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〇〇を知るまで、まだ0歩。

昨日の小説が頭に少々尾を引きながら、遅刻寸前の時間に永遠に感じられる古ぼけた階段を死に物狂いで駆け上る。

あとニ分でチャイムがなってしまう…!

今が二階だから、あと二階を二分で上がらなければ…。

上へと上がることに夢中にありすぎて前へ重心を乗せていたからだろうか。

前に見覚えのある横顔が出てきたことに直前で気付いた。

「…あっ」

出てきた子にぶつかって、私は勢いづいていたからか後ろにゆっくりと倒れた。

下に落ちながら焦っているあの子の顔が瞳に写った。

「さっ…ちゃん」

私は強い衝撃がくると目を瞑った。

けれど、衝撃は来ず恐る恐る目を開けるとそこは…。

「どこやねん、ここーーーーーーーっっっ!!!」

大きな部屋に白を基調とした家具。そしてキングサイズの天蓋付きベッドに私はいた。

「エレノア?!何かあったの?!」

急に絶叫したせいか、周りにいたらしい人が部屋に入ってきてしまった。

年は二十代くらいで薄い桃色を基調とした膝丈のドレスを纏い、艶のある黒髪を薄い桃色のリボンで結っていた。

そして、とんでもなく美女。

漫画や小説の主人公を張っていてもおかしくないレベルの美女が私に駆け寄ってきたのだ!

「あ、えっと、?」

「…エレノア?どうかしたの?まだ体調が優れないのかしら。医者を呼んで来るわ!」

ああ、この人突っ走るタイプの人間だ!

「待って!あの、話を聞いてくれませんか」

飛び出そうと、焦った顔をしていた彼女は頭に?を浮かべながらベッドの近くにあった椅子に腰掛けた。

「あのですね。私、もしかしたら記憶喪失かもしれません…」

「っはあああああああああ?!」


目の前の美女さんは屋敷(まだ分からないが)に私と同じく絶叫を轟かせた。

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