感動の嵐の中で声高々に叫ぶあたし
私の恐慌をよそに、
一瞬ぐにゃりと溶けた視界はすぐ元通りになった。
ただ、風景がガラッとかわっていた。
…なんでしょうか…このオリエンタァールで、豪華ぁあで
どこの神殿?みたいな部屋は…
部屋のあまりの豪華さに唖然呆然としていた私は
ようやっと、目に映る風景の中に
宝石以外の人たちが5人、いる事に気づいた。
てか、床に深々と叩頭してる。
え、え、と床に頭を垂れている人たちと宝石を交互に見やると
床に叩頭している先頭の男の人が顔をあげた
(うわ、この人もおっそろしーほどかっこいーわ…)
宝石とは違う男らしい美丈夫というんですかね。
彫りの深い美しい造詣にもう感嘆するしかない。
ふぇ〜っと声が漏れたんでしょうね
宝石が鋭くこちらをみて
「惚けた声を出すな…!我以外をみて惚けるなど…!!!」
とまた叱責された。
なんなんすかね、この宝石野郎。
と宝石をにらみつけたら美丈夫が
「陛下…もうそのように花嫁様にご執心でいらっしゃるのですね…!
このセイラン 涙で前が見えませぬ…!!!
あの手この手で陛下に妃候補を奨めて参りましたが
どのお嬢様方にも見向きもしない、興味も持たれなかった
あの陛下が…!!! シンラン!!祭り、祭りの準備!!
もう盛大にやっちゃって!!」
と盛り上がりはじめ
その後ろで叩頭してたあたしと同じぐらいの年の少年が
勢いよく顔をあげた。
「合点承知いたしました!!!セイラン様ぁああ!」
ぶわぁあああああああ。
すげぇ、泣いてる。
号泣の域。
え、なに?感動して泣いてるの?
え、ちょ、よくみたらセイランさんも泣いてるわ…
ん?残りの三人も叩頭してるからわかんないけど
肩がふるっふるしてるよね?!
泣いてるわ!
間違いない、泣いてるわ!!全員、泣いてるわ!!!
おいおい、どうなってんの
てかね、聞き間違いじゃなきゃね
あたしの事「花嫁様」とか言わなかった?
どういうことすか。
いや、いいわ、そっちは後。
もうね、恥も外聞もないです。
これ以上のんびりしてたらね
とんでもない事やらかしてしまうからね?
だから彼らが感動でむせび泣いてる中、申し訳ないけど
声高々に言わせてもらった。
「すいません!!!!
今すぐお手洗い、借りていいですか!!!!」
ってね。
いやだって、漏れそうならね、誰でもこうなるってぇ…。