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6話 マジ博士登場

「我こそは天才科学者マジ博士!ありとあらゆる発明品を生み出しては世に送り出してきた、地球が生み出した天才さ!はーっはっはっは!」


 謎の紳士は高らかに自己紹介をして、ベッドの上で大きな高笑いをする。


「レキトさんに新しい仲間ができて良かったですね」


「何を見てアイツを俺の仲間だと判断したんだお前!失礼だぞ!」


「そんな言い方こそ失礼ですよ」


「はっはっは!別に構わないさ!」


 マジ博士は本当に気に留めない様子で、二人の会話に大笑いしている。


「というかお前!自分を天才博士だの何だの言ってるが、もしかしてマッドサイエンティストってやつじゃないのか!?」


「マッドサイエンティスト?」


 ミルは聞き馴染みのない言葉に首を傾げる。


「マッドサイエンティストってのはな……生み出した発明品で人間を困らせたり、人間そのものを改造したりするとんでもないやつだ!」


「そんなの居るんですか!?」


 レキトの説明に驚くミル。マジ博士はそんな二人の様子を見て笑顔ですぐさま答えを述べる。


「問題無いさ!お披露目した発明品が大惨事を引き起こす前にすぐさま撤収していたから、今のところは大惨事にはなっていない。自分の身体以外は改造してないから安心したまえ!」


「少なくとも発明品が大惨事を引き起こしそうになったことはあるんですね」


「人間改造してんじゃねーか!」


 マジ博士の中々の曲者ぶりに対し、思い思いの反応をする二人。


「そうだ、まだ君達の名前を聞いてなかったね、もし差し支えなければ伺っても宜しいかな?」


「あ、えっと……私はミル・ルーフです」


「俺は勇者のレキト・グロウブだ」


「ミルくんにレキトくんだね!分かった!さて、大天才発明家の私の命を救ってくれた大恩人である君達に、なにかお礼をしたいね……」


「ははは。いやぁ、俺が恩人だなんて……どちらかというと俺は英雄ですよ」


「レキトさん、謙遜って言葉をご存知ですか?」


「ははは!面白い青年じゃないか!英雄レキト君、改めて礼を言おう!ありがとう!」


「どういたしまして!」


 レキトの言葉に呆れるミル。一方マジ博士は大笑いでレキトの言葉を肯定し、ご丁寧に礼を述べる。


「そうだ!助けてくれたお礼に、私の宇宙船が直るまで君達の手助けをしよう!」


 マジ博士はベッドから丁寧に降りて自分の靴を履くと、二人に対して一つの案を提示した。


「もし良かったら、私がこの場で発明品の一つでも生み出してあげようか?」


「発明品?」


「そう!発明だ!何を隠そう私は発明家なのだからね!その辺の物で何か発明品を産み出そうじゃないか。誰でもいいから、適当にガラクタを持って来てくれないかな?」


「ガラクタでいいのか?じゃあ、ちょっと待っててくれ!」


 マジ博士の要望を聞いたレキトは、大急ぎで屋敷中を駆け回りガラクタをかき集めてきた。


「壊れて使い物にならなくなった道具だ!これでどうだ?」


「いや、もう少し良いもの持って来ましょうよ……どれもボロボロで原型留めてないじゃないですか!」


「俺は使える物は限界まで使うからな」


「いや、いいねぇ!これは実に素晴らしいガラクタだね!では、早速始めさせてもらうよ!」


 マジ博士はベッドから華麗に飛び降り、懐から謎の道具を取り出すと、ガラクタをかき集めて何やら作業を始めた。


「おぉ……何だかすごいことしてるみたいですね」


「懐かしいな。俺も昔は錬金術であんな風に、ガラクタから色々作ってたなぁ……すっかり忘れたけど」


「忘れちゃったんですか?勿体無い……」


「いや、本とか見れば思い出すかもしれん」


「これをこうして……よし出来た!」


 二人がやり取りしているその間に、マジ博士はかき集めたガラクタから一つの発明品を完成させた。


「えっ?マジ博士、もう出来たんですか?」


「とりあえず手始めに、こんな物を作ってみたよ!」


 マジ博士は二人の前に、妙に大きな機械を突き出した。


「これ何ですか?」


「ふふふ……これはアイスクリームマシンさ!」


「アイスクリームマシンだと!?」


 マジ博士の発明品にレキトがすぐさま食らいつく。


「アイスクリームマシン……その辺にいる人を凍らせる装置ですか?」


「そんな物騒な代物ではないよミルくん。これはね、上部にある投入口にアイスクリームの材料を入れると、あっという間にアイスクリームを作ってくれる夢のような機械さ!」


「な、なんて凄いんだマジ博士……!それさえあれば、いつでも簡単にアイスクリームを食べられるじゃないか……!」


「えっ?レキトさんと朝食を摂ってる時に、「いくらでもあるから好きなだけ食べろ!」とか言ってアイスクリームが入った容器を沢山……」


「何を言ってるんだミル!それとこれとは大違いだろ!あれさえ……あれさえあれば……!色んな味のアイスクリームをその場で作って食べられるんだぞ!」


「色んな味……?」


「その通りだよレキトくん!チョコレートを入れればチョコレート味のアイス、果物を入れれば果物味のアイス、野菜を入れれば野菜味のアイスが出来上がるのだよ!」


「……えっ!果物や野菜でアイスクリームを!?それは気になる……!」


「そうだろうそうだろう!いやぁ、喜んでくれたようで良かった!実を言うと、何でも凍らせられる冷凍銃と迷ったのだが……やはりアイスクリームの方が嬉しいようだね!」


「何でも凍る冷凍銃!?そんな物騒な兵器と迷わないでくださいよ!」


「兵器なんかじゃないさ。果物やらを凍らせてシャーベットでも作ろうかと思ったのさ」


「マジ博士……それ作ったら、下手したら生き物とか人間とか凍ってたんじゃないのか……?」


「大丈夫、一瞬で解凍できる解凍銃もセットで作る予定だったからね。抜かりはないよ」


「はぁ……冷凍銃じゃなくてアイスクリームマシンにしてくれて本当に良かった……」


 マジ博士の発明によっては、一歩間違えていたら大惨事になっていた可能性もあったようだ。


「では早速作ってみましょうよ!私、少し小腹が空いてたところだったんです!」


「えっ、もう?」


「マジ博士、動力源は何ですか?用意できる物ならすぐ持ってきますよ」


「動力源なら私の助手に任せたまえ!私の助手には、バッテリー……つまり機械の動力源を創り出せる装置を組み込んでいるからね!」


「助手?」


「なんか凄そう……」


「凄いものだよ!まあ、天才である私が作ったのだから当然なのだがね……ではピンキくん、お願いできるか……あっ」


 そこまで言ったところで、マジ博士は急に表情を強張らせた。


「マジ博士……どうしました?」


「ピ……ピ……ピンキくんがいない!!」


 マジ博士は激しく動揺し、頭を抱えて思い切り叫んだ。


「ピンキくん?」


「何だそれ?」


「私の助手だ!そうだ思い出したぞ!確か宇宙船に乗ってる最中に事故が起こって……!途中ではぐれてしまったんだ!」

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