第三四話 出発前日にトラブルはつきものの様です
魔神族に出会ってから約二ヶ月。その間俺は、それなりの依頼をこなしながら、ゆったりとした時間を満喫していた。
「イオリさん。孤児院の調査を依頼したいんですけど。」
どことなく気持ち申し訳なさそうにレオ君が頼んでくる。
「孤児院の依頼?何でまた俺に?」
面倒ごとの匂いがするぞ~。明日出発なんだからゆっくりさせてほしいなぁ。
「それが....「そこからは僕が説明するよ。」
顔を出した組合長レギオンがレオ君の言葉を遮って言う。そしてそのまま奥に通される。
「すまないね。あの場で話すような話でもないからさ。」
あの場で話すことじゃない、ねぇ。俺明日出発なんだけどなぁ。ゆっくりしたいんだけどなぁ。
そんな俺の思いはガン無視で組合長が話し出す。
「まず、孤児院についてなんだけど、組合から南東に行ったあたりに協会と併設した孤児院が存在するんだよ。そして、そこの院長に児童誘拐の疑いがかけられていてね。」
児童誘拐ねぇ。
「なしてまた院長にそんな疑いが?」
「実はね、あの辺りで少し前から五~八歳くらいの子供が居なくなる事件が多発していてね。そんなときに失踪した子供が孤児院に入っていく姿を見たっていう目撃情報がいくつか寄せられていてね。」
「それで院長に疑いの目が行った、と。」
「そう、だから君らに調査を依頼したい。」
「いくつか聞きたいことがあります。まず一つ、なぜ俺に?」
「いや、実は、君らの前に獅子王団って言うC級冒険者パーティに依頼をしていたんだよ。しかし、その獅子王団のメンバーからの連絡が途絶えてしまってね。」
「そこで、俺に白羽の矢が立ったと。」
「そう、君は今、この町における一番の実力者だからね。」
「じゃあ二つ目。君らって言ったが、俺以外にもこの調査に参加するメンバーがいるのか?」
「あぁ、今回の依頼は一筋縄じゃ行かないような気がしてね。だから、紅蓮の咆哮のメンバーにも依頼しようと思っている。」
紅蓮の咆哮に、か。たしかに彼らなら万が一が起こるとも考えづらい。しかし、組合が、と言うよりレギオンがここまで警戒しているのか。確かに、何かありそうだな。
「紅蓮の皆も参加するんだったら、俺も参加するよ。どっちにせよ一回挨拶するつもりだったし。」
「ホントか!助かる!しばらくしたら紅蓮の咆哮も戻ってくるはずだ。お茶でもしながら待っててくれ。」
「美味しい紅茶が出ることを期待してるよ。」
執務に戻ったレギオンの背を見送った後、紅茶を飲みながらマシロと話して待っていると、レギオンと紅蓮の咆哮のメンバーが戻ってきた。
「久しぶりだな、あれからもう二ヶ月か。元気にしていたか?」
紅蓮の咆哮のリーダー、エグニが相変わらずの好青年ぶりで声をかけてくる。
「あぁ、そっちこそ。もうあの戦いの怪我は問題なさそうだな。」
「もうピンピンしてるよ。と、言うか君まだこの町を出てると思ってたよ。」
「なんだかんだ言って居心地が良かったからなぁ。長居してしまった。」
その後少し雑談も交えながら、孤児院手前まで来た。
「さぁ、みんな。準備は言いかい」
エグニの言葉に、皆が強く頷く。
さて、鬼が出るか蛇が出るか。孤児院長とご対面と行きますか。
今回の投稿は空きませんでしたね。これがいつまで続くのだろうか。最近夜中遅くまで友人と話すことが多くなってましてね、そのおかげでストーリーの制作がはかどるはかどる。マジ友人に感謝ですねぇ。
今回になって出てきましたよ。好々爺な顔の悪役。私そう言うキャラ好きなんですよねぇ。院長先生はどうなるのか!乞うご期待!(次の投稿は未定です。)