれ? だったら美咲の弟子になればいいじゃないの。
別に私は、子供ぶった行動をするつもりなんてないわ。
「断ります。残念でしたね」
にしても、どうして彼女はこんなにも無表情なのかしら。
意図的に作って表情を隠しているの? でもそれにしては、演技をしている感じがないのよね。
あまりにも正直なことを言い過ぎているわ。言葉を選んではいるけどね。
「はい、とても残念です」
口ではこう言ってたって、全く残念な様子だってないし。