初戦 (前編)
今回の戦闘場所は東京のビル群。スタート位置はビルの屋上のようだ。とても綺麗な景色だ。これがバーチャルと言われて昔の人は何人が信じるんだろうか。
取り敢えず今回の戦闘タイプだけを考えるとオレと葉月が前に出て戦闘で、レストが支援何だろうけど実力考えるとレストの支援能力は低いだろうな。でもそれなら尚更前に出た方が正解か。1対2の状況は作りたくない。マダラスの実力を考えると2人行動のが安全だし、レストは最悪切り捨てで考えた方がいいか。
そんな事を考えているとレストがジト目で睨んでいた。いや、オレはあくまで最善の策を考えてるだけだから関係ないはずだ。うん関係ない。
「私が前に行くから2人は支援して」
葉月がそう言うと1人でビルから飛び降りた。おいおい。マジかよ。いくらなんでも無茶だろそれは…仕方ない。
「悪いレスト!葉月の援護に行くからお前1人で遠距離支援頼む!」
「はぁ!? オレを1人にさせんなって。お前らは強いかもしれないけど…」
レストは自信無さげに呟く。でも時間がない。
「悪いな。でもお前なら大丈夫だ。じゃあオレ行くから。」
そう言ってビルから飛び降りた。急いで葉月と合流しないと…
「おっおい!……ったく。何が大丈夫だよ。巻き込んどいて1人かよ…嫌になるな〜。」レストは1人呟いて屋上からの景色を見渡した。
ビルから飛び降りたオレは着地の際に魔法による障壁で着地に成功する。いくら魔法が苦手とは言え、これくらいは十分にできる。魔力の残量にもまだ余裕があるな。
よしこれから一気に合流を……え?足が動かない…まさかトラップ系の魔法か?
「はっはっは。悪いな。このパターンは予想積みだぜ。この大月様にはな。」
車に隠れていた男が現れる。しまった。完全に油断していた…
「これやったのはお前か?」
「もちろん。オレは葉月と戦闘した事あるからな。その時の戦闘パターンは1人で前に突っ込む事が多かったんだよ。つまり、1人での戦闘が多いって事は数的優位の状況を作り出せる。いくら4位の実力者でもキツイだろう。ましてやマダラス、ラヘアは魔界人だからな。実界人の葉月に長期戦を挑めば魔力の量が多い魔界人がまず勝てる。そうなればオレ達の勝ちだ。」
しまった。完璧に後手後手に回ってる。何とかこの魔法を解除しないと。
「おっと!甘いぜ。この魔法はオレも動けないという代償を払う魔法だ。普通の魔法よりは解除しにくいはずだ。ましてやお前はオレと同じ実界人だしな。」
まさか…ここまでやられるとは…オレはこの学校で上位を目指しているのに…
ある時、この世界はもう一つの世界を知った。それと同時にもう一つの世界を手に入れたいという人間の欲望でその世界を奪おうと考えた。そして時を経たずとして戦争は始まった。沢山の被害が出てやっと和解し二つの世界には平和が訪れた。交流が始まり、その象徴としてこの学校、創世学校が建てられた。学校の意義は平和の象徴かつ未だにお互いの事をよく思わない人間の抑止のための戦闘能力の育成。そして3人1組である理由も協力するという意味がある。
オレは平和の為にあの惨劇を起こさないためにこんな所で負けられない。そして平和の象徴でもある。この戦闘は3人1組だ。
「レスト!!援護を頼む!!」
オレは屋上に向かって叫んだ。
「言われなくても、援護するって!バカにした癖に。」
大きな魔法陣が空に出来ていた。え?無駄に大きくないか?雷の魔法が大月を襲う。いやオレと大月を襲う。かなり威力だ。大月がリタイアと同時に魔法が解けた。
「どうだ。オレをランキングだけでバカにするからこうなるんだ。」
自信満々に感謝しろとばかりの笑顔だ。
「オレを巻き込まなかったらな!!!危うくオレもリタイアする所だったぞ。」
レストを頭を軽く叩いた。イタッと頭をレストは抑えているがオレの方がダメージは大きい。
「だって加減するのが難しいから…」
レストが少し涙目で言い訳を言っている。もしかしてこいつポテンシャルはかなり高いんじゃ…いや今のままだと巻き込まれるだけだけどさ。
「まあいいや。今回は許してやるよ。ありがとな。」
レストはすぐにパッと笑顔になって
「まあこれぐらい当然だな!オレにかかれば。」
こいつ単純だな…扱いやすいし。あっとにかく葉月の援護に行かないとな。
よし!あのうざいマダラス倒してやるか…レストとオレは葉月の元に向かった。