第七話 騎士団長との一戦 Side倉敷桜花
本日は二本立てだったようです
Side:倉敷桜花
ベリル団長との模擬戦。力を見るためって言ってたけどあんまり私としては強くなった感じはしていない。でもなんとなく体の中で何かが渦巻く感覚はある。これが魔力ってものなのだろうか。
「君らは魔法も使っていいぞ。使えるなら、だが」
ベリル団長はそんなことを言うが、魔法なんて使えるわけがない。
でも、いつまでもこうしていても埒があかない。そう思い目の前のベリル団長を見る。素人目に見ても分かるきれいな構え。どう考えてもこの人から一本取れる気がしない。
取り敢えずダッシュで距離を詰めよう。
走り出したら私が思っていたよりずっとスピードが出ていてすぐに距離は詰められた。でも、私自身がスピードについて行けてなかったせいか攻撃することもできず、つんのめってしまった。ベリルさんは手を出してこず、後ろへ下がる。私が自分の身体能力に振り回されていることが分かっているのだ。でも、自分の身体能力はある程度把握できた。
もう一度踏み込む。
今度はちゃんと自分の動きが把握できた。踏み込んだ勢いそのままに、自分で言うのも何だが型も何もない力任せの一撃を放つ。ただ、スキルのおかげなのか、結構いい一撃が出せたと思う。ベリル団長もちょっと驚いている。
そこから何度か打ち合う。
ベリル団長はやっぱり強くて最初こそちょっと驚いていたけど今は冷静に対処している。二、三分打ち合っただろうか、ベリル団長が
「もういいぞ」
そういった。
それで私は剣を振るうのをやめる。
「うん。素人と言っていたがさすが勇者と言うべきかかなりいい。剣術自体は素人だが打ち合っている内に自然なからだの使い方を覚えて言っているようだったな。」
褒められた。まだまだなのは自分でも理解しているが、やっぱり褒められるのは嬉しい。
「凄いね桜花!どんどん動きがこう...すごくなってたよ!!」
心音ちゃんはちょっとアレだけどいい子だ。
「桜花チャン。ホンマに素人なん?」
そうやって聞いてくる綾香ちゃん。
「多分スキルのおかげだよ。」
でもホントにスキルのおかげだと思う。でもそれにかまけていたら魔王を倒してこの世界の人を救うなんて不可能だよね。もっと頑張らないと。そう思っていると、
「いやぁ、最初自分のスピードに振り回されてるときはどうなるかと思ったけど、立て直したねぇ。さすがは倉敷さんだ。」
笑みを浮かべながらそう言って近づいてくる平坂くん。
平坂庵。
私たちと一緒にこの世界に召喚された一人だ。彼は不思議だ。スキルも魔法も決して強いものではない。むしろスキルなんかは使い方が限定的で弱い方だと思う。それに魔力量だって私たちとは比べものにならないくらい少ない。その時点で不思議なのに彼にはもっと不思議な点がある。何でか、凄く余裕があるんだ。普通はもっと取り乱したり、塞ぎ込んだりするもんじゃないのかな。それと、召喚された中の一人の花音ちゃんとも凄く仲がいい。今度花音ちゃんに平坂君のこと聞いてみようかな。
あ、今度は綾香ちゃんが挑戦するみたい。ちゃんと応援してあげないと。
本当は四人の視点はしれっと流して次の一話で庵に戦って貰うつもりだったんです。でも.....描いてると思ったより伸びちゃったんです!!
と、言うわけでここから各視点の模擬戦書いていきますんでよかったらお付き合いください。
(ワンチャン夜の内にもう二、三話上がるかも?)