第12話 作戦会議
一日でフロアボスを討伐できると思っていたのだが、結局2日間かかってしまった。とにかく戦闘に時間にかかったからだ。
一日目は転移直後の戦闘の後、七回も戦闘があった。二日目は十一回だ。しかも、どの戦闘でもモンスターの数が異常なのだ。通常時の十倍以上は確認されている。
当初はフロアボス戦の際も異常があると考えていたのだが、そんなことはなかった。第96層のボス部屋のギミックは今回の戦闘では起動しなかった。おそらくギミックがないタイプのフロアなのだろう。普通に攻略できてしまった。
そう、できてしまったのだ。
研究所や調査隊は第96層に異常があると考えていた。しかし、なかった。
では、どうするのか? 答えは簡単。とりあえず会議である。
あと5分でその会議に出発しなければ間に合わない。……まだ朝ごはん食べてる途中なんだが?
こうなっている原因はただ一つ、ホノカが寝坊したせいだ。
俺の部屋には一応目覚まし機能付きの時計がある。だが、朝が弱い俺がそれだけで時間通りに起きれると思うか? 舐めるなよ。起きれるわけない。
俺はホノカに物理的な衝撃を与えられているから起きれるのであって、目覚まし時計ごときで起きられた試しがない。ホノカに叩き起こされるから遅刻せずに済んでいるのだ。
遅刻しないために最も重要なそのホノカが寝坊した。
朝、起きた時に一人だったから「これは早起きしすぎてしまったようだな。ふっ、俺もやればこれくらいできるのか」と浮かれたのも一瞬、時計を見ると普通に寝坊だった、
一瞬ホノカの裏切りも考えたが、部屋を見に行ったら寝ていた、ベッドから落ちた状態で。
はっ、早くご飯食べなきゃ。
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バンッ!やべ、力入れすぎた。
「すみませんっ! 遅れました!」
「ましたっ!」
「まったく。揃いも揃って遅れやがって。二十分遅れだ。あとホノカ、君は省略するんじゃない」
「…………は〜い」
「……ゴホン、始めてもよろしいだろうか?」
「「「失礼しました!」」」
「では、本日の会議を始める。ここで議論したいのは、この先についてだ。主にこのまま第96層で調査を続けるか、それよりも深く潜るか。その二つの選択肢がある。……いや、正確にはもう一つあったな。これまでの異常、その全てをたまたま、もしくは第90層以降の性質ということで調査を終了するかだ。何か意見のあるものはいるか」
「私からよろしいでしょうか。ほとんどの方は初めましてですね。王立研究所所長のエレブノー・ブサノフと申します。アレン君の魔道具の設計も主導させていただきました。私たちとしては、これは第96層のみの問題ではないと考えています。先日の調査でのモンスターの数は異常です。しかしながら、遭遇戦がなかった第90層以降のモンスターの総数と考えるとそこまで不思議な数ではありません。少なくとも第90層以降、もしかすると大迷宮全体が連携して我々の攻略を阻止しようとしていると考えて良いでしょう。実際、一般的なパーティーなら過剰すぎる数です」
「少しよろしいだろうか。私は王国ギルド長、アレクシオス・ファネリスだ。あなた方は大迷宮に意志がある、と? これまでダンジョンではフロアボス以外に知性はないとされている。それが間違っていたということか?」
「おっしゃる通りです。私たちは大迷宮、もしくはにそれを操作できる存在に知性が存在していると考えています。今回の場合だと、人間をこれよりも深く潜らせないつもりなのではないでしょうか? このように考えると、一部のモンスターが取った時間稼ぎのような行動にも辻褄があいます」
「なるほど、大迷宮を操作できる存在か。実に面白い。研究所は原因はこれ以降の階層にあり、さらに潜って調べる必要があるという意見で間違いはないかな?」
「はい。まさにその通りです」
「そうか。他に意見のあるものは」
「わしはギルドで情報・記録統括をやっておるコディス・グノーシスだ。わしも大迷宮の後ろに何か大きな存在がいるのではないかと思う。長年記録を見てきたが、今回はどいつもこいつも知性があるように思える。こりゃなんかが指示でもしてない限りありえん。どうせ奥の方にいるだろうからもっと潜ることに賛成だ」
「なるほど。意見感謝する。今のところは潜るという考えか。だが、調査隊メンバーの意見を尊重したい。どうだ」
「勇者ユリウスだ。俺も潜ることに賛成する。このまま原因がわからないまま攻略を続けたくはない。幸いにも調査隊の戦力は世界トップレベルだ。この戦力のまま原因を究明し、安全を確保したい」
「記録係アレオです。俺もこれは深くに原因があると思います。大迷宮が意思を持っているという意見にも賛成です。モンスターが一つの階層であそこまで湧くことは経験がありません。他の階層から移動してきたと考えるのが妥当でしょう。これまでの階層は隅々まで調査されているので、今更何か出てくるとは思えません。やはり深い階層ではないかと」
「私もレオが言うならそうだと思います!」
「……そうか。他の者はどうだ」
みんな一様に頷いている。
「では、決定だ。……ふぅ、我々調査隊は第97層以降の探索を行う。明日から潜るぞ。今日のうちに準備を終わらせておけ」




