十話
えっと、これはバカにしているのかしら?
「凄いでしょ? あたしもゆきたんも、勉強とか訓練とか頑張ってるんだから」
美咲みたいに、とても素直な取り方をしちゃっていいのかしら。
確かに少女の口調を聞く限りは、褒めているようにも聞こえはするわ。
「それで、ご用は何ですか?」
可愛い子だとは思うけれど、私は美咲以外に興味ないわ。
「僕を仲間にして欲しいんです。梶原颯太様ではなく、梶原美咲様に仕えさせてほしいんです」
こんなことを言われて、素直な美咲が断ったりする訳ないわ。
「うん、いいよ。あたしに着いてきなさいっ」
ほら、やっぱりね。
こんな少女を疑いたくはないけれど、先程の口振り的にもただの少女だとは思えないわ。
「ありがとうございます。それと僕、雪絵様みたいに優秀な軍師になりたいんです。宜しければ、弟子にしては頂けないでしょうか。お願いします」
私の弟子に? あれだけバカにしていたくせに。
でも美咲はこの少女を仕えさせるらしいし、弟子として私のところに置いておくのもいいわ。
「優秀な軍師だなんて。ふふっ、弟子なんて大歓迎ですよ」
嬉しそうにする子供の表情を装いながら、私は少女の弟子入りを許可した。
「僕の名前は冬木凛と言います。早速着いて行っても宜しいでしょうか」
多少声が弾んでいるような気はするが、表情は全く揺るがないか。
「勿論いいわよ。あんたもあたしの家来の仲間入りなんだから」