十三話
先生? それは、質問の答えとしては凡人向けじゃないんじゃないかしら。
確かに先生と言えば私以外に誰もいないわ。でもね、凡人はそれが分からないの。だって誰の弟子かなんて、そんな分かり切ったことを問うような人だもの。
「あたしのカッコ良さに惚れて着いて来たの。ゆきたんの弟子よ」
確かに美咲の説明だと、私並みの天才じゃないと理解できないかも。
美咲のカッコ良さに惚れて、私の弟子になるみたいじゃない。私は理解できるけど、人間には理解不能よ。
「どうでもいいけど戻りましょう。もう終わったんだもの」
さっさと城へと歩いて行ってしまう美咲。親のあの教育の結果と聞けば、誰もが納得するでしょう。
「残りは倒しておいて下さい。美咲はもう全滅させた気らしいので」
全滅させた。素直な美咲は本当にそう信じているわ。
だったら残りの退治は、美咲にばれないようにやっておいて貰わないと困るわ。ってことで、私は行くべきじゃないわよね。めんどくさいし。
「え……あ……」
そして反論は聞かずに、私は美咲の後を追った。
まだ子供なんだから、これくらい我が儘だっていいじゃない。子供が子供っぽくて何が悪いの? 大人は後片付け頼むわ。
「ゆきたん、あたしってやっぱり天才ね。この力、実戦でも仕えすぎて困ったわ」