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04【生体防御(抗体)】

前回説明した白血球の仕事は「免疫」。

これは体内に侵入した非自己物質、ガン細胞などを処理して恒常性を維持する「生体防御」の一種だ。で、免疫の詳しい説明は↓


【免疫】

自己を認識し、自身以外の外来性、内因性の異物による自個体の錯乱を防ぎ、生体の統一性と恒常性を維持する為の機構。


マクロファージや樹状細胞が、体内に侵入した異物を排除する生体防御を「自然免疫」、侵入した異物の情報を記憶、それをもとに攻撃、排除する生体防御を「獲得免疫」と言う。


今回は、獲得免疫の方を重点的にやるぞ。これはB細胞、T細胞でやり方、呼び名共に違って…


【体液性免疫】

B細胞によってつくられた抗体が、抗原と特異的に結合し、抗原を排除する獲得免疫


【細胞性免疫】

活性化されたT細胞が、非自己である抗原に対して特異的に直接働き、これを排除する獲得免疫


と、呼ばれる。じゃあそのなんちゃら免疫って何だと言う事なんだが、これは今から説明するぞ。


☆体液性免疫

B細胞によってつくられた抗体を手裏剣みたいに飛ばす事によって抗原を攻撃する、それがこの体液性免疫。

で、その具体的な過程はだな、まず白血球のうち単球がマクロファージに変形して、抗原を捕食。そのあとは…絵にしてみると…(作画中)こんな感じか?


In 血漿


単球改めマクロファージ

「やぁ、ヘルTくん!これ新しい敵の情報だよ!ほら君のTCRを僕のMHCに接続して、情報を受け取っておくれよ☆」


ヘルパーT細胞

「わぁ、ありがとうマクロフくん!じゃあ早速接続するね…わぁ、インターロイキン1で活性化までしてくれてありがとう!」


B細胞

「なぁヘルT、その情報俺にくれよ」


ヘルパーT細胞

「勿論さ!さぁ僕も君をインターロイキン4で活性化してあげるから頑張ってね!」


B細胞

「…うぉお!記憶したぜっ!これが敵の情報か!よし、解き放たれろ俺の免疫グロブリンより産生されし抗体達よー!」


好中球

「進め好中特攻隊…ぐわぁああっ!」「隊長!…ぐはぁっ」「先に逝くよ…」「所詮俺らは捨て駒なのさ…」


好塩基球

「あー、またやってるわ…あ、私も仕事しなくちゃ。やりすぎるとアレルギーになっちゃって怒られるから面倒なのよねー」


赤血球

「好塩基ー!のんびり見てないで助けて!酸素運びたいのに、何かどんどん傷口から…わぁあー!」


血小板

「はわわわぁ何か赤血球ちゃんが体外に出て行っちゃうよ、フィブリンで固めなきゃあー!」


………。


はいごめんなさい、真面目に説明するよ。

ちゃんと説明すると


☆体液性免疫

1、ヘルパーT細胞への抗原情報の提示(抗原提示)

2、B細胞とヘルパーT細胞の結合

3、ヘルパーT細胞によるB細胞の活性化

4、B細胞から抗体産生細胞への分化

5、抗原抗体反応による抗原排除

6、抗体産生細胞から免疫記憶細胞への変化


やっぱさっきの奴の方がわかりやすいよな…テストで所詮俺らは捨て駒なのさ…なんてイタイ台詞書いたらそりゃ駄目だけど、なに言ってんのかわからない奴は脳内で勝手に解釈つけた方がわかりやすいぞ。じゃ、次は細胞性免疫な…(作画中)


☆細胞性免疫

活性化されたT細胞が、非自己である抗原に対して直接働き、これを排除する獲得免疫。


マクロファージ

「何、仲間(細胞や組織)がウィルスに乗っ取られた!? …止むを得ないね、ヘルT!僕が食べたこの抗原の情報とインターロイキン1を受け取るんだ!」


ヘルパーT細胞

「穢れた者はこの軍に要らないよね☆じゃ、キラーT細胞(殺し屋さん)…頼んだよ」


キラーT細胞

「…こちらキラーT。これからウィルス感染細胞に結合、破壊する」


ヘルパーT細胞

「わかりましたー!じゃインターロイキン2で活性化するね!」


(キラーT増殖)


