第三一話 一方その頃2
「今日はダンジョンに潜ります。いくら管理されたダンジョンだとしても危険はあるので油断はしないようにお願いします。」
翌日、私たちはダンジョンに潜ることになりました。
「管理されたダンジョン?それって管理されてないダンジョンもあるって事?」
心音ちゃんが質問する。
「はい。ダンジョンは基本的にFからSまでランク付けされています。生まれたばかりのダンジョンはまた別ですが......。そしてランク付けされたダンジョンの中でランクの低いダンジョンは資源採取や冒険者の収入源として許可制で開かれているんです。それが管理されたダンジョンになります。逆にランクの高いダンジョンは一般的には開かれていませんね。基本Bランクダンジョンより上はA級冒険者でないと入れませんね。勇者様達は例外ですけど。」
「へ~。じゃあ、このダンジョンはランクいくつなの?」
「このダンジョンはCランクですね。基本的にオーガやウルフ種が出現します。」
そんな話を聞きながら、ダンジョンに入る。
「索敵はウチに任せてな。不意打ちはバッチリ対処したるわ。」
魔法を行使しながら綾香ちゃんが言う。綾香ちゃんは今では宮廷魔道士にも劣らないほども魔法の使い手になっている。索敵の魔法も非常に信頼できる。
「正面突き当たりの曲がり角。左からファングウルフ五匹や。」
綾香ちゃんの報告を聞き全員が臨戦態勢に入る。
「ウルフ種は連携が非常に上手いのでお気をつけて。」
エンリナさんの注意を聞きながら私は作戦を考える。
「綾香ちゃん。敵を分断する魔法とか使える?」
「モチのロンや。任せとき。」
ファングウルフの群れがこちらに気づいた時、綾香ちゃんが魔法を放つ。
「連携はさせへんで!土壁創造」
土壁を生成する魔法によって三匹と二匹に分断されたファングウルフは混乱し動きが止まる。その間に私と花音ちゃんが飛び出す。花音ちゃんは洞窟内でも取り回しやすいショートソードを携帯している。
三匹の方を混乱している内に素早く仕留める。
「後二匹!」
土壁が崩れるとともに花音ちゃんが二匹の内の一匹を仕留める。私の爪による攻撃を避け、ファングウルフの首を両断する。
「結構簡単に終わったね。」
一息つきながら花音ちゃんが言う。
「確かにそうだけど油断しちゃダメだよ?」
「もちろん。」
軽く注意を促しながら、私たちは進む。
その後、何匹かのウルフやオーガと戦いながらも、危なげなく最深部手前までたどり着いた。
「確かここのボスはハイオーガだったはずです。Bランクの強力な魔物ですので。お気をつけください。」
最深部に入る。すると、奥にはオーガより一回り巨躯の青色の鬼形の魔物がいる。アレが、ハイオーガ。
「強化の魔法を使うで。」
綾香ちゃんが私たちに向けていくつかの魔法を使う。
「それじゃあ、行くよ!」
花音ちゃんが武器を刀に変えてハイオーガに攻撃を仕掛ける。ハイオーガも黙っておらず、大剣のような武器を振り回し応戦する。私もハイオーガの攻撃の隙を見ながら攻撃をしていく。
ダメージはしっかり入っている。私たちが傷を負っても心音ちゃんがすぐに治してくれるから、こちらに目立った外傷はない。これなら行ける!
「花音ちゃん、合わせて!綾香ちゃん!隙を作れる?」
「任せとき!炎の槍!!」
綾香ちゃんの魔法でハイオーガが動きを止める。
「とぉりゃぁぁぁ!!!!」
「はぁぁぁぁ!!!」
私と花音ちゃんが渾身の一撃を与える。
それが致命傷になったようで、ハイオーガは倒れた。
「お疲れ様でした。見事な連携でしたね。」
エンリナさんが賞賛を送ってくれる。
確かな達成感を胸にしながら、私たちは領主の館に帰る。帰りは行きよりも賑やかだったのは仕方ないことだよね。
投稿遅れましたー。次かその次あたりで多分勇者一行のお話は終わると思いますので。
勇者一行はB級冒険者程度の実力です。