腕の中から真実を暴露する
私はプリム・ユロー、5歳です。
ユロー伯爵家の長女です。
私の家族は、お父様とお母様と 1歳の弟です。
あと、たくさんの使用人さんもいます。
お父様とお母様は、いつもラブラブなんです。
でも最近は、お父様とあまり会っていません。
忙しいみたいです。
お母様に聞いたら、悲しそうな顔で、お父様は仕事だからって言ってます。
若い侍女さんが、「浮気かも」って言っていました。
爺やに「浮気って何?」って聞いたら、すごく寒い笑顔を向けられました。
侍女さんの話をすると、すぐに何処かに行ってしまいました。
それから侍女さんの姿が見えません。
どうしたんでしょう?
誰も教えてくれませんでした。
浮気も、結局何かわかりません。
今度、お父様に聞こうと思います。
私は時々夜中に目が覚めます。
目が覚めたら、部屋を抜け出します。
夜のお屋敷は、探検みたいで楽しいのです。
そこで私は極たまに、見てはいけないものを見てしまうことがあります。
お父様とお母様が仲良くしてる姿、若い侍女さんと侍従さんがチュッチュしてる姿。
私はバレないように、そっと離れます。
ある日のこと。
この日も夜に目が覚めたので、冒険をしていました。
何処からか啜り泣く声が聞こえてきます。
あれは、お母様の部屋です。
誰がお母様を泣かせましたか!?
私はぷりぷり起こって、お母様の部屋に行きました。
そっと部屋を覗くと、泣いているお母様の後ろ姿があります。
その他には誰もいませんでした。
こういう時は、お父様が悪いのだと、婆やが言っていました。
だから、お父様がお母様を泣かせたんだと思います。
許せません。
お父様には、お仕置きが必要なのです!
お母様の代わりに、私がお仕置きします!
私はグッと手に力を入れて、決意しました。
どこかの本に書いてありました。
こういう時は、真実を暴露するのです。
……暴露って何でしょう?
真実は、本当のこと。
本当のことを言えばいいのでしょうか?
たぶん、そうです。
お父様が帰ってきたら、覚悟してください!
次の日の夕方。
お父様が、帰ってきました。
お母様に抱っこしてもらって、お出迎えします。
ここからが、勝負です!
「お父様!」
「何だい?」
「お母様を泣かせたお父様!」
「うえ!?」
お父様がオドオドしています。
「私は知っています。夜中にお母様の絵を見てデレデレしたり、お母様から貰った花にキスしてること!お母様のハンカチをこっそり持ち出していることも!」
「な、な、な……」
「まあ!」
「寝ているお母様にチュッってしているとこも、お母様に内緒で、たくさんの宝石やドレスを買っていることも、仕事先でお母様の自慢をしていることも!」
「何で知っているんだい!?」
「あなた……」
「お母様に内緒で、結婚記念日をお祝いしようと、休みを作るために仕事で頑張ってるのも、全部知っています!白状してください!」
「うっ……わ、わかったよ。プリム、お母様とゆっくり話し合って来るから、今日は一人でご飯食べれるかい?」
「私はお姉さんです!ちゃんとできます!」
そうです。
もう5歳のお姉さんなので、一人でも大丈夫なのです。
お父様とお母様は、二人で部屋に入って行きました。
爺やと婆やは、とてもいい笑顔で、親指を立てていました。
私も嬉しくなって、ニコッと笑いました。
次の日の朝。
お母様もお父様も、朝ごはんにきませんでした。
爺やに聞いたら、ニヤニヤしながら、仲良くしていると言っていたので、心配ないと思います。
お昼になって、ようやくお母様とお父様に会えました。
お母様は、なんだか萎れてるみたい?
逆にお父様は、なんだかツヤツヤしています。
何があったんでしょう?
でもちゃんと仲直りできたみたいで、私はとても嬉しいです!




