奪還
高額なお布施をしてから、私に接触してくる教団の勧誘員は、教団の幹部に変わった。
彼らの目的は、私からお布施を引き出すこと。
そして、出来たら、信者にして、帰依させて全財産を寄付させるか、教団のスポンサーにすることが、重大な使命であり、私はそれに、のったふりをして、さまざまな情報を聴き出していた。
とんでもなく反社会的な集団だった。自分たちは、政府から不当に迫害されてるという大義名分のもとに、政府転覆を計画していた。そして、その後の日本を自分たちの支配下に置こうと、本気で計画していた。
そのために、息子たちは、自動小銃を組み立てさせられていたのだ。薬品工場もあり、テロを狙ってた。
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私は、執事に相談した。執事は、ある策を考えてくれて、屋敷で働いてる男たちや車を貸してくれた。
富士山麓の教団の本拠地から、息子を連れ出すのは、不可能だけど、教団は、あちこちでイベントを催していた。そんな機会を狙うことにしたのだ。
渋谷の交差点で、信者たちが、教祖の着ぐるみを着て踊っていた。
そんなイベントの時は、少年たちは、募金箱を持たされて、街角に立つ。
息子も、その中の一人だった。
男は、息子に近づき、みぞおちに、一発入れて、抱えて用意していた車に滑り込んだ。
そして、赤坂のヘリポートに運んだ。そして、ヘリコプターで成田空港に連れて来た。
「どうして、こんなことをするんです!お母さん。僕は父を見捨てられないって言ったでしょう!それにこんなことをして、あの教団から狙われたらどうするんです。」
「品川の屋敷にかくまいたかったけど、すぐに追っ手がくるわ。あなたの養父はあそこを知ってるから。でも、彼らだって、国外までは、追ってこれないわ。あなたは、私とモナコに一緒に行くのよ。」
「でも、父が…。」
「見捨ててちょうだい。あの方は、教団の計画してることを、みんな知っててあそこに入信したのよ。もう、あなたも私も手に負えないわ。」
「計画してることって?」
「無差別殺人よ。」