家族?と一緒にプリンパフェ
リクエスト企画作品
企画・原案: 山羊野混乱 さま
『「星◯カービィ」を模したお話もアリかな。』
『呆れかえるほど平和な国で、ぽよ~っとした子ども(男の子?女の子?多分種族は人間。とりまカ◯ビィっぽい性格)が、家族?と一緒にプリンパフェでも作る』
※本作はR15タグのホラージャンルです
日本という国は世界的にみると、『呆れ返るほど平和な国』だとよく言われる。だって、酔っ払いが路上で眠れる国なんてそうそうないのだから。
その評価は、貧富の差が拡大し不法移民が増えた近未来においても変わってはいなかった。
そんな国の、ホームレスが多い地域の河川敷にポツンと一軒のボロ小屋がある。
電気も水も通ってなくて、とりあえず囲いと屋根があるといった程度の手作り感あふれるボロ小屋だが、中から聞こえてくる声は明るかった。
「ロロ早く帰ってこないかな」
「待ち遠しいわねぇ」
住んでいるのはロロ、ララ、カビィ
ロロとララは30代の夫婦のような、カビィは4〜5歳のぽよっとした子供のような外見をしている。
ロロは現在食料を調達中
お気づきのことと思うが、彼らは純粋な日本人というわけではない。
遠い所からやってきて、ちょっくら無断で宿を借りている。
「ねぇ、ララ」
「なぁに?」
「僕たちって、『にんげん』なのかなぁ」
「やだ、どうしたの急に。哲学に目覚めた?」
多分、種族で言うなら人間だ。
風呂なんかないのでみんな薄汚れていて、戸籍もなくて……他にも色々な問題があるが……道ゆく者100名に聞いても、99人は人間だと答えてくれるだろう。
「なんかね、この『本』に写ってる人間と僕たちって随分違うなって思ってさ」
そう言ってカビィが見せるのは拾った雑誌。
そこには綺麗な身なりをした家族が、美味しそうにプリンパフェを食べていた。
「なるほど、それで不安になっちゃったのね」
「うん、そうなんだ」
カビィの言葉にララは思う。
そう言えば自分達は最近「手の込んだ調理」をほとんどせずにいた。それは少々、人間らしくない生活だったかもしれない。
というのも「調理」とは本来食べにくいモノを食べやすいように、美味しいものはより美味く、そして見た目まで美しくする行為。
地球にすむ他の生物は持ち得ない、人間らしいチート能力なのだから。
カビィは、ぽやっとしているようで中々に賢い。
それに、時々本質をつくことを言うのをララは知っていた。
「じゃあ、この『プリンパフェ』って言うのを一緒に作ってみる?まあ同じ食材はないから、ココにあるもので代用になるけれど』
「わあ、楽しそう。」
そして二人は仲良く作り始める
水で洗った器を用意。
下の層には硬い食材を砕いて敷き詰めて。
中層には映える柘榴色。
上層はトロリと口当たりの良いものにして、一番上にはプリン……はないのでプルンとしたもの。
よしよし、完成
上手く出来たし、楽しかったね
「ただいまー」
「あっ、おかえり」
ねぇねぇ、ロロ
いい『人間』はとれた?
「ああ、今日の『人間』は若いし大きいぞ。感染症もなさそうだ。ところで、何かしていたのか?」
「ええ、『調理』という、『人間らしい行い』をね。」
巨大なズタ袋を担いだロロが、それはいいねと答える。
だって用心する事は大切だ。
なにせ人間というのは周りと違うものを迫害する動物だから、人間をコピーした振る舞いを、キチンとしておくに越した事はない。
うんうん。
今きっと、自分達はとても人間らしい。
今、この体は隕石にくっついて宇宙からやってきた寄生生物の影響下にあるけど、どうみても人間だ。
宿主の持っていた自我は失われていて、人間を餌にしているけど、道ゆく者100名に聞いても、99人は自分達のことを人間だと答えるだろう。
だって人間は、腹の中に寄生虫がいても人間だもの。
脳の中に寄生生物がいても、それは人間に違いない。
それでは年間10万の行方不明者がでるこの国の、行政の目も届かない片隅で
雑誌のマネした『プリンパフェ』を囲んで
ミンナで嗤って
イ タ ダ キ マ ス。
人間の新鮮な脳って
大食いで、ピンク色で、柔らかいんですって