キラーT細胞

「敵の情報を手に入れた。これから裏切り者を排除する…」


好中球「…ううっ…あいつは何も悪くなかったのに…」「耐えろ、軍のやり方に逆らえば我々まで排除されてしまうのだぞ…」「ふ、副隊長っ…!」


……。


はい、ごめんなさい。真面目なのはこっち。


☆細胞性免疫

1、ヘルパーT細胞への抗原情報提示(抗原提示)

2、ウィルス感染細胞とキラーT細胞結合

3、ヘルパーT細胞によるキラーT細胞の活性化

4、キラーT細胞の増殖

5、キラーT細胞によるウィルス感染細胞の攻撃

6、キラーT細胞から免疫記憶細胞への変化


兎も角…カビの胞子、細菌、ウィルス、ガン細胞etcなどの抗原を攻撃して排除する。これが免疫の仕事だ。



♦♦♦



免疫には経路が大きく分けてふたつある。唾液のリソチーム、皮膚のランゲルハンス細胞、咳、涙、胃酸etcなどの「非特異的経路」と、体液性機構(抗体)、細胞性機構などの「特異的経路」。


今回メインでやって行くのは白血球や抗体についてだから「特異的経路」の方だな。


☆抗原と抗体

白血球の一種、B細胞とT細胞についてはこの前説明した通りだ。

で、このリンパ球には自己の体成分とそうでないものを区別する能力があり、自己の体成分ではないものには反応を示す(=免疫応答)


その反応が抗体の形成。

で、その抗体産生を起こさせるものを抗原と言う。

で、この抗体ってのは免疫グロブリンと呼ばれているタンパク質で構成されている。

B細胞が中二ったセリフの中で言ってたやつな。

これが手裏剣のように抗原に向かって飛ばされ、抗原の一部分(抗原決定基)と特異的に結合、抗原を破壊する。

これが【抗原抗体反応】だ。


☆抗体の種類

ここはアレルギーなんかに関与してくるぞ。免疫グロブリンの結合の仕方でおおよそ5種類に分かれるって話はしたよな?それが下記の抗体だ。


IgG…血液中にある最も基本的な抗体


IgM…免疫の初期に微量に産生される抗体


IgA…粘液中に分泌される抗体


IgD…作用の不明な点が多い抗体


IgE…アレルギーに関与する抗体


で、よくあるアレルギーの原因になるのはこのIgEな。


☆アレルギー

IgEが過剰な抗原抗体反応を起こす事によって生じる生体に不都合な反応、それがアレルギーだ。


【即時型過敏症】

抗原(アレルゲン)による刺激によってできた抗体IgEがいろいろな組織に存在するマスト細胞(肥満細胞)に付着、同じ抗原がまた侵入した時に抗原抗体反応が起こり、マスト細胞からヒスタミンなどが分泌され、くしゃみや発疹、呼吸困難に陥る。

これがアレルギーのうち体液性免疫によって起こる「即時型過敏症」。


で、これがパワーアップすると死に至る事もあるアナフィラキシーショックになる。

ハチの毒はこれだな。で、これに対する対策はヒスタミンを活動させない事。

だから抗ヒスタミン剤を投与すれば発症を防ぐか遅らせる事ができる。


ハチに刺された時に、風邪薬を飲んでおけば毒がまわるスピードが遅くなるぞ。

あくまで気休めだから病院には行かなきゃだが。あ、これヒルにも効く。



【遅延型過敏症】

もう一つは、細胞性免疫によって起こる「遅延型過敏症」。

抗原と反応したヘルTが活性化して、インターロイキンを分泌して他のマクロフやら他のリンパ球を集め…やりすぎるんだよな。

で、攻撃力の強い細胞が暴れまわるものだから炎症などのアレルギー反応を起こす。

これが遅延型だ。


じゃ、今回は説明が多かったが大丈夫か?理解できないところがあったら聞いてくれよ。


じゃ、今回の授業も終了。お疲れ様。


参考文献…新しいの入ったらいうけど暫くいいよな、別に。

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