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白百合の花

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ここは俗に言う異世界(パラレルワールド)。色々な種族が住んでいる世界だ。そこにある「バグダード王国」という場所のごく平凡な村に、不可思議な少女が産まれた。

彼女の名は「ソフィアン・リリィ」。母は狐の獣人族。父は人間の所謂ハーフというものだった。

母はリリィの髪を結わえながら、父はリリィを眺めながら口々に言う。

「この子の瞳の色は淡い虹色だ。」

「きっとこの子は神様に愛された子なのね。」

単色かオッドアイが主流のこの世界において、"虹色の瞳”というのは非常に珍しいものだった。それ故か、父も母も白髪で自らも白髪というのは「遺伝」という言葉で片付くものを、人々は「女神の洗練を受けた神聖な髪」だとか「神の寵愛深き天使の髪」だとか言うのである。

また、母が魔法に精通していたことから、リリィ自身も「偉大な魔法使い」となると称されていた。…そしてリリィが5歳になった頃、母は忽然とどこかへ消えてしまった。

さて、そのおおよそ5年後。リリィが10歳となった時のことである。女神の洗練を受けて産まれてきたからなのか、はたまた彼女自身の才能なのかは定かではないが、リリィは主に光と氷を司るS級の魔法使いとなった。そして頭の良さも相まって、史上最年少で国の政治家にまで昇りつめた。え?「10最で政治家になれるのか」って?いやいや、何を仰るか、この国で重視されるは年齢でも性別でも家柄でもなく、ただ「才能」一つである。いくら家柄が悪くても、性別が女でも、若くても差別されることは一切ない。一つ問題があるとすれば、「もっと国を善くしよう」と思わず努力もしてこなかった他の貴族出身の政治家共が、平民出身でありながら自分らよりも王に重宝され、勝っている才能と魔力を持つ彼女を羨んでヒソヒソと陰口を言ったりしてきた位だろう。第一、彼女はそんなこと気にも止めていなかったが…。

そんなこんなで平和な日々を送ってきたバグダード王国だが、リリィが14になったある日事件が起きた。どこからともなく現れた蛇の形をした魔族が「リリィを陥れたい」と悪い考えを働く政治家達の欲を掻き立て、「もしリリィを陥れたいのならば、この国を護っている()()の魂を破壊しろ。そうすればリリィは海に沈む」と言った。政治家達はよく考えもせず、その愚かな行動に走った。それによりバグダード王国の均衡は崩れ、バグダード王国は海に沈み、人々は氷の像と化した。幸い、リリィは自らの魔法で脱出に成功したが、どうしても愛する祖国を諦めきれずに、今も彷徨っている。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

そんなことがありまして、バグダード王国のS級魔法使いことソフィアン・リリィは、龍神の魂の欠片を探し求めて旅をしている。幾年が流れ、今のリリィは18歳である。その魂が幾つに別れたのかも、それぞれがどのような力を秘めているのかも定かではないが、いずれも強力な力を宿しているのは火を見るより明らかである。彼女は見晴らしの良い草原に立ち、心地よい微風を受ける。彼女のツインテールが揺れる。暖かい春の陽気にうっとりとしながら、今も欠片を探し求めて放浪し続けている。その時、彼女が持っていた背丈を超える長さの杖の先から白い光が放たれた。

「?!」

驚く暇もなく、彼女は光に呑み込まれた。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

目覚めると、そこはリリィの知らない場所だった。一言で表すと、とてもおかしな場所だ。みんな、髪の色も目の色も黒。しかも服装もおかしい。随分と珍妙な服だ。

(…どこか、僕の知らない国の伝統衣装なのでしょうか…)

リリィはそう思った。まさかテレポートの力が意思に反して発動したのか?そもそもここはどこなのか?全てがわからずリリィは混乱している。それどころか、皆がリリィのことを何か異質なものでも見るかのような眼差しで見てきている。

(気味が悪い国ですね…)

そう言ってリリィが杖を片手に立ち去ろうとすると、いきなり腕を掴まれて一気に人目のつかない場所に引きずり込まれる。

「な…っ?!」

「しっ…静かに」

リリィの腕を掴んだ青年は声を潜めて言った。リリィよりも上背がある20歳ほどの青年であった。その青年の顔は暗くてよく見えなかったが、明るいところに出ると顔がハッキリと見えるようになった。濃い紫色のロングヘアに、どこか色を感じさせる涼しげな金色の瞳…その瞳は、リリィの元から居なくなった母と同じ色の瞳だった。

(母様…)

暫く母とその青年の姿を重ねて見ていると、青年がリリィに質問を投げかける。

「君は不思議な容姿をしているけれど、どこから来たの?」

優しげな声で青年はそう問う。リリィは、はっと我に返る。

「僕はリリィ。ソフィアン・リリィです。」

「…思った通り、君はこの日ノ本の国民じゃないね?」

「?ヒノモト?この国は、そういう名の国なのですか?」

「うん。そうだよ」

青年は優しく微笑みながらリリィに言う。

「さて、俺も名乗らないとね」

「俺は………」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「『安倍晴明(あべのせいめい)』だよ。よろしくね。リリィ」

はじめまして、「舞鈴かぐら」です。はじめての投稿なのでおかしなところは大目に見てくれると幸いです。ちなみに、(現在活動休止中ですが…)テラーノベルでも活動しています。投稿頻度は遅いかもしれませんがこれからよろしくお願いします

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