第二十五話 謎の現象に遭遇しました。
依頼を達成して帰還途中。凍った人間を見かけた。いや、どちらかと言ったら人型の氷像って言った方が良いか。
「マシロぉー。これなんだと思う?」
マシロに聞いてみるが、分かるわけもなく。取り敢えず近づき、触れる。
冷たい。マジの氷だ。でも精巧すぎる気がするんだよなぁ。本物っぽいと言うか。むしろ、人を氷漬けにしましたみたいな。取り敢えず組合で聞いてみるかぁ。
と言うわけで、冒険者組合につきました。
「依頼達成の報告をしたいんだが。」
「はい。それでは、依頼書を見せていただけますか?」
依頼書を差し出す。
「はい。深雪花の採取依頼ですね。少々お待ちください。」
そんな感じで、依頼の処理を終える。
一応聞いてみるか。
「そういえば、帰りの道中で氷像を見かけたんだが、何か知らないか?」
「氷像ですか?そうですね。アイスドールではないんですか?」
「アイスドールにしてはあまりにも人間っぽくてな。」
「そう言う話は聞いていませんね。そういえば、何人かの冒険者が行方不明という話を聞いた気がしますね。少々お待ちください。」
そういって組合職員が席を離れる。
しばらく待つと、奥に案内された。
「突然すまないね。組合長のレギオン・アルビノスだ。氷像の話だが、詳しく聞かせて貰っても良いかな。」
ちょっとくたびれた感じのおじさんが声をかけてくる。
「構いませんよ。といっても、そう話せることもありませんが。」
「助かるよ。ありがとう。」
「取り敢えず。その氷像をどこで見たのか聞いても言いかい?」
地図を広げながら組合長、レギオンさんが言う。
「この奥まった洞窟近くですね。」
「ここか、確かに依頼で行くことも少ないからね。見つからないのも納得だよ。」
「やっぱりあの氷像は、元冒険者なんですか?」
「そうだね、君には知る権利があるかもね。」
「君が見た氷像達は、たぶんだけど元冒険者で合ってるだろうね。」
「あれですか。寒冷のポーション持ってないとああなる、みたいな?」
「いや、寒冷のポーションを使わなかったとしても凍り付くことは無いよ。凍死することはあるけどね。」
まじか、買っててよかった寒冷のポーション。
「それなら、やっぱり魔物のせいってことですか?」
「たぶんね。僕はフローズンバンシーの仕業かなって考えてるね。」
「フローズンバンシー?」
「吹雪に紛れて人を氷像に変えるといわれている魔物だね。目撃例がほとんど無いから本当に居るとは思ってなかったけど。」
フローズンバンシーなぁ。これはなんか一騒動ありそうだなぁ。小説とかだと絶対そうだもん。こういうのは勇者の役目だと思うんだけどなぁ。
「と、言うわけで。君に一つ依頼をしたい。」
いやに笑顔で組合長が言う。こういうのは勇者の役目なんだけどなぁ(二回目)。
「キュ?」
マシロが可愛いなぁ。
レギオン組合長は元A級冒険者です。つまり強い。まぁ今疲れた感じなのは......冒険者って書類仕事しないからね。
はい、と言うわけでね。本作初めてのハプニング発生ですよ。どーなるんでしょうねぇ。
どこかでマシロを戦わせたい。