第三二話 一方その頃3
気づいたら一ヶ月近くも投稿してませんでしたね。これからもまちまちと更新していきます
私たちがエーリカッツォに到着してから一週間がたった。その間私たちはダンジョンを周回したり、おのおの買い物を楽しんだ利など結構自由に過ごしていた。だけどそんな時間も、もうそろそろ終わりだ。
一昨日エンリナさんから次の町へ行くと言われている。
「で、次の町ってどんなところなん?」
綾香ちゃんの質問にエンリナさんが少し考え込んでから言う。
「そうですね。次は、ロベルンドへ向かって貰おうと思っています。」
「そのロベルンドとはどんな町なんですか?」
「ロベルンド自体にはこれと言った特徴は無いんです。ですが.......最近ロベルンドで妙な事件が起こっている、とのことで。」
「妙な事件って言うと?」
「町民や冒険者など、少なくない数の人が行方不明になっているとか。」
「ふむぅ。謎の行方不明事件ね。それを勇者である私たちに解決してほしいと。」
「まぁ、そうですね。後は、勇者様の知名度や評判を上げる、と言った目的もあると思いますよ。希望は周知されてこそですからね。」
我々としても、まだ成人でもない貴女方に頼り切りなのは心苦しいんのですけどね。と溢しながら、エンリナさんは苦笑して言う。それにしても行方不明事件。魔神族の仕業なのだろうか。そんなことを思いながら私たちは出立の準備をする。
翌日、私たちは領主様に見送られてエーリカッツォを出た。馬車の中では談笑しながらもどこか緊張感のある雰囲気が漂っている。それもそうだ、こちらの世界に来て初めての事件だ。それも魔神族の関わっている可能性のある。
一抹の不安と共に私たちは、ロベルンドへ向かう。
Side:平坂庵
魔神族の男を倒した後、紅蓮の皆を起こして取り敢えず帰還した。
「で。調査の結果はどうだった?」
レギオンさんの問いかけに対して紅蓮の面々が答えていく。
説明後、やっぱりというべきかなんと言うべきかレギオンさんは頭を抱える。
「にしても魔神族まで出てきているとは思っても居なかった。と、言うより、魔神族がこんなところに入り込んでいること自体想定外だよ。フローズンバンシーも本当に存在していたみたいだしね。取り敢えず、君たちの話を聞いてよく分かったよ。そして、良く生きて還ってきてくれた。ありがとう」
その賞賛に対してエグニ達は困ったように笑いながら、
「いや、ぶっちゃけ俺たちだけならここには多分戻れてません。イオリが居てくれたおかげです。俺たちは途中から気絶しちまって、結局、フローズンバンシーも魔神族も倒したのはイオリですから。」
他の面々も概ね同じ考えのようで大きく頷いている。
と、言ってもなぁ、
「確かに倒したのは俺ですけどね。そこまでに紅蓮の咆哮の皆が削ってくれたから倒せたような物ですよ。魔神族の男だって不意打ちで倒したようなもんですし。」
変にあげられても困るから取り敢えず謙遜しておこう。
「何はともあれ、君らが全員無事に帰ってきてくれたのは事実だ。この後はしっかりと休んでくれ。」
そんな感じのレギオンさんの言葉でその場は解散になる。無事に帰ってこれたことでお疲れ様会をするって事で紅蓮の皆から誘われたがそれは断った。もうそろそろ次何処に行くかも決めたいしね。
完全に日の落ちた街道をマシロを抱えながら歩く。
「マシロ、次何処行く~?」
「キュキュ!〈ご主人様が行きたいところなら何処へだってついていきます!〉」
.......え!?今思念が...
「マシロ、お前念話が使えるようになったのか?」
「キュッ!〈はい!ご主人様とお話ししたいなぁって思っていたらいつの間にか使えるようになってました!〉」
鳴き声と思念の量が一切合ってない。それにしてもマシロが念話を使えるようになるとは。いつか人方になったりして。流石にそれはないか。人方になる魔物ってすげぇ少ないらしいし。
取り敢えずその日はマシロと寝落ちるまでずっとお話した。
祝!マシロ!ついにしゃべる!ぶっちゃけあんま考えずに書いたらマシロしゃべりだしちゃいましたね。びっくりだ。これは人化するのも近いか?