初戦 (後編)
何とかモブ…じゃない大月を倒したオレとレストは葉月の元に向かっていた。
「それにしてもよくオレの近くに居たな。呼んだのはオレだけど正直自信無かったし。」
「え?いっいやオレ遠距離タイプだからな!視野が広いんだよ。うん!広い!」
(1人で戦うのが怖くなって、後ろから追ってきたなんて言えない…)
「そうなのか?さっきの威力といい、意外にランキングもアテにならないかもな。」
「そっそうだな。」
そんな感じで話していると爆音が響いた。恐らく高レベルの魔法だ。
「レスト!恐らくもうすぐだ。準備いいか?」
「…もちろん!大丈夫!」
レストは一瞬顔が強張っていたがすぐに笑顔になっていた。よしこれならいけるな。
移動すると葉月の姿があった。そしてマダラスとラヘアの姿も。
葉月が接近しながら魔法を唱える。その瞬間オレの視界から葉月消えた。え?そう思った瞬間にはラヘアが弾き飛ばされていた。
「ちっ…」
ラヘアがダメージを受けた腕を確認しながら呟く。なんだあれは…速すぎて目で捉えられなかったぞ。流石が4位って所か。
「やっぱすげーな。葉月は。それに比べて21位のお前は……フッ……もしかしてオレの方が「チビは黙れ。」
「うっさい!コレから伸びるんだ。大体お前この戦闘は活躍してないだろ!行動で見せろよ。」
むっ…レストにしては正論じゃないか。だったら見せてやるか。
手から剣を呼び出す。伊達に21位じゃねえよ。オレも。学生証に残ってる敗戦は上位陣相手の戦闘によるものだ。その悔しさ忘れるほどオレはバカじゃない。
マダラスに接近を試みる。オレの予想通りマダラスは反撃の魔法唱える。そう。オレの課題はどう接近戦に持ち込めるかだ。だからオレは…
マダラスの魔法演唱がとまる。
「なっ…なんで唱えられないんだ?」
「悪いな。葉月との戦闘の間に仕組ませてもらったぜ。アンチ魔法をな。」
マダラスが動揺している間に一気に接近する。大剣を大きく振りかざし、腹を一閃。
マダラス、リタイアの文字が出た。
「よし!後はラヘアだけだ。」そう思ってラヘアの方を向いた。
葉月が一気にまたも接近する。単調な攻撃パターンだがラヘアは捉えきれていない。オレが向かう時間もなく勝負は決した。葉月の勝ちだ。
「勝った〜!久しぶりに勝ったよ。」
レストが喜びを爆発していた。葉月は少しホッとしたように胸を撫で下ろしていた。
「ありがとう。一応言っておく。」
葉月があまり慣れていない感じで感謝を述べた。
「いやいや、こっちこそ勉強になったよ。」
オレは純粋に思った言葉を述べた。ただ…オレの中には納得行かない部分もあった。葉月は確か中距離タイプと学生証に書いてあったはずだ。さっきの戦い方じゃあ接近戦しかしていないし近距離タイプになるはず。という事は戦力温存してるって事だ。やっぱり4位は伊達じゃないってことか。絶対にこの上位陣叩きのめして1位とってやる。
「うん?何怖い顔してるんだ?司?」
レストが心配そうに覗き込む。こいつはバカだから気が付いていないか…
「何でもねえよ。それより勝ったな!後、オレとパーティ組まないか?」
「え?嘘?……あっ…しっ仕方ないな。別に組んでやってもいいぞ。そんなに組んでほしいならな!」
「無理には「組んで下さい!お願いします」
ホントに単純だな。こいつは。まあそれくらい裏表ない方がいいか。
「じゃあよろしくな。レスト。」
「うん。よろしく司!」
レストは上機嫌そうに満面の笑みだ。こいつ男なはずなのに可愛い……オレはホモじゃないよな?
そして3人の内2人は決まった。
戦闘から学校に戻った後マダラスは、屈辱なのか一気に逃げた。観客が笑ってたのが少し面白かった。
あの後実は葉月もパーティに誘おうか迷ったが倒すべき相手と割り切って諦めた。とはいえ、後1人!しっかりとしたメンバーを組みたいと思うものだ